(※初回鑑賞後の長々とした感想記事に書ききれなかったこと、2回目観て気づいたことなどをまたまた長々とつらねる記事です)

(※今回の映画パンフレット、スチール写真がふんだんに使われていてとてもゴージャス。これがあるならビジュアルブック買う必要なかったんじゃ?)


初日に見に行ってからちょうど2週間、6月6日に『帰ってきたあぶない刑事』2回目観てきました。もうストーリーはわかっているから今度は細かい部分をしっかり見るぞ~、と思って行ったのに、結局また胸がいっぱいになって細かい記憶が残ってない…。

でも

・例のバックハグのシーンでタカさんがコートを落とすところ
・例の25年前の回想シーンでのCG
・瞳ちゃんが「鷹山さん!」「大下さぁん!」と二人への呼びかけを微妙に変えているところ


はちゃんとチェックしました。TVシリーズ初期にはあったけど消えてしまった「瞳ちゃんがユージに憧れている設定」、今回の呼び方の違いも、「大下さん」という方により柔らかい、優しいニュアンスが感じられました。タカさんに対しては純粋に「わっ、久しぶり!」って感じで、ユージに対してはもうちょっと感情が入ってるような。
俳優さんってすごいなぁ。


【25年前の回想シーン】

というわけで、1回目観た時に「え、これどうやってるの?」と思ったあのシーン。初回感想記事にも追記しましたが、「実際に今の舘さんたちがお芝居をして、顔だけCGで若返らせてる」ってことらしい。
確かにちょっと不自然な“顔”してるよね…。舘さんがちょっときんに君に見えたり……。
舘さんが80年代のスーツを着ているとか、恭兵さんも「生意気な頃のユージを意識してお芝居した」とおっしゃっていたり、「25年前もちゃんと本人」でできるの、今どきの映像技術すごい。

あの場面に出てくる白いスーツ着たヤクザっぽいお兄さんが「銀星会のモトヤマ」だったんですかね。「モトヤマが夏子に入れ上げてて、飛龍を庇ってタカさんがモトヤマに撃たれ、生死の境をさまよった」……。
もしかして彩夏はタカでもユージでも飛龍でもなくモトヤマの子、って可能性もあったりする?

最後、DNA鑑定の結果、教えてもらえないけど、鑑定するために関係者全員の血液とか唾液とか髪の毛とか、ちゃんと許可取って採取したのかしら。彩夏本人もタカ&ユージも「知らなくていい」と思ってそうだけどなぁ。

あと25年前の夏子が誰なのか問題。
あの夏子、『SPEC』映画に出て来た韓国語の女性(イ・ナヨンさん)に似てるなぁ、と思ったけど、どなたなんだろう。夏子は「顔を変えてる」設定だから、吉瀬さんをCGで若返らせるのは違うと思うんだけど、吉瀬さんに演じさせた上で少し違う顔(骨格は同じ)にしてるとかなの?????

『Where Do You Go From Here』を歌っているのはロザリーナさんだけど、もちろん彼女ではないし、クレジットを見てもそれらしい女性はいないし、やっぱり吉瀬さんなのかなぁ。


【キレッキレの太一くん、何度見ても最高】

2回目なのでより表情に注目して見てましたが、いやぁ、ほんと、悪い太一くん最高ですね。ものすごくいやらしい「悪さ」がたまんないよね。
逃げるステラと彩夏の前に姿を現す時の歩き方まで人を小馬鹿にした感じがあって、タカさんに脚撃たれて車に乗り込み、「殺す、殺す、殺す」ってぶつぶつ唱えるのもいかにもイカれてて良い。

途中、海堂は飛龍に「欲しいものは必ず手に入れる主義だ」みたいなこと言ってるんだけど、その実彼は「本当に欲しいものを一度も手に入れられたことがない」んじゃないかな。だからこそちょっとしたことですぐキレて、「言うこときかない奴は許せない」「殺す」ってなるんじゃないのか。

銀星会組長の息子とは言っても「愛人の子」で、父親はさっさと殺されてしまって不在。前尾が亡くなったのが映画と同じ1989年の出来事だとすると35年前、おそらく父親の顔をほぼ知らずに育って、別に銀星会の組員たちからちやほやされることもなく、もしかしたら貧しい子ども時代を送ったのかもしれない。それでいて「ヤクザの息子」という肩書きはずっとついて回って、あたりまえの家族とか友人とか、「誰もが持っているように見える」ものは手に入れられなくて――。

なんか色々と「彼のこれまでの人生」を考えてしまう太一くんのお芝居だった。
好き。


【トオルもやっぱり良い】

2回目もやっぱりトオルのあの啖呵のところでうるうるしてしまった。押収武器の詰まった棚を前に「さてどうするか」と首傾げてるシーンもすごく良いよね。
ちゃんと大人になって、それどころか「定年まで5年」という年齢になってるトオルと、あの2人を前に「永遠の後輩キャラ」であり続けるトオルが同時に存在している、それも絶妙なバランスで。

