「殺し愛」コミックスをAmazonで買う

(※以下ネタバレあります。最終巻をこれから読む方はご注意ください)

今ごろ「完結」って何言ってんだ、という気がしますが、来月から番外篇も始まるということで、結果的にいいタイミングになったのでは。なったことにしとこう。

『殺し愛』堂々完結、ちゃんと最終話が載った『コミック・ジーン』も買いましたし、


1月26日発売の最終13巻もちゃんと予約して買いました。

「ああ、終わっちゃったぁ……」という寂しさが強くて、「もうちょっと落ち着いてから記事書こう」と思っていたらあっという間に5月。

どうしてこんなことに(´・ω・`)

ともあれ13巻、最終話は素晴らしいハッピーエンドなんだけど、そこに至るまでにこれでもかとリャンハさんがボコボコにされてて。
もう十分、11巻あたりで拉致られる時に――そして拉致られてからも、ジンテイにおもくそいたぶられてたじゃないですか。この上さらに右腕を肩からバキィ!いかれてですよ、なんとか逃げだそうと思ったらジンテイに脇腹のあたりを撃たれ、Jr.の側近達から何発もバンバンやられ、とどめにJr.に左肩をフォークで刺され。

これまでもそうだったけど、ほんとによく死なないよね…。Jr.はリャンハさんを生かしたまま、死ぬまで自分のものとしてこき使うつもりだったから、あそこで側近たちがバンバンするのも急所ははずしてたんだろうけど、それにしても。

生命力すごい。

シャトーちゃんもね、リャンハさんを救出するために一人でヘリから降りたってドンパチするの、すごいよね
ほんとにいつどこで射撃や戦闘術の訓練を受けたんだろう、シャトーちゃん。訓練したからって誰でもができることじゃないと思うんだけど。1対多の実戦であれだけ動けるの、かなりの凄腕じゃない?

そもそも肝の据わり方が半端じゃない
「賞金稼ぎ」を仕事にしている以上、リャンハさん絡みじゃなくてもそれなりに危ない目にも遭ってきたんだろうけど、5ページ目で髪をくくって振り返る姿、表情、覚悟決まりすぎだよぉぉぉ。

「とっとと出てこい、ソン・リャンハ」つって手榴弾のピンを歯で引き抜くとことか、格好良すぎるよ、シャトーちゃん。
あのジンテイとそれなりに渡り合っちゃうんだもんなぁ。
ジンテイが「中華街の婆さんといい、また女かよ」って舌打ちするのが面白い。リャンハさんはね、モテるからね。女たちはみんな命を賭けちゃうんだよ。

腕やられてバンバン撃たれて床に血だまり作って絶体絶命のリャンハさん。発破かけに現れるのがホーさんってところがまた良い。

元リャンハ君じゃないんだねぇ。
「夢にさえ現れない」元リャンハ君、「顔も思い出せない」と嘆いていたリャンハさん。あれはなんでなんだろう。リャンハさんの中で、あまりに罪悪感のようなものがあって、無意識の自制が働いてるとかなのかなぁ。
シャトーちゃんの方には出てきてくれたのにね、元リャンハ君。やっぱ、「君ばっかり女の子といちゃいちゃしてずるいよ!僕なんかあっさり死んじゃったんだぞ!」と思ってるのかしら。

ともあれ「きっちりケジメつけてからくたばれ」と背中を押してくれるホーさん。ホーさん、あの世でスンウさんから全部聞いたのかな。リャンハさんも被害者、生け贄だったってこと。真に恨むべきは――倒すべき相手はJr.その人だから、「何寝てんだ、あいつやっつけてからくたばれや」と。

生き霊なのか幻覚なのか、ホーさんに「地獄へ墜ちろ」って言われて、笑って「はい」と答えるリャンハさん。いいよねぇ、なんか。シャトーちゃん以外にリャンハさんが笑顔を見せることなんて、めったにないんだよ。
過酷な人生の中で初めて手を差し伸べてくれたのが元リャンハ君だったけど、ホーさんもまた、リャンハさんに正面からぶつかってきてくれた相手ではあったんだよなぁ。誰も彼もがリャンハさんを利用し、搾取しようとする中で、ホーさんはそういう思惑なく、「素」で接してくれる存在だったんだ。

