暁千星さんと詩ちづるさんの新トップコンビ大劇場お披露目公演、1月8日に観てまいりました。もちろん今回もB席であります。前回雪組さんのショーではB席近くにもスターさん来てくださったんだけど、今回はなしでした。客席降りのところ、毎回2階席にもなんらかの演出があると良いのにな。
さて、まずはビート・シアターと銘打たれたお芝居『恋する天動説』。作/演出は大野拓史先生。プログラムのキャスト紹介のところに細かく時代背景の説明が書いてあるのがいかにも大野先生、『ゴールデン・リバティ』でも見たやつだ~。あちらはアメリカ開拓時代のお話、宝塚には珍しい西部劇でしたが、今回の舞台は1960年代のイギリス、南部の海浜リゾート地ブライトン。
「労働者階級の若者たちは、三つボタンに細身のスーツでダンスミュージックに興じる“モッズ”と、リーゼントに革ジャン、ロックンロールを愛する“ロッカーズ”に二分され、勢力争いを繰り広げていた――。」
というあらすじの冒頭だけ読んで、「ジェット団とシャーク団かな。イギリス版ウエスト・サイド・ストーリーかな」と思っていたら全然違いました。両方のリーダーが一人のヒロインをめぐって争うというのでもなかった。
暁さん扮する主人公アレックスは“モッズ”側のリーダー。そして今回から星組2番手男役となった瑠風輝さんは“ロッカーズ”のリーダー・レスリー。二人は子どもの頃からホーンパイプダンス大会で競い合ったライバルで幼なじみ。
幕開き、まず少年アレックスと少年レスリーのダンスがあり、それから「ずいぶん様子が変わった」青年となった二人が登場。レスリーはバイク、アレックスはスクーターに跨がって。劇中、何度も舞台の上を本物(よね?)のバイクやスクーターが走り、車も走ります。もちろん速度はゆっくりだけど、バイクはゆっくり走らせる方がかえって難しそうだし、暁さん瑠風さん、そして大道具さん(あれは小道具の範疇?)がんばったなぁ。
“モッズ”と“ロッカーズ”の派手なダンス対決、派手にやりすぎて警察がやってきて、「逃げろ~!」とちりぢりになる若者たち。アレックスはスクーターでとあるホテルの玄関に突っ込み、そこでヒロインの婚約者と間違われることに……。
詩さん演じるシンシアはホテル王と呼ばれるドロシー・ブラックウェルの孫娘。夫亡きあと一人でホテルグループを切り盛りしてきたドロシーには若い頃、「いつか私たちの子孫が結ばれるように」と願って別れた恋人がいて――って、何それ『はいからさんが通る』か――、その“子孫”が見つかったので、シンシアと結婚させて会社を継がせたいと考えています。で、ちょうどその、アレックス・ニュートンという名の青年が初めてドロシー達の前に姿を現す、そんな夜に、同じアレックスという名前の暁さんがガラガラガッシャーン!と派手に玄関に突っ込んできたわけです。
暁さんの方は「アレックス・ニュートン=ジョン」という名前なんですが、事故った衝撃で「アレックス・ニュー」まで言ったところで気絶してしまい、ドロシー達から「この青年こそ結婚相手」だと思われるんですね。そして車に詳しいということでシンシアと意気投合。
いいとこのお嬢さんでオックスフォードに通っているシンシア、実はカーレーサーでもあるんです。「もう少しでF1じゃん!」とか言われてましたが、1960年代イギリス、普通に女性のレーサー活躍してたんでしょうか。
アレックスの方は自分が人違いされてることにすぐに気づくんですが、シンシア側は気づかず、どんどんアレックスに惹かれていってしまう。初めて自分の夢(カーレース)を応援してくれる相手に出逢って、「早口のオタク」みたいになったり、真っ赤になったりする詩さんがとーってもキュートでした。「おきゃん」という言葉がぴったりな、活き活きと愛くるしい感じ。アレックスに騙されていた(そもそもは勝手にシンシア側の家族が勘違いしたんですが)ことに気づき、すっかり呆けたようになってしまった場面の“間(ま)”もとても良くて。
シンシアの父親は草レースで亡くなっていて、実はその時に車の整備をしていたのがアレックスの父。「メカニックの整備が悪かったのではないか」と周囲から責められたアレックスの父親は酒に溺れ、「自分もメカニックになる」という少年アレックスの夢も潰えてしまった。
アレックスの方もシンシアのことを好きになっているけど、「住む世界が違う」上にそんな親世代の因縁もあって、一歩を踏み出せない。下を向くアレックスの背中を押してくれるのはもちろん幼なじみのレスリー。二人一緒に誤って(?)警察にしょっぴかれちゃうんですが、留置場の中で「諦めちまうのかよ」と発破かけてくれる。
リーゼントに革ジャン、バイク乗り回して一見不良っぽいけど全然「ワル」じゃない友だち思いのレスリー、なんか、逆に物足りないような??? 瑠風さん、前回『RazzleDazzle』では見事な女役を披露してくださって、歌もうまいし、すごく期待して観劇したので、「あれ?出番あんまりない??」って感じで。正直冒頭のあのダンス合戦が唯一の見せ場と言ってもいいぐらい。プログラムのコメントで瑠風さんも「メインの物語にはあんまり絡まない」っておっしゃってて、「それな!」ってなりました。ロッカーズスタイルよく似合ってとても格好良かったけど、だからこそ物足りなーい! もっと暁さんと丁々発止してほしかったなぁ。
