びははせんたい・みんきーまま
★美母戦隊ミンキーママ★
その2『ミンキーママ、デビュー!』 Vol.1
[E:danger]この物語はフィクションです。実在の人物・団体等には一切関係ありません。

 それはそれとして。
「なんであんた、あたしにくっついて来んのよ!」
 白仙人東流斎(とうりゅうさい)――又の名を単に『じじぃ』――、体長10�をさらにノミサイズに縮めて人の髪の毛の中に棲息中。
「そりゃ、だって、パープルはちと怖ろしいし、ピンクんとこはあのちみこい女の子にいじり倒されそうじゃろ。たまには良いが、毎日ではな。おまえさんとこしか残っとらんじゃないか」
 だから色で呼ぶなよ、色で。
「何、心配せんでもあの2人は逃げやせん。さっき渡した念珠でしっかりわしに結びついておる」
 別に逃げるとか引っ越すとか心配してるわけちゃう、っちゅーの。そりゃ、もし2人に夜逃げでもされて1人でこいつの相手をする羽目になったらと思うとぞっとするけど。
 夕飯の用意をするあたしの左手には、じじぃに渡されたブラックオニキスの念珠が巻きついている。淳子にはアメジスト、芳美ちゃんにはローズクォーツ。何でもこの念珠が『ミンキーママ』の証、所用でじじぃが仙界に戻っている時でもあたし達を守り、変身する力を与えてくれるらしい。
「大体、数珠っていうのがねぇ。普通さ、もうちょっと可愛いアイテムじゃない? 魔法の鏡だとかステッキだとか。そもそも普通魔法モノって、お使いに出てくるのは猫とかぬいぐるみとか、愛らしい妖精でしょうが。なんでじじぃなのよっ」
「じじぃで悪かったな。わしとてざっと3千年前には男前のハンサムボーイだったんじゃ。現実は何事もテレビのようにはいかんわい。おまえさん達だって“魔法少女”じゃなかろうが」
 うっ。
 あたしだってざっと25年前にはそれなりに可愛い少女だったわよ。
「ほれ、焦げとるぞ」
「あーもう、うるさいっ」
 ぺしっ、ぺしっ、ぺしっ。
 人の髪の毛の中をあっちこっちと逃げ回るじじぃを追いかけて自分の頭をぺしぺし叩いていると。
「あら、玲子さん、何やってるの? 新手のマッサージ?」
 お義母さん、登場。
 うち、2世帯同居なのだ。と言っても暁(あきら)が生まれる時に家を建て替えて、1階が親世帯、2階が子世帯という一応の分離生活になっている。座敷がある分親世帯の方がスペースが広いんだけど、あたし達の方にもキッチンやお風呂があって、かなり恵まれた生活を送らせてもらっている。
「ひじき炊いたんだけど、お弁当のおかずにどうかと思って」
 平日はそれぞれ別に食事の用意をするのだけど、けっこうしばしばこうやっておかずの交換をする。特にダーリンのお弁当に何を入れるかは毎日悩みの種なので、お総菜上手のお義母さんにはとっても助けられてるのだ。暁もあたしが用事をしてる時は下(1階のことね)で遊んでもらってるし。