ホーさんのおかげでしっかりケジメをつけ、屋上へ向かうリャンハさん。「彼女が来てる」と思ったら力も出るだろうけど、しかしそれにしてもあれだけ撃たれてよく……。

ジンテイにかなりボコボコにされながらも「ソン・リャンハはここにいるの?」と尋ねるシャトーちゃんもほんま。
こういうヒロインなかなかいないよね
別に武闘派なわけじゃない、いわゆる「男勝り」なわけでもアクションが売りなわけでも全然ないのに、「やるときゃやる」というかハードボイルドというか。

喋らないし笑わないし愛想がない(ごめん、シャトーちゃん)、でもしっかりヒロイン
唯一無二だよなぁ、シャトーちゃん。

やっと、何巻かぶりかで再会して、出てくる言葉が
「ほんと、馬鹿やってるねぇ きみ」
「ええ、お互い様です」

なのも最高。

満を持してリャンハさんが姿を現した時のシャトーちゃんの表情がまた。

Fe先生、キャラクターに自分語りさせないし、いわゆる「心の声」もほぼ使わず、表情だけで――絵だけで勝負するのがほんとにすごいよね。
シャトーちゃんとリャンハさん、言葉にしてしまうと嘘になる、陳腐になる関係性だと思うけど、もしこれが小説だったらやっぱり何らかの「説明」をしなければ伝わらないわけで。

「漫画」であることの醍醐味

二人で見事ジンテイを倒して、手を取り合う。
これまでも助け合いっこしてきたけど、こんなふうに絶妙なコンビネーションで一人の敵を倒したのってたぶん初めてだよね?
「夫婦での初めての共同作業です!」がケーキ入刀じゃなく殺人なの、まさに『殺し愛』……。

最終話ではジノンとミファが里帰り。
社長に向かって満面の笑みで「またお会いできて嬉しいです!」って言うジノン、おまえ。

社長も偉いよね……自分を殺そうとした相手を許せるのすごい。一緒にドライブ行けるの強い。

そしてそして。

いよいよ、シャトーちゃんの「決着」。さんざん社長に「ソン・リャンハとの関係にケジメを」と言われてきて、「私が必ず彼を捕らえる」、それがケジメだ、というふうに答えていたんだけど。

捕らえて、どうするんですか、シャトーちゃん?
リャンハさん、やっぱり病院脱け出しちゃったけどどうするんですか?

アベル・ダンクワース、シャトーちゃんパッパのお墓参り。「彼は絶対来る」って思って待ってるシャトーちゃん。
でも、つまり、あのホーさんの襲撃から1年経ったってことなのか。
シャトーちゃんパッパのお墓に花を供えるリャンハさん、どういう気持ちなのかな。あの時、自分のことは助けず、「全部忘れろ」と言った大人。それでも、シャトーちゃんを引き取って育ててくれた人物。もしも彼が引き取らなかったら、シャトーちゃんどうなってたかわからないもんなぁ。
元リャンハ君が命を賭けて助けようとした少女を、引き受けてくれた人ではある。

教会の中でシャトーちゃんと再会して、「もう僕に縛られる必要はない」と言うリャンハさん。リャンハさん的にも「ケジメをつける」つもりでお墓参りに来たのかぁ。
「リャンハという名前の人物は赤の他人、自分は彼の名前を奪い、汚すだけ汚して再び死なせたのだ」と語るリャンハさんがせつない。本当にせつない…。

元リャンハ君が死んだ時、その死は公にはならなかった。というか、「その身分証の人物は存在しない」とされた。
ドニーが与えた名前だったんだもんね、「ソン・リャンハ」。偽造された身元。
社会的には存在しないまま死んでしまった元リャンハ君。「なかったことにしないため」に――せめて墓でも見つかればと思ってその名を名乗り続けて、結局Jr.の手によって、「ソン・リャンハ」という人物は「裏切って三檮會を潰した人物」「汚い賞金稼ぎ」として死んでしまった。

……今2巻を読み返して気づいたけど、あの時「シャトー・ノーブルという人間も存在しない」だったんだよね。ノーブル家のごたごたのせいで、シャトーちゃん、存在を隠されてて戸籍とか国籍とかがない。

