観てきましたぁぁぁ!
9月3日13時公演

翌4日は台風21号が関西直撃ということで……よく3日のチケット取ったよなぁ。
3日にするか4日にするか少し迷った末、3日のチケットを購入したのですが、その時の自分を褒めてあげたい。4日にしてたら観劇はできたかもしれないけど帰宅難民になっているところでした。



日台合同で製作された布袋人形劇アニメ『Thunderbolt Fantasy』を宝塚で舞台化、台湾公演の演目にするというプロジェクト。
ものすごく面白そうなのに宝塚のお膝元関西での公演は、8/31から9/6までのたった一週間という…(東京は10日ほどある)。

観られる気がしねぇ(´・ω・`)

しかしなんとかチケットGet!
張りきってだいぶ早く梅芸着いたら入り口開いてなかった。そうか、宝塚大劇場と違って開場時間まで入り口開いてないんだ、そうか。

「布袋劇の人形展示はチケット持ってなくても観覧できます」とアナウンスされていたので、そのスペースはずっと解放されているものかと。



ともあれ12時15分開場とともに入場、美麗なお人形さんたちの写真を撮り、プログラムを買い、勢いでスチール写真まで買ってしまいました。
スチールなんか買うの何年ぶりだろ……。

公演ポスターは『Killer Rouge』の写真なので、扮装写真が楽しみだったんですよね。いつになったら扮装写真upされるの!?と待ち遠しかった。結局公式では上がらず、梅芸公演初日にスチール画像がファンから流れてきましたが。

(↑ これは人形たちと一緒に展示されてた「宝塚とオリジナルを比べてみよう!」ポスター)

いやぁ、いつもながら再現度すごい! 『ルパン三世』『るろうに剣心』も、そして『ポーの一族』も「ふぉぉぉぉぉ」と思いましたが、今回もまた。

宝塚すごいなぁ。

いやが上にも高まる期待。
3階2列目でオペラグラス持って待ち構えます。
「皆様、本日はようこそお越し下さいました」というアナウンスが流れ、いよいよ開演!

楽しかった……(ため息)。

終始にやにやしながら観てしまった。
音楽もオリジナルと一緒だし(再録音しているのかどうか私にはわからない)、セリフもほぼオリジナルを踏襲していて、前半、主要登場人物が揃うまでのところはかなり忠実。その分後半かなり端折ってるけど、もともと24分×13話=312分(5時間ちょっと)あるものをよくぞ1時間半でまとめた!と感心。

傀儡師一座を用いて背景説明をしたり、セットを大幅には変えられない中、各場面の演出もよく考えられていて、小柳先生素晴らしい。

最初、紅さんが凜雪鴉(りんせつあ)、綺咲さんが丹翡(たんひ)、そして礼さんが捲殘雲(けんさんうん)というキャストしか発表されなかったので、「え?二番手礼さんが捲殘雲ってことはもしかして殤不患(しょうふかん)出なかったりする?だいぶストーリー変えるのかな?」と思ったんですよね。

オリジナルは凜雪鴉と殤不患のW主役という感じだったから、殤不患を2番手男役がやらないのなら、それはもう出さないということなのでは、と。

その後他のキャストも発表され、殤不患はもちろん殺無生(せつむしょう)や狩雲霄(しゅうんしょう)、獵魅(りょうみ)に凋命(ちょうめい)までいて、今度は「え?マジで全部やるの?1時間半で?」と心配に(^^;)

「捲殘雲の母」までいるんだもんね。

すでに記憶が定かじゃないけど、幕開きすぐが「英雄に、俺はなる!」つって親元を離れていく捲殘雲の場面。
捲殘雲はヒロイン丹翡とのラブストーリーもあって、そのままでもけっこう「2番手の役」だけど、「英雄に憧れるまっすぐな若者」っていうのを最初に印象づけてるんだろうね。

その後は割とコメディ担当というか、ツッコミ担当というか、礼さんもともとうまいから、丹翡とのラブコメ的なところも安定安心、可愛い。

また丹翡が見事に丹翡で。綺咲さん、声がアニメっぽいというか、「殤様!」っていうところとか、まさに「画面から飛び出してきた!」「人形が命を得て動いてる!」感。

ちゃんとお兄ちゃんと丹翡が襲われる場面からあって。ホントにここからやるんだー、と。ここからやって1時間半で終わるのかと(しつこい)。

倒れたお兄ちゃんのところに凜雪鴉がやってきて、お兄ちゃんの剣を拾って立ち去る。そしてその剣を最後に丹翡に渡していたけど……これ、オリジナルにはなかったよね?あった?