自分と一番年齢が近いのがトオルってこともあるし、鷹山と大下はずーっと変わらず鷹山と大下であり続けているから、「町田透」にこそ、この38年間の時間が詰まっている――凝縮されてるように感じる。

港署三代目捜査課長町田透をメインに据えた『そこそこあぶない刑事』、今からでも作ってくれていいのよ。(※そんな企画があったという話→近藤プロデューサーへのインタビュー記事


【土屋太鳳ちゃん&彩夏のこと】

前の感想記事で太鳳ちゃんのことほとんど書いてなかったんだけど、劇中でユージが彩夏のアクションを見て「キレッキレじゃないか」と言ってるとおり、しっかり動けてて、バイクにまたがる姿も様になってて、そういえば『るろ剣』の操ちゃんやってたよなぁ、と思い出しました。めっちゃ動けるんだよね、太鳳ちゃん。
(※『京都大火編』の感想記事読み返したけど、やっぱりこれも太鳳ちゃんのことあっさりスルーしててワロタ。あれはアンクちゃんを愛でる映画だからしかたない)

頭のおかしいオタクなので「あー!?3人でサングラスかけて記念写真なんか撮るなよ!一つ屋根の下で過ごしたりすんじゃねぇよ、勝手にタカさんのバスローブ着るなぁ!!!!!」って、1回目の時は「敵認定」してしまってました。
『さらば』の時の夏海ほどではないけど、特にコメントしたくないっていうかこう……。ははは。

でもバスローブはヤバくない?

タカさんの留守中に彩夏が探偵事務所に来てて、部屋にバスローブ姿の若い娘がいるのを見て「女連れ込むなんてルール違反だろ、しかもこんな若い子」ってタカさんがあたふたして、「ってゆーか、俺のバスローブ!」みたいな。

まぁ2回目は展開がわかっているので生暖かい目で見られたし、屋上で彩夏とユージが踊っているのを見守るタカさんとか、良いなぁと思えたけれども。
タカさんと大下さんが“娘”とともにこんな穏やかな、温かな時間を過ごしてるって、感慨深いよねぇ。「こんな日が来るとは」だよねぇ……。

最後、タカとユージは「夏子を見つけられなくてごめん」って言って、彩夏は「ここにいたら心の整理がつかないから」と言って横浜を去って行く。
ステラ・リーに助け出され、抱きしめられる場面で「彼女が夏子」ということは薄々気づいていて、だからこその「心の整理」だと思うけど、「夏子はきっと世界のどこかで歌ってる」ってユージの言葉、彩夏的にはつらいよね……。2人の優しい嘘をそのまま受け入れて、去って行く彩夏。
「ありがとう、さようなら、お父さん」って言うのも、「2人は父親じゃない」って思ってるからじゃないのかな。父親じゃないけど、だからこそ「お父さん」って呼びたい、だからこそ、2人いっぺんに「お父さん」って言える。

って、こんな考察する方が野暮かなぁ。
もしかしたらノベライズにもうちょっと詳しくそれぞれの心情が書き込まれてるのかもしれないけど、自分であれこれ想像するのが楽しいので……。

「おまえの娘を守りたい」ってお互いに言い合うタカとユージ。25年前なら「え?おまえも夏子と!?」って揉めたかもしれないけど、今はただ互いにとって大事な女性、その人の大事な娘、そして「大事な相棒の娘」。

どうやったらそんな関係になれるんだろ。そんな「愛し合ってる」関係に。

タカとユージが初めて会った時――なれそめって、どんなだったんだろうなぁ。(最初は思いきり喧嘩してそうよね)


【『必殺剣劇人』の話】

「どっちの子どもかわからない娘が現れ、その子のために一肌脱ぐ」という話で思い出したのが『必殺剣劇人』。必殺シリーズの最終作で、8話しかなく、それまでの「必殺」とはずいぶん毛色の違った作品だったんだけど、好きだったんだよなぁ。

※AmazonPrimeVideoで『必殺剣劇人』を見る

これも主人公3人のもとに、「3人のうちの誰かが父親」と言う娘が現れて、お話が始まる。父親(かもしれない)役は近藤正臣さん、田中健さん、あおい輝彦さん。そして娘役は工藤夕貴さん。まだ17歳ぐらいの工藤さんがとても可愛かった。

本放送を1回見たきりなので詳しいことは覚えてないけど、最初は「娘ーっ?」と戸惑っていた3人が、「3人のうちの誰の娘か」なんて関係なく、「俺たちの大事な娘」として彼女の願いを叶えるために悪人を成敗していく、でもそんなことをしているのは彼女には内緒っていう(もちろん彼女はとっくに気づいていたオチ)。