つまり、元リャンハ君もシャトーちゃんもリャンハさんも、あの3人の子ども達はみんな、「社会的には存在しない――社会的には名前のない」存在だったんだよなぁ。
改めて、すごい出逢いだった。

引き継いだ「ソン・リャンハ」という名前も失って、シャトーちゃんとも決別して、リャンハさん、この先どうするつもりだったのかなぁ。最後、ジンテイのおかげで右目もやられちゃって、どこか新しい場所で同じような仕事で食べていくとしても、ちょっとハンデありそうだよなぁ。

シャトーちゃんが「私は“あなた”に用があるんです!」とまさに“体当たり”でぶつかってきてくれて、それで別れなくてすんだけれども。

シャトーちゃんもリャンハさんも、最後まで「好き」だの何だのは絶対言わないところがまた、Fe先生のこだわりを感じて好き。大好き。

床に押し倒しされて「だから頼ってください」とぐすぐす泣かれたら、そりゃリャンハさんも「完敗だ」と言うしかないですよねぇ。ぐふふ。

そのあと、少年リャンハさんを部屋から引っ張り出すチビシャトーちゃんの表情が!表情が!!!たまらなすぎる!!!!!
笑顔じゃなく、ぐっと歯を食いしばって、むしろ怒ったような顔で手を差し伸べるの、本当に本当に本っ当にシャトーちゃんらしくて、しかもそれがめちゃくちゃ可愛くて、何度読み返してもこのチビシャトーちゃんの表情でうるうるしてしまう。

Fe先生のセンスと画力が素敵すぎる。
はぁぁぁぁぁ、良かったね、リャンハさん、リャンハさんの中の寂しく哀しい子どものリャンハさん、本当に良かったね。これからシャトーちゃんと幸せにね、これまでの分全部補ってアホほどおつりが来るぐらい幸せになってね。

大満足の最終話だったんだけど。
一つだけ。

リャンハさん、名前は?

新しい名前、どうなるの???

てっきりシャトーちゃんが新しい名前を付けてくれるのかと思ってたんだけど、よく考えたらそもそもシャトーちゃんはリャンハさんのことを「あの人」とか「あなた」とかしか呼んでなくて、「名前を呼ぶ」ってこと、ほぼしてないよね。
この最終巻で「とっとと出てこい、ソン・リャンハ!」って言うの、あれものすごくレアな、シャトーちゃんが「リャンハさんの名前を呼ぶ」シーンなのでは。

社会的に死んだことになったと言っても元から戸籍もないし、世の中に同姓同名の人なんてたくさんいるんだから、そのまま「ソン・リャンハ」で何の問題もない気はする。改めてもう一度、「ソン・リャンハ」という名前を――その名の人生を「善いもの」にするというのも、意義あることだよね。

まぁさっさとリャンハ・ダンクワースになってるのかもしれないけど。

13巻の最後にちらっと出てくるその後の二人。社長には「寿退社みたいなもの」と言われてるし、Fe先生のTwitterにupされてる画像を見ても、一緒に料理していたりラブラブな感じで、法的に結婚しているかどうかはともかくとして、同居しているのは間違いのないところ。

リャンハさん、「シャトーちゃん」って呼べるようになったのかしら。リャンハさんの方もシャトーちゃんのこと名前で呼べなくて、ニッカさんに突っ込まれてたんだよねぇ。相変わらず「ねぇ」とか「きみ」としか呼べてないのかなぁ。そんな気がするなぁ。

「ハッピーエンドに水を差すな」で終わった13巻、しかし早速コミック・ジーン5月号には番外篇のプロローグが掲載、6月号から「その後のお話」が連載されるそうで。

めでたい!
大変めでたいっ!!!
楽しみすぎるっ!!!!!

しかしコミック・ジーンを買い続けないといけないのか…。コミックス出るまで待つと長いよね、1年くらいはかかっちゃうよね。とりあえず6月号は予約したけど、コミック・ジーン、かさばるんだよなぁ。7月号以降は電書で買う? うーん、悩ましい。

【2024/01/05追記】
・番外篇が収録されたコミックス第14巻、2024年2月27日に発売決定しております。楽しみ楽しみ~♪


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