(※以下ネタバレあります。これからご覧になる方はご注意ください。記憶違い多々あると思いますがご容赦を)
GWとか色々あって、感想書かないうちに5月下旬になってしまって、「記憶違い多々ある」どころかもう記憶がほぼないです。うう。「なるほどなー」という面白さだったし、礼さんはさすがの巧さで素晴らしかったし、暁さんの女役は本当に綺麗で素敵だったし、一緒に観劇した母も「さすが新感線の作品やな~。おもろかった」との感想。
うん、良かったです。
以上。
――って、これだとあとから自分で読み返した時になんもわからんので、がんばって書きますね。
『阿修羅城の瞳』、劇団☆新感線の代表作で、映画化もされている作品。でも私は舞台も映画も観たことがなく、これが初見。
礼さん演じる病葉出門(わくらばいずも)は鬼を退治する「鬼御門(おにみかど)」と呼ばれる組織の一員。幕開きはその鬼御門たちが鬼と戦っているシーンから。狂気的な強さを誇る出門は鬼を蹴散らし、「本丸」たる邪宗の寺に乗り込んで行く。そこには一人、あどけない少女がいて。
「殺さないで」と言う少女を出門は斬り殺すのですが、その一件を機に出門は鬼御門を離れ、るろうにの旅(?)に出ます。
5年後、出門は鶴屋南北一座に身を寄せていました。鶴屋南北を演じるのは組長美稀千種さん。さすがのお芝居、コミカルで、歌もあって、とても楽しい。冒頭では冷酷な「鬼殺し」のイメージだった出門もすっかり軽妙洒脱な感じになっていて、礼さんの自在なお芝居がすごい。
出門って初演では古田新太さんがやってらっしゃるんですよね。なるほど古田さんに合いそうだなぁと思いながら見てました。
で、そこへ現れる「闇のつばき」。江戸を騒がす女盗賊、しかし彼女は盗みの罪ではなく、「安倍晴明殺しの下手人」として鬼御門たちに追われていたのでした。……って、江戸に安倍晴明??? 何代目? てか勝手に名乗ってるだけの別人???(※プログラムに「13代目」と書いてありました)
実は鬼御門を指揮しているのが安倍晴明、出門にとっても師匠にあたる存在なのですが、つばきに運命的なものを感じてしまった出門、とっさに彼女を逃がし、かくまってしまいます。
つばきはもちろん暁千星さん。ポスター見た時から「ひゃああああ、綺麗ぃぃぃぃぃ!」と思ってましたが、実物もとても美しい。途中まではポスターと違って普通の町娘みたいな出で立ちですが、またそれがいいんですよ~。盗賊でもあり、「鉄火な姐御」といったお芝居がすごくハマる。「男役ならではの格好いい女」なんですよね。しかも格好いいだけじゃなく、出門に惹かれていく「可愛い女」の部分もあって、なんとも魅力的。
5年より前の記憶がない彼女。「つばき」という名も背の痣からつけた仮の名にすぎない。彼女の瞳に「見覚えがある」「どこかで会った気がする」と思う出門。
うん、まぁ、冒頭のあの少女なんだろうなぁ、と見ている方は思うわけですが。5年であの子どもがこんな色っぽいお姉さんに育つのか?という謎は残る。あの女の子が人間でなく「鬼の子」なら、そういうこともありでは?と思いますが、ともあれつばきの出自は謎に包まれている。
一方、鬼御門の一人、安倍邪空は鬼の一派とつるみ、つばきをかどわかします。美惨(びざん)と名乗る尼姿の鬼、「阿修羅を目覚めさせるため」つばきの痣を持つ女を探していたのです。
邪空を演じるのは極美慎さん。とにもかくにも髪型がすごい。そしてこの邪空の行動理由がすごい。彼が鬼御門を裏切り鬼の側についたのは、ひとえに出門のためなのです。9歳の時に出門とともに晴明に拾われ、修業してきた彼。ずーっと出門一人を見つめて生きてきたのに、出門の方は彼のことなど歯牙にもかけず、あまつさえ彼を捨てて勝手に鬼御門を離れていった――。「俺を見ろ!」「ともに地獄へ行こう!」と歌う邪空、こじらせすぎやん。
晴明殺しを仕組んだのも実は邪空。晴明の娘・桜姫をそそのかし、「鬼封じの鏡」を晴明の手から取り上げさせていたのです。あの晴明がそんなに簡単にやられるわけはない、たとえ相手が鬼でもあの鏡があるはずなのに、と思ったらそういうからくりだったと。
桜姫は次期娘役トップ・詩ちづるさん。出門にグイグイ迫ってきたり、なかなかエキセントリックな役どころですが、詩さん良かったです。「困ったお姫さん」だけじゃないところもあって、いいキャラクターだったな。
実は晴明は死んでなかったり色々あって、出門はいったんつばきを助け出すんだけど、5年前の少女の一件を語り聞かせたとたんつばきが苦しみだし、やっぱりつばきはあの時の少女だと判明する。のみならず、彼女こそが「阿修羅」そのものだと。