調べたら1987年8月~9月の放送で、ちょうど『あぶ刑事』テレビシリーズの最終盤と同時期。金曜の22時に『剣劇人』を見て、日曜21時に『あぶ刑事』を見る生活だったんだな。


【『帰ってきた』を見てから『さらば』を見ると】

6月8日にBS日テレが『さらばあぶない刑事』をノーカット放送してくれて。
『さらば』も映画館で2回見たけど、それももう8年も前(※当時の感想記事こちら)。金曜ロードショーで放送されたのが2017年の2月17日で、もちろんリアタイで見たんだけども、本編もエンディングもカットされて1時間34分しかないバージョン。24分もカットされてたんか……。

なのでちゃんと見るのは映画館以来の『さらば』、改めて見るとすんごい血腥いですね、これ。のっけから怪しげなブラックマーケットでドンパチやって、その元締めの男はバンバン撃たれて殺された上に腕を斬られて、そのあともガルシアが中国マフィアにマシンガンばばばばば!

重要物保管所が襲われる時も人死にこそ出ないものの派手な銃撃で室内めちゃくちゃ。歴代映画の中で全体の弾丸使用量が一番多いのでは?と思うぐらいバカスカぶっぱなしてた。

『帰ってきた』が新しい若いスタッフで、「今までとは映像も違う新しい“あぶない刑事”になってる」っていうの、『帰ってきた』だけ見ててもピンと来なかったんだけど、『さらば』を見ると「なるほどこっちは昭和のハードボイルドやくざアクションだなぁ」と。
うちのTVの画質のせいもあるかもしれないけど全体に画面が暗めなところ、無駄にサンバのお姉ちゃんの腰つきが映ったり、BOBの設定や彼等の「非道」の見せ方、クライマックスのガルシアとタカさんのバイク対決……。

『さらば』は黒澤満さん、村川透さん、仙元誠三さんという1978年の映画『最も危険な遊戯』と同じ面子で製作されているらしく、なんか、「なるほど」と思っちゃいました。まぁ『最も危険な遊戯』見たことないんだけど、劇場版『あぶ刑事』初期3部作以上に昭和ハードボイルドな感じ。

※『最も危険な遊戯』をAmazonPrimeVideoで見る

翻って『帰ってきた』は画面の印象もすっきり明るいし、何より「血腥さ」がほぼない。殺人は起こるし、海堂はキレッキレだけど、BOBみたいな直接的な死屍累々シーンはない。
タカ&ユージがもう刑事じゃなくて丸腰、そして“娘”との温かい交流が大きなポイントになってるから、さすがにBOBみたいのとは対決できないもんね。
でもだからと言って『帰ってきた』のアクションが物足りないかというと全然そんなことはなくて、最初にユージと彩夏が襲われるところ、カプリアイランドでの銃撃戦、最後の埠頭での息詰まる戦いにタカさんのハーレーと見どころたっぷり。

海堂の乗った車が岸壁飛び越えて海に落ちていくのも大迫力だし、スカッとするよねぇぇぇ。車の部品(?)が飛び散るのとかもしっかり見えて、いったん沈んだあとに大爆発。
「今回のハーレーシーンが一番良い」と恭兵さんだったかな?がおっしゃってたけど、ほんとにハーレーからのあの一連の流れ、テンポも映像もすごく良かった。

ストーリーとアクションのバランスも、キャラクターの配置も、『帰ってきた』は非常によくできてるな、と『さらば』を見て改めて思いました。

ミサイルとかタンカーとか無駄にデカい話にならずに、テレビシリーズに近いテイストなのも良いよね。西野七瀬さん扮する若い刑事さんも前面に出すぎず、ちょうどいい距離感だし。

あと、『さらば』でも『帰ってきた』でも左腕を撃たれてるユージ。『帰ってきた』でタカさんに「怪我はもう大丈夫か?」って訊かれて「何発撃たれてきたと思ってるんだ」って答えてたけど、ほんとにシリーズ全体で何発撃たれてるんだろ。ご無事で何よりですわ。


【舞台は2024年秋】

公式さんがこういうクイズをTweetしてらして、初めて「あ、未来の出来事だったのか」と知りました。今年の秋、横浜ではこんな事件が起こってしまうのか。

彩夏はもう誕生日を過ぎて、満24歳。タカさんは1956年12月15日生まれ設定だからまだ67歳?? 大下さんの誕生日は不明だけど、同い年のはずよね。2016年公開の『さらば』は誕生日設定的にもちゃんとで60歳定年の年に公開してたんだな、よくできてる。

(※珍しく購入したグッズ。鷹山さん目当てだったけど、最強の4人集合ショット、これぞ『あぶ刑事』なやつが当たって良かったです)


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