(※以下ネタバレを含みます。これからお読みになる方はご注意ください)

1月からTVアニメが始まった『殺し愛』
あらすじと、主人公の声が下野さんということで見始めたんですが、3話目まで見たところで「これって絶対子供時代に因縁があるよな、エンディングのアニメーションそういうことだよな」と気になって某電書ストアを覗いたら、なんと4巻まで無料!
うっかり読み始めたらやめられない止まらない。
一気に4冊分読み進んでしまいました。

ちょうどその日が無料公開の最終日だったので(読み終わってから気づいた)、途中で「続きは明日にしよう」と中断しなくて良かったんだけど、よくあの日にアクセスしたなぁというか、アクセスしなければこんなことにはならなかったのにというか。

我慢しようと思ったんですよ。
続きはアニメで描かれるだろうし、もしアニメが途中で終わったら、そこから原作買えばいいじゃん、もう少し様子見ようよって。

でも。
我慢できなかった。
2月の1日にまず5巻から8巻までをGet。

当然すぐに読んじゃって3日に9巻から11巻を買いに行き。

電書で読了済みだけどやっぱり1巻から欲しいよね、と5日に本屋に行ったら1巻と3巻は品切れ。仕方なく2巻と4巻だけ買って、1巻3巻はネット注文。

最初からいっぺんに買えよ、俺。

ともあれ100年ぶりに新しいマンガを買ってしまいました。もうずっと長い間、昔から読んでるシリーズの続刊しか買ってなかったのに。

スマホの壁紙も「殺し愛」に変えちゃったし、気がつくとなんかずっとリャンハのこと考えてて、我ながらハマる速度がおかしい。まさに坂道を転がり落ちるようにドボーンと沼に堕ちてしまった。

まず無料で4巻まで読んだ時に、もちろん作品そのものもツボだったんだけど、「煽りランキング」とか作者さんのコメントとかもすごくツボで、「応援したいな」「ちゃんと紙で読みたいな」と思わされたんですよね。
もともとpixivで公開されていたものが雑誌連載になったらしく、「ネットで描いてる時は好きなシーンだけ描けば良かったけど、連載マンガとなるとそうはいかなくて」みたいなお話に、「うんうん、そうだよね、めっちゃわかる!」と謎の共感。「家族に読まれるのは恥ずかしい」もわかりすぎる。
(※読み返して確認したところ、2巻巻末コメントに「Web版だと時系列はめちゃくちゃに、描きたい場面だけ描いてることが多かった」とあるだけで、「だから連載は難しい」という話ではありませんでした。勝手に脳内曲解したっぽい。ごめんなさい)

本体表紙の「カバー撮影後」イラストのセンスも好きだし、「おまけ」がいいよね。本編の後に、公式スピンオフ。はぁぁ、買うしかない、全巻買うしかない(もう買った)。

で。
気になっていた「子どもの頃の真相」。
泣きました。
せつなすぎる。元のリャンハ君可哀想すぎる。そしてその名を自分のものとして生きていこうとするリャンハの想いが――。
うぉぉぉぉぉぉ、たまらん(滂沱)。

あの真相って、容赦ないよね……。なぜ元のリャンハが死んでいたのか、あの状況で、それでもシャトーを逃がそうとして、あんなに頑張って、なのに「ないことにされた」元リャンハ。

病院にやってきて「全部忘れろ!なかったことにしろ!」ってリャンハを脅しつけたのがダンクワースパパなのもほんと容赦がない
シャトーを助け、育ててくれたダンクワースパパ。最期も女の子をかばって死んだ「警察官の鑑」みたいな人。

でも。
リャンハのことは助けてくれなかった。
元のリャンハと今のリャンハ、2人の可哀想な少年には、手を差し伸べてくれなかった。それどころか、存在を消そうとした。

同じ一人の人間が、ある面では天使であり、他の面では悪魔の顔をする。

この容赦のなさがねぇ、いいよねぇ。
好き。

リャンハにとって、元のリャンハは「初めて自分を人並みに扱ってくれた相手」だったろうし、自分もまた、彼と同じく世の中から「いないことにされる人間」だってわかっていたろうから――。

「そんなの虚しいよな」

リャンハの名で生きていく。そう決める少年リャンハの胸の裡が、せつない。

関節はずされスーツケースに詰められ運ばれてきてた少年リャンハ(ほんとに容赦がない)、臓器売買でもされるところだったのかな。骨はいいけど内臓は潰すな、とか言われてたよね……。いちいち人生が過酷すぎる。あそこでせっかく保護されたのに、ダンクワースパパは――警察は助けてくれないんだもんなぁ。

そうして一人で生き抜いてきたリャンハが、17年もの時を経てシャトーちゃんと再会しちゃって。
よく一目でわかったなぁ、と思うけど、だからこその「名前は?」なんだろうし、ちゃんとその後子ども時代の写真で確認できてる。
あれ、あの写真、子どものシャトーちゃんだけじゃなくダンクワースパパも写ってるでしょう? あれ見た時のリャンハ、どういう気持ちだったのかなぁ。

「全部忘れろ」と言った男。
「女の子? さぁな」としらばっくれたあの男が、他でもないその子の隣に写ってる。

やっぱりな、って、思ったのかな。

リャンハにしてもシャトーちゃんにしても、「内心」はほとんど描かれなくって、そこがまた魅力なんだよねぇ。11巻で作者さんが「ついにリャンハにモノローグさせちゃった」ってコメントされてるけど、よくここまで頑張ったよなぁと。
「何を考えているかわからない」「本心を見せない」のがたまらんので……いや、でも、「弱さ」を見せてくれる11巻もそれはそれでウヘヘ。