傀儡師一座が人形劇として「神誨魔械(しんかいまかい)」(詳しくは公式サイト専門用語解説へ)等を説明、急な雷雨に見舞われ、一座がはねるとそのまま「雨傘の義理」の場面!!!

人形劇を舞台化して、その中にまた人形劇を狂言回しとして入れるっていうの心憎いし、「雨傘」のシーンに繋げるのもうまい。

凜雪鴉と殤不患、運命の出会い。

紅さんの凜雪鴉、麗しいのはもちろんだけど胡散臭さ増し増しでたまらん!(笑) オリジナルの鳥海さんの凜雪鴉は割と淡々とした感じだったけど、紅さんのはもう少し芝居がかっていて、なんというかすごく紅さんで(笑)、いかにも怪しい。

丹翡を助け、仲間を集めて、天刑劍(てんぎょうけん)を取り返すべく一緒に蔑天骸(べつてんがい)のもとまで行こうとする凜雪鴉。単に親切なだけでそんな命がけなことをしてくれるわけもなく、「掠風竊塵(りょうふうせつじん)」という通り名で有名な人物であることは、早い段階で明かされている。

が、なぜ、どういうふうに有名なのか、その名が何を意味するのかは隠されたまま。凜雪鴉が何者なのかなかなかわからないのがこのお話の面白いところなんだけど、しかし紅さんの凜雪鴉は最初からものすごく詐欺師っぽい(笑)。

うん、褒めてるからね、これ。
褒めてるから!

一方の殤不患。
七海ひろきさん演じる殤不患がまた! いい! うまい!!!

殤不患って、宝塚としては難しい役だと思うのよ。凜雪鴉は見るからに麗しい、生身の男じゃ絶対無理な「ザ・宝塚」な役どころだけど、殤不患は男臭くて無骨で、めちゃくちゃ強くて、でもそれを鼻にかけることもない、実にいい「大人の男」で。

こんな役どうするんだろうと思っていたら、七海さんめっちゃ殤不患。
オリジナルの諏訪部さんを相当研究したんだろうな、と思わせるセリフ回し、飄々として男らしい剣客のたたずまい。
感心してしまった。

殤不患がしっかりしてなかったら、このお話成立しないもんね。
凜雪鴉が何者なのか以上に、彼が何者なのか、ということが大きく結末に関わってくるから。

魔脊山(ませきざん)に至る途中のエピソードを端折ったので、殤不患の「剣技」の見せ場が少なく、その分捲殘雲が「2番手の役」になっていて、宝塚的には「なるほど」なバランスになってます。

ただ、途中の「亡者の森」や「傀儡の谷」での殤不患の戦いっぷりがないまま「実はその剣はただの木刀だった」が来るので、その凄さがわかりにくい(^^;)
「木刀にも関わらずあれほどの戦いを…!」「こちらでは名が知られていないが、西遊出身というのも嘘ではない、向こうではよほど有名な豪傑!」と驚かなきゃいけないんだけど、「あれほどの戦い」部分が少ないから。

前半、主要メンツが揃うまでのところをかなり忠実にやった分、後半は時間がないのでかなり駆け足。
幕間の休憩時間にオリジナルを知らないであろう方々から、「よくわからなかった」という声も聞こえてきて、私ももし元の話を知らなかったら初見でどれくらいストーリーを飲み込めたかなぁ、と。

