(これまで3作の感想はこちらへ→『Ⅰ 青い瞳のキャスバル』『Ⅱ 哀しみのアルテイシア』『Ⅲ 暁の蜂起』
このあと2作の感想はこちら→『Ⅴ 激突 ルウム会戦』『Ⅵ 誕生 赤い彗星』


はい、観てきました。

世の中的には「シャアとララァの出逢い」がこの4作目の見どころなんやろな、と思うんですが、わたし的にはやはり、

ドズル兄ちゃんの直球プロポーズ!

こそが4作目の白眉。きちんとアニメでも描いてもらえて良かったなぁ、としみじみしながら観てました(笑)。

もうね、ゼナさんが入ってくる前に髪の毛直すところからたまらんよね。可愛いよね、ドズル兄ちゃん。警備兵(?)に「おまえらとっとと出てけーっ!」ってわめいてせっかく整えた髪がまたピンってハネちゃうのもいとをかし。

士官学校の校長にしてザビ家の人間であるドズル兄ちゃんの部屋に単身乗り込んで銃を突きつけるゼナさんのその勇気。そこに惚れたんかなぁ。もちろんゼナさんフツーに美人やし。

「俺、ドズル・ザビの子を、産んではくれまいか」

といきなりド直球なこと言われてホッとした顔するゼナさん、マジすごい(笑)。

まぁ、あの事件の後で、一体どんな咎めを受けるかと構えていたんだろうから、「なんだ、叱られるんじゃないのか」っていう意味でホッとしたんだろうけど。でも「なんだ、そんなことか」とは普通はならないよね。「付き合ってくれ」も飛ばしていきなり「俺の子産んで!」なんだから。

ゼナさんももともとドズル兄ちゃんに好感持ってたのかなぁ。「暁の蜂起」の時、無事だったガルマに駆け寄って「ガルマぁぁぁぁぁ」って抱きしめるとこ、アニメではゼナさんもその場にいて見てるから。

顔は怖いけどドズル兄ちゃんいい人だもんね。ザビ家の中では突出していい人。

ゼナさんがあの場で承諾の返事をしたのか、どういう返事の仕方だったのか、OKもらった時の天にも昇るドズル兄ちゃんまで見せてほしかったなぁ。
そこ描いちゃったら野暮ってわかってはいるけど。

ザビ家に復讐しようとしたシャア。でもシャアが「暁の蜂起」を起こして、そこでドズル兄ちゃんを制するためにゼナさんを抜擢しなければその後の歴史(『Zガンダム』や『UC』)は大きく変わっていたはずで、結果的にシャアはザビ家存続に手を貸したと……。

しかしギレンには隠し子とかおらんかったんかなー。ドズル兄ちゃんと違って性格悪いから嫁も来ないだろうけど(偏見)、自分の子にザビ家を継がせるみたいな発想はなかったんやろか。デギンパパも何も言わんかったんかな。

デギンパパ的にはガルマの血統以外は遺したくなかったんかもしれんけど……。デギンパパ、ガルマばっかり可愛がって後はどーでも良さそうだもんねー。

「老いてから子なぞ、作るものでない」ってデギンパパのセリフにはじーんと来てしまう。この後ガルマがどうなるか知っているだけによけい。

うん。

見ててねぇ、「どうして戦争止められなかったんかなぁ」って思ったもの。

この後の、あの悲惨な1年戦争を知っているから、そこに至るまでの経緯をこうやって見せられて、「どうしてこうなっちゃったんだろう」「誰かどこかで止められなかったの?」って思う。

ザビ家やギレンが悪くないとは言わんけど、「どのみち世界は行くところまで行かねばならんようだ」って他人事みたいに言ってる地球連邦のお偉いさんもなぁ。もっとできることがあったんちゃうんか……。

モビルスーツ開発の要となったミノフスキー博士の亡命とアムロの父テム・レイの絡みはコミックとは細かいところが違っていて、アニメの方が見応えがありました。何て言うんだろ、テム・レイの小物感、技術者としての偏執的な感じがより迫ってくるというか。

ミノフスキー博士の亡命が成功すれば、自分はお払い箱にならないまでも彼の下につくことになる。自分だってちゃんとした設備と予算があれば彼に負けないものが作れるはずなのに。本当は自分の方がすごいはずなのに……!