11巻……というか最終エピソード、リャンハが生き延びられるのかすんごい心配なんだけど。これまでもみんな不死身だったし、リャンハだけ死んじゃうとかありえない、ハッピーエンドになると信じてるけど。
でも拉致られる前からあの古傷、「ホーさんの渾身の一撃」が治らなくてヤバそうだったじゃん? そこへ持って来ての拉致拷問……。
あれ、5年前の真相がわかってきて、よけい「ホーさん何してくれたのよ」ってなってるよね。そんな、治らない傷を逆恨みでつけられてさ……命に関わるとかさ……嫌だよ……。シャトーちゃん、早くリャンハを見つけてあげて! 早く……。

リャンハがシャトーちゃんに「また君を見つけてしまったから」って言うとこ、めちゃめちゃ良かったよね。悶え死にそうだったよね。
そんでシャトーちゃんが「ソン・リャンハ」という名前を決して忘れていなかったことがわかって、「良かった」って思うとこ。
少年リャンハの影が元のリャンハ君になってるのももうほんと、泣くよね。

シャトーちゃんが自責の念から脱け出す時も、笑顔で背中を押してくれちゃってさぁ。元リャンハ、ええ子すぎる。

ところで。
リャンハがシャトーちゃんに「考えておいて」と言ってたご褒美、あれ、「名前」になるんじゃないのかな。シャトーちゃんが、改めてリャンハに「名を付ける」んじゃないのか。そうして、元リャンハ君が笑顔で、「ここまでよく頑張ったね。名前、そろそろ返してもらうね」って夢に出てきてさ……。

元リャンハ君もそもそもドニーにもらった名前だったし、シャトーちゃんが「私はノーブルではなくダンクワースだ!」って言うのも、1話目が「What's your name?」なのも、「名前」の重要性を示唆している気がする。
幸いというかなんというか、「ソン・リャンハの死体が見つかった」ことになってるんだから、全部片がついたら、新しい名前でしれっとニッカさんみたくリッツラン商会の社員になっちゃえばいいんだよね。

何しろリッツラン商会には人がいない。
社長の他にはインドとシャトーちゃんしかいない。
クルーズ船のエピソードの時に他の面子が名前だけ出てきたような気がするけど、その後は全然だよね。
(※ホセとセドランという補充人員が名前だけでなく姿も出てきてました。そしてすぐやられてたっぽい)

リッツラン商会、あれで経営成り立ってんのかな? 奥さんがお金持ちだからいいのか……?

ニッカに続いてリャンハまで入社してくれたらもう怖いもんなしな気がするけど、でもそういうハッピーエンドではないかなぁ。シャトーちゃんとリャンハ、普通にラブラブになるのは違う気がするしなぁ。
全部片付いたら、リャンハは自分で名前を変えて姿をくらましてしまったりするかな。そんで今度はシャトーちゃんが「絶対にあなたを見つけます」で再会するとか、数年後シャトーちゃんが絶体絶命のピンチの時にしれっとリャンハが助けに来るとか……。

何も私がごちゃごちゃ考えなくてもFeさんが素敵な結末を用意してくれるに決まってるんだけど、あれこれ妄想を膨らますのが楽しいのだ。

はぁ~、早く続き読みたい。

アニメの方は、今5話まで放送が終わったところだけど、ちょっとこう、テンポが悪いというか、「アニメーションならではの良さ」はあんまり出てない気がする。見せ方がちょっとこう…単調というか……。
原作に忠実で、お話が改変されてないのは良いんだけどなー。「アニメーション」としては物足りなさが。

1話目は「善逸がなんか頑張ってスカしてるぅぅぅ」とムズムズしながら見たけど、今はもう原作読んでても下野さんの声で再生されるように。うん。合ってる。
大西沙織さんのシャトーちゃんもすごく合ってるよね。あの素っ気ない感じが良いわ~。

リャンハの見た目、『鬼灯の冷徹』の白澤っぽいな、と思ってたんだけど、ドラマCDでは遊佐浩二さんがリャンハの声を担当したそうで……やっぱり白澤やん!(笑)
そしてドラマCDでは社長の声はつんちょ。アニメでは賢雄さんだし、社長いい声キャラすぎない!?

アニメのキャスティング、豪華だよね。ホーさんは前野さん、ジノンはあゆむらせ、ミファが日笠陽子さんでニッカが森田成一さん。そしてドニーを芳忠さん
原作読んでる時はドニー=諏訪部さんで脳内再生されてたけど、芳忠さんのドニーも楽しみ。

ダンクワースパパは安原義人さんだったもんね。お懐かしい。『ニルス』のモルテン、『キャッツアイ』の内海刑事、『るろ剣』の蒼紫様も安原さんだったよなぁ。

今ふと思ったけど、ダンクワースパパ、いい人そうに見えて実は女の子に甘いだけなのでは? 奥さんにも優しそうだし、女性には基本優しいけど、男には厳しく、もしも車道に飛び出したのが男の子だったら助けてないのでは???

アニメ、3話目ぐらいまでは展開がゆっくりに見えて、「このペースで大丈夫なの?」と思ったんだけど、次の第6話で原作第4巻の終わりぐらいまで描かれそうな感じで、そうすると1クール13話でちょうどドニー篇の最後まで行くかな。9巻…いや、10巻途中までだからやっぱりギリギリ? 13話でなく12話でおしまいだったらだいぶキツそうな……。

元のリャンハのエピソードは丁寧に描いてほしいよね。声はどなたになるのかなぁ。

Feさんのイラストがまたほんとに素敵で、さらにリャンハ愛が深まってしまう。はぁぁ、推しのいる生活というのは本当にいいものですね。


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