お話自体は肩の凝らないハートフルなラブコメで、わかりやすくて、新生星組の門出としても、お正月の公演としても良かったと思います。暁さんと詩さんの溌剌とした若さ、可愛さがよく生かされていて。最後、「おまえら俺のこと大好きかよ」「だーいすきだー!」「レスリー、聞こえないぞ」「だーいーすーきーだー!」「(客席に向かって)こっちのみんなはどうだ?大好きか?」というアレックス(暁さん)の煽りで終わるのも楽しく。
暁さん、歌もお芝居も良いし、派手なストライプスーツにモッズコートがよく似合って、格好良かったです。プログラムのスチール写真、メイクのせいもあってか、ちょっとカリンチョさん(杜けあき)風味を感じる。
ドロシー役万里柚美お姉様はさすがの安定感、美貌もご健在。我が青春の星組スター万里さん、しょっちゅう星組に出ていらっしゃる気がします、ふふふ。
シンシアの妹キアラ役、乙華菜乃さん。乙華さんは今度バウでヒロインですね。お嬢様であることを笠に着て「あんた達なんかいつでも潰せるのよ」とモッズの若者を脅すとこ、堂に入ってて良かったです。末っ子だけど兄弟の中で一番しっかりちゃっかりしてる。本物のアレックス(シンシアと結婚するはずだった“子孫”)とばったり会って「もしかして?」と思ったら「私は仕事に生きるわ!」ってなるところも面白かった。
本物のアレックス役、大希颯さん。新公でアレックスをやるということで――ああ、おんなじ名前ややこしい! 遠目にもわかるイケメンさんだった。
元カーレーサーで今は天文台所長のダグラス役、朝水りょうさんも男前だったな。シンシアの兄ティモシーが天文学者を目指していて、祖母ドロシーも若い頃は天文学をやっていたという設定で、そこからふわっとタイトルの「天動説」が出てくるんだけど、だいぶふわっとしてた……。新生星組、星々が動きだすぞ~!みたいなイメージなのかな、「天動説」。
劇中に登場するクラシックカーのナンバーが「STAR☆ARI&UTA」ってなってたの細かかった。あと、レスリーが働いてる遊園地の遊具に「ヘルタースケルター」って書いてあって、「沢尻エリカの映画?」と思ったんだけど、プログラムを見ると「ヘルタースケルター」というのは英国の遊園地の定番遊具「回転式滑り台」のことらしい。へぇぇ。
ギャラクシー・レビューと銘打たれたショー『DYNAMIC NOVA』は稲葉太地先生の作/演出。稲葉先生のショーを拝見するのは2024年の『Jubilee』以来ですね。お芝居と同じくこちらも「新生星組」ということで「NOVA」=新星。プロローグで華々しく誕生したNOVA=暁さんとプリンセス=詩さんが色々な星を巡っていくという趣向。
瑠風さんの歌で始まって、組子の中からバーン!と暁さんが飛び上がるように登場するプロローグ、なかなかのインパクト。
続く「木星」の場面は瑠風さんメイン。ちょっとアラビアンな感じのお衣装がよく似合って格好いい。「火星」を経て、中詰めは「冥王星」。氷のカルナバル。そして「超新星」と題して、大希さんや乙華さんたち若手スターさんによる場面。『Jubilee』の時にもあったけど、若手スターさんをメインに据えた場面、印象に残ります。でも「超新星」って、実は星の一生の最後に爆発するやつですよね…? そこからまた新しい星の卵が生まれるみたいな話だけど。
そのあと、「海王星」の場面は「惑わしのタンゴ」。瑠風さんの歌で、暁さんが踊る! お相手を務めるのは男役の稀惺かずとさん。稀惺さん細面(ほそおもて)でドレスがよく似合って美しかった。瑠風さんの歌も素敵だった~♪
そしてフィナーレ男役大階段はライダースーツ! 暁さんは最初大階段に不良っぽい感じで座ってて、曲調もロックで、お芝居の“ロッカーズ”と通じる雰囲気で面白かったです。何より美稀千種組長がですね! 同じライダースーツ衣装でバリバリに踊ってらしてですね!!! めっちゃ格好良かったです♡
美稀さん、プロローグも中詰めもバリバリキメキメに踊ってらして、つい暁さんよりも美稀さんの方に目が(笑)。美稀さん1993年入団だから…今年で33年? 未だ若い組子たちと一緒にキメッキメに男役できるの凄いですよね。好き。
一緒に観劇した母が「一曲一曲が長い」と言ってたんだけど、確かに一場面の中での緩急というか転換が少なくて、一曲をじっくりやる感じでしたね。前回雪組さんのショーが一徳先生で、これでもか!というぐらい入れ替わり立ち替わりな構成だったので、よけい「長い」と感じたのかもしれない。若手スターさんによる「超新星」の場面が印象に残ったのも、あそこは短めで「入れ替わり立ち替わり」、私の好みに合ってたからかも。
ところで暁さんと瑠風さん、同期なんですよねぇ。これで雪組、宙組、星組と3つの組で男役トップと二番手が同期という。しかも雪組宙組の4人は同じ95期。こんなことって、長い宝塚の歴史でも初めてでは。ってゆーか、娘役含めトップスターを8名も輩出する95期、すごすぎ。
可愛らしいビジュアルの暁さんと正統派男役な雰囲気の瑠風さん、お二人とも長身でシュッとして、我が青春のゴージャス星組を思い出します。次はお二人ががっつり組むお芝居を是非観たいです。暁さんの黒い、悪い役も観てみたいなぁ。
0 Comments
コメントを投稿