月面でモビルスーツ部隊に追いかけられ踏みつぶされるミノフスキー博士。救いたいと思っていたところでテム・レイにはどうしようもないんだけど、「あああっ、ミノフスキー博士がっ、いや、でも、死んでくれたら嬉しい、そんなこと思っちゃダメだけど、ぐぁあ、でもっ、死んでっ、できればっ!」みたいなテム・レイの苦悶の表情が実に素晴らしいです。

ここのランバ・ラル+黒い三連星+シャアvs地球連邦の量産型ガンキャノン(?)の戦闘シーンもアニメならではの大迫力。正直コミックでは何がどうなってるのかあんまりわからなくて(^^;)

どれがシャアの乗機なのかも判別できてなかったんだけど、アニメだとちゃんと赤いのですぐわかるし、コミックよりシャアが活躍してた感じ。

しかしあれですよね、ランバ・ラルとキャスバル坊ちゃんが同じ作戦に……。一緒に地球に降りたのがジンバ・ラルでなくランバ・ラルだったならキャスバルのその後も違っていたかもしれない。あんなに苦労して脱出させたキャスバルが目の前にいるのに……。

シャアが戦ってる最中に(?)ララァに「今何してる?」って聞いて「星を見てる、きらきらして綺麗」「宇宙では星はまたたかないんだ」「そうなの?」「いい子にして待っていなさい、仕事が終わったらすぐ帰る」とかなんとか会話してそれで4作目終わっちゃうんですが、あれってララァはどこにいたんだろう。星がまたたくということはまだ地球なの? 月で戦っているモビルスーツと地球とで交信できるの??? ララァも月面のどっかにいるの???

地球でララァと出逢って、「遠いところへ行こう」ってかどわかして(笑)、そんでシャアはドズル兄ちゃんに「また軍に入れて」って頼んでララァ連れて宇宙に上がってきた、ってとこなんでしょうか。ララァと一緒に住んでるのかな。

いや、別に、どーでもいいですけど。

どーでもいいけど、カジノでの一件の後、桟橋に佇むララァに「やぁ、何してるんだい?」って近づいていくとこ、すごい怪しい兄ちゃんだよね(笑)。
この時ララァが何歳なのか知らんけど、後に「ララァは私の母とも云々」って言うことを考えると、光源氏が若紫拉致るのとおんなじ感じではないかと。

まぁ、ララァの能力を利用しようとするマフィアたちからシャアは命がけでララァを救ったわけで、単純に手籠めにすべく拉致った光源氏とは違うけども。

でも結局シャアもララァの能力を利用するよね…? っていうか前にも書いたと思うけど、宇宙に行ったことのなかったララァにすでにニュータイプの能力が開花してるのだとしたら、ニュータイプってほんとのとこ何なの……。

ニュータイプといえば、4作目にしてようやく古谷徹さんが舞台挨拶に登場するくらいアムロにセリフが増えてます。フラウも出てきてカイさんも出てくる。で。

カイさんの声がちゃんと古川登志夫さん!!!

「ちゃんと」って言うのも変ですが、ほぼリアルタイムで1stガンダム見てた世代にはやはり「おおおおっ、古川さんだっ!」という感激が。

だって他は全部違うでしょ。シャアとアムロ、あとギレン以外はほぼ総取っ替え、もちろんフラウも違うのでカイさんも期待してなかった。

出番もセリフもちょこっとしかないとはいえ、「うわぁっ、カイさん!カイさんだっ!!!」(くどい)。

テレビ本編ではホワイトベースで初めてアムロ達と会ったような感じだったけど、ORIGINではカイさん、アムロやフラウのクラスメートなんですよねぇ。年は上だけどダブってるらしく同じ教室にいる。そんでアムロのことを何かと気にかけるフラウのことをからかう。

ヤな留年生だなぁ、まったく(笑)。

ミノフスキー博士亡命の件で父親テム・レイの「ヤバさ」が垣間見える一方、そんな父親にほぼネグレクトされてると言っていいアムロくん、この子もヤバい。

こんな引きこもりヘタレがもうあとちょっとでSFロボットアニメの主人公張っちゃうのか、と逆の意味で感心します。改めて画期的な主人公だよね、この子。

部屋が汚くて片付いてないのはアムロのせいだけじゃないけど(自分のことを棚に上げて怒るテム・レイどうなの?)、レイ家に散らかってる段ボール、「Nile」って書いてあるんですよね。「Amazon」じゃなくて「Nile」。遊び心が楽しい。


シャアとセイラ編四部作はこれでおしまいですが、既報のとおりルウム編製作が決定していて。

来年2017年の秋に前編『激突 ルウム会戦』、そして後編『誕生 赤い彗星』が2018年の公開になるとか。

本編後の予告で「2018年」って出た時、思わず唸りました。「にせんじゅうはちねん、だと…!?」

俺は一体何年ガンダムを見続ければいいんだ(´・ω・`)

いや、別に律儀に見続けなくてもいいんですけどね。いいんですけど。

1stの劇場版をお友だちと観に行った中学生の頃、まさか30数年経って、自分の子が当時の自分より年上になった時代に、まだ「きゃーっ、カイさんっ!」などと騒いでいるとはゆめゆめ――。

ほんとにねぇ。

「めぐりあい宇宙」が1982年だから、2018年だと36年経ってる。

中学生は立派なおばはんになって、世の中もずいぶん変わったのに。
映画館ではガンダムをやってるんだよ。シャアやアムロやララァが新しい姿で動いてるんだよ。

くらくら。


あ、そうだ。上映前のマナー講座が「ガンダムさん」じゃなくて別のアニメ作品だったの、すんごい残念でした。

ルウム編ではまた「ガンダムさん」だといいなぁ。