びははせんたい・みんきーまま
★美母戦隊ミンキーママ★
その1『PTAから始まった』 Vol.8
[E:danger]この物