詳しいことはもう忘れてしまいましたが、阿修羅の魂は「童女」「人間の女」を経て復活するとかで、もっとも強い感情を契機として転生する。童女の時は「恐怖」、そして「人間の女」の時には「愛」。つまり、どちらの時も出門が転生のきっかけになっていた。
最初の少女も「鬼」ではなくて「人間の子ども」だったってことなのか、ちょっとそこよくわかんなかったんですが、「人を殺すが鬼なれど、鬼を殺すが人なれば、人こそ鬼にほかならぬ」と歌っていたの、やっぱり「鬼」だったんでしょうかね。「鬼」から見れば人こそが「鬼(=滅すべき敵)」。
阿修羅の三つの顔。阿修羅が三面六臂っていうの、興福寺のあの阿修羅像のイメージですよね。
三つ目の――本来の顔を取り戻した阿修羅は「つばき」とは別人のようで、出門に対しても「出門殿」とよそよそしい。そして阿修羅の目覚めとともに天空に阿修羅城が出現、江戸の町は炎に包まれ、人間世界は滅亡の危機。晴明から「縁切りの太刀」を託された出門は一人阿修羅城に乗りこんでいく。
「お城の中」が大階段で表現されるのすごく良かったです。ポスターと同じ白い衣装の暁さんが美しく、礼さんと暁さん二人のお芝居が見事。切るに切れない二人の縁、途中で阿修羅はつばきだった時の記憶を思いだし――。
つばき、可哀相だよね。彼女は自分が何者かなんて知らなくて、5年の間、自分の素性を求めて必死に生きていたのに。
最後、阿修羅に剣を突き立てる時の礼さんの「鬼がよー!」って言い方がたまらなくてねぇ。いやぁ、巧いなぁ。格好いいなぁ。
で、ここで幕かと思ったら終わらなくて、出門死んでないんだよね。え?相撃ちじゃないの?? 縁を切って、そして改めて人間に転生して、二人今度こそ幸せな縁を結び直すとかじゃないん???
サヨナラ公演だからなのか、もともとの新感線版でもそうなのかわからないけど、最後に出門が「旅に出る」「あばよ」みたいな場面がある。つばきも魂なのか何なのかわかんないけど出てくる。また童女からやり直して復活するんだろうか……。
「あれはあそこ(阿修羅城の場面)で終わるべき」ってうちの母も力説してた。もしあの後を描くなら、まったく別の人間に生まれ変わった二人が往来ですれ違って終わる、みたいなのが良かったなぁ、ベタだけど。なんせあの「鬼がよー!」が良すぎるので、あそこでがーっと感情揺さぶられたまま幕が下りてほしかったです。
それに出門、かなりグサグサやられてたんですよね。あれで死んでないって、不死身すぎる。
多くの場面の振付をミツエちゃん(若央りさ)が手がけていらしたのも嬉しかった。ミツエちゃん素晴らしい、好き。
『阿修羅城の瞳』の潤色&脚本&演出は小柳奈穂子先生。小柳先生、『Thunderbolt Fantasy』の宝塚化も見事でしたよね。
ショー『エスペラント!』は生田大和先生の作/演出。……えーっと、ショーの方の記憶が……もう……。途中で『Mr.ブルー』が流れてびっくりしたことしか、もう……。
耳馴染みのいい主題歌だったし、Jazzやクラシックを散りばめた全体にオーソドックスな雰囲気のショー。でもすごく「ソフィスティケート!」って感じで、カラフルな衣装も美しく。私はもうちょっとパンチが効いてる方が好きだけど、悪くなかったです。
第三章、S6のとこかな、摩天楼を背景にした街角、コーラスと群舞ですごくミュージカル風な場面は面白かった。中詰めS10の海底レビューの場面も、スタンダードジャズをラテンアレンジした曲が私好みで、「こーゆー曲をRiffusionで作りたいのよ!」って思ってたら聞き覚えのあるイントロにシフトして。
これは!!!
『Mr.ブルー』!!!!!!
我ながらまだイントロでわかるのびっくりしましたが、1980年にリリースされた八神純子さんの名曲。えーっと、45年前??? 西城秀樹とか時々使われてますが、ここが来るのは本当に予想外。いや~、面白いなぁ、宝塚。
で、この公演は初舞台生のお披露目だったんですけど、なんとラインダンスがタップで、これもびっくり。いきなり初舞台でタップダンスって、めちゃくちゃ難易度高くない??? しかも礼さんも一緒に。緊張感んんんー。タカラジェンヌすごいな。
ラインダンスの曲は『タカラジェンヌに乾杯』とか『タカラヅカ・フォーエバー』とかでした。盛り上がる~。
黒燕尾の大階段、礼さんのソロを経てグランド・フィナーレ。『阿修羅城』の方は暁さんが相手役でしたが、ショーは娘役トップ不在の構成。うーん、やっぱりちょっと、寂しい感じがしましたねぇ。宝塚は男役優位だけど、やっぱり娘役さんの力は大きくて、トップ娘役さんが隣にいないのは寂しい。
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