※以下ネタバレあります!これからご覧になる方はご注意下さい!



観てきました!

演目が発表された時は「えええええ!?」と思った宝塚版「ルパン三世」。製作発表時のそれぞれの役に扮した画像を見て、「もしかしてありかな?」と楽しみにしていたのですが。

いやー、良かったです。楽しかった。

お話もよくできてるし、役者さんもすごい頑張っててちゃんと「ルパン一味」になってる。特にルパン役の早霧さんは「あぁらららららららら」「ふぅじこちゃぁぁぁん!」などというセリフ回しが完璧で。

別に、「ルパン三世」だからって必ずしもアニメ版の喋りを踏襲する必要はないと思うんだけど、でも、じゃあ、格好いい男役スターさんが普通に格好良く喋ってて「ルパン」になるのか、かえって違和感があるんじゃないかという気もするし、最初はちょっとむずむずしたものの(笑)、しだいにツボにはまってきました。

うん、その、「あらららら」みたいな特徴的なところだけじゃなくて、「さよならじゃないぜ、マリーちゃん」みたいな、普通に読んだら普通なセリフもちゃんと山田康雄さんを踏襲してる。

それに最後、幕が下りる時にジャンプして足を打ち合わせる、いかにもアニメ的な「ルパンのポーズ」で去っていくのよ。客席から思わず「おおっ!」というどよめきが。

映画やテレビドラマなら撮影技術でなんとでもできるでしょうが、生身の舞台であんなことができるとは。

タカラジェンヌの身体能力すごい。

次元や五右衞門はそんなにセリフがないし、見せ場が多いわけでもないけど、次元は「立ち姿」がすごく「次元」だったし、五右衞門もちゃんと立ち回りして、「またつまらぬものを斬ってしまった」を言ってくれる。

そしてお芝居では「わぁ、ちゃんと次元だ!」って思う人がショーでは女役で踊ってたりするからほんまタカラジェンヌすごい。

不二子ちゃん色っぽかったし、銭形はアニメの銭形以上にコミカルだったかも。

おっかけっこの演出とか、アニメやマンガの動きの面白さを「生の舞台」でどう表現するか、全体によく考えられてたと思う。

副題が「王妃の首飾りを追え!」で、マリー・アントワネットの首飾りを盗みに入ったルパン一味が銭形ともども18世紀のパリにタイムスリップして……というお話なんだけど、宝塚ファンにはお馴染みの「ベルサイユのばら」のパロディとしても楽しめました。

王妃の首飾り――そう、かの有名な「首飾り事件」。ジャンヌにそそのかされたローアン枢機卿が替え玉アントワネットに騙され……ってくだり、ベルばら原作ファンには懐かしいですよね。宝塚の「ベルばら」では今まで描かれてこなかった部分です。

ジャンヌの夫のド・ラモットとかホント懐かしい。

で、ジャンヌをそそのかして「首飾り事件」の筋書きを書いたのは実はタイムスリップしてきたルパンだった!ってことになってるんです。

だから……というわけでもないけどジャンヌとその愛人レトーは当局に捕まらず、「これを見てよ!」と焼きごての跡を民衆に見せつけることもなく、国王一家を助ける側についちゃうという。

ルパン達が来たおかげで歴史が大きく変わっています(笑)。

ルパン達を現代へ戻すための方法を提供するのは錬金術師カリオストロ伯爵。ルパンでカリオストロと聞くとどうしてもクラリス出て来ちゃいますが、あのカリオストロとはもちろん別人です。

実在の錬金術師カリオストロ伯爵は本当に「首飾り事件」に絡んでいたらしく。今Wikipedia見て初めて知りました。ジャンヌが「首謀者はカリオストロ伯爵!」と告発したのだとか。

最後、現代に戻って再び王妃の首飾りを奪おうとするルパン。でも歴史が変わっていて、「復刻された首飾り」だったそれは王妃の子孫が納屋で見つけたものであり、さらにルパンに対する王妃の遺言書まで存在して、あっさり首飾りはルパンのものか、と思われたところさらにオチが……。

このオチもよくできてると思ったなぁ。

ルパンは結局「お宝」を手に入れられない、という結末まで見事に「ルパン」。

ルパンと一緒に王宮を抜け出したアントワネットが自身を揶揄するお芝居を見て心を痛めるシーンや、ルパンに置いてきぼりにされた結果8年間フランスで「シトワイヤン銭形」として頑張る
銭形もとてもいいし、これアニメのTVスペシャルでやっても面白いんじゃないかと思うぐらい。

カリオストロ役の望海さんは歌がうまくて、ショーでもたくさん歌ってはりました。歌の雰囲気がちょっとタータン(香寿たつき)に似てる気がした。

あと替え玉アントワネット役の舞咲りんさんが超絶歌がうまくてすごかった。もちろんショーでも歌ってはったけど、「ザッツ・ライフ」のとこ、舞咲さんの素晴らしい歌のあとに若い男役の子が引き継いで……落差が(^^;)

『ルパン三世』が面白すぎたのか、ショー『ファンシー・ガイ!』はそれほど印象に残ってないんですが、プレスリーとかシナトラとか、ザッツ・ライフにラッシュ・ライフ、おばさんには聴き馴染みのある有名曲ばかり。うーん、ちょっと新鮮味に欠けたかなぁ。最後の黒燕尾の大階段は格好良かったけども。

雪組観るの久しぶりということもあって、全然スターさんの顔がわからず、次元や五右衞門がどこにいるのかほとんどわからない。銭形の人とカリオストロの人はわかったのですけどねぇ。二人とも出番多かったから。

銭形役の夢乃さん、みゆさん(海峡ひろき)にすごく似て見えた。母も同じこと言ってたからきっとたぶん似てる(笑)。ショーでの扱われ方からして「もしかして退団されるのかな」と思ったらやっぱりこの公演で退団だそう(後からプログラムを見た)。コメディのできる芸達者なスターさんが去っていかれるのは残念ですね。

似てるといえばアントワネット役、トップ娘役の咲妃さんはなんとなくリンゴさん(小乙女幸)に似てる気がした。なんとなく。

咲妃さん、とても声がきれいで歌もお芝居も良かったです。まだやっと研5??? 若いのにカペー未亡人の場面もしっとりと演じてて。

「カペー未亡人」という呼び名も、ベルばらファンにはグッと来ますね。ベルナールもロザリーも出てきませんが(笑)。

あ、そうだ、忘れてた。『ルパン三世』、ちゃんと大野雄二さんの楽曲が使われてるんですよね。やっぱりあのルパンのテーマがかかると盛り上がります。ルパンのテーマだけでなく銭形マーチなども使われていたみたい。ラスト、早霧さんが「真っ赤な薔薇は~」と歌ってくれますし、ホントに、予想以上に「ルパン」でした。

見に行ったのは1月27日の11時公演。もう大劇場での公演は残り少ないこともあってか、平日でも立ち見が出てました。

東京公演もチケットは完売の様子。

観られて良かったです。