通り名や技名、漢字で見ないと音で聞いただけでは聞き取れもしなかったりするし。

オリジナルの人形アニメも、最後の方「え?待って?どういうこと?」って一回見ただけではついて行けないところもあったから、一時間半に凝縮した舞台ではなおのこと。

今回私一人だけの観劇だったけど、もし母が一緒だったらどんな感想を持ったかな、ストーリー把握できたかな、と思う。うん、母の感想聞いてみたかったなぁ。

とはいえ、殤不患が三十六振りの魔剣を封じ込めた巻物をバッと広げるシーンもうまい演出だったし、ちゃんと最後は雨傘で終わって、舞台作品としてとてもよくできてると思いました。
途中の戦い、全部描いたらそれはそれで冗長だったと思うし、主要メンツ揃ったところでみんなで「RAIMEI」歌い上げるのも胸熱。

事前に「RAIMEI」流れるらしい、って聞いてはいたけど、「ええ!? あれを歌うの?」と。
だって「RAIMEI」ってこれだよ。これを宝塚で歌うの!?


結果、見事に歌っていて、ジェンヌほんますごいと思いました。

プログラムにも「主題歌」として載ってるし、スタッフクレジットのところに“主題歌:「RAIMEI」T.M.Revolution”って書いてあるのがなんか不思議な感じで。
(そういえば『戦国BASARA』を上演した時は音楽とかどうだったんだろう…)

でももう1曲、宝塚オリジナルの凜雪鴉のテーマがある他は、歌ほとんどなかったよね??? 「異次元武侠ミュージカル」と銘打たれてるけど、歌で心情を表現するようなところはなかったかと。
うん、悠長に歌ってる暇ない(笑)。

あと、狩雲霄が出てくるシーンで、どこからともなく放たれた矢がシュタッ!と突き立つ演出、見事だったなぁ。「え?どうやってるの?」と思っちゃった。本当に矢を射てるわけないんだし、仕込んである矢をパッと出すんだろうけど、3階からは本当に突然矢が出現するように見えた。

狩雲霄、殺無生、刑亥(けいがい)の扮装写真がプログラムにないの、実に残念。
殺無生はちょっと線が細いように見えたけど、全体の再現度は非常に高かった。
最後、蔑天骸とやりあって負けて…のところはちょっとわかりにくかったけれども。

凜雪鴉がこれまで盗んできたものが何だったのか。殺無生はなぜ蔑天骸と戦うことを選んだのか。

蔑天骸からの「盗み」に失敗して「おのれーーーーっ!」って激昂する凜雪鴉、良かったな。そこまでまるで内心を見せず、軽やかに、優雅に振る舞っていたのが一気に感情を爆発させるところ。声量も素晴らしかった。

さすがにアクション部分はオリジナルのVFX駆使映像にはかなわないけど、照明で工夫してたし、全体的には大満足。

もう10回ぐらい見たい!!!
せめてあと1回……。大劇場で凱旋公演やらないかな、やらないよね……。


それにしても凜雪鴉、もし殤不患がああいう人物で、蘇った魔物を封じられるだけの魔剣の持ち主でなかったら、一体どうしたんだろうね。
蔑天骸の言う通り、「おのれの遊び心が世界を滅ぼす」のを指をくわえて見ているしかなかったのでは。
「最初に殤不患に目をつけて連れてきた私の勝ち」ってうそぶくのかなぁ。

世界が滅ぶことより、蔑天骸にしてやられたことの方が凜雪鴉にとってはよほど許しがたい屈辱なんだろうけど。

はぁ。
ほんと紅さんの凜雪鴉と七海さんの殤不患良かった。好き。


(ショー『Killer Rouge/星秀☆煌紅』についてはまた別記事で。)


【2018/10/31追記】

台湾公演初日の舞台映像が宝塚歌劇団から公式公開されています。たっぷり6分間! 梅芸3階からはよく見えなかった人たちもくっきり!(笑)。

ショー『Killer Rouge』の冒頭には赤い龍が登場していますが、もしや業火の谷から凜雪鴉を追ってきたのでは!? そして凜セツコに「んんん~匂いは同じだがこれは女」と惑わされるのでは!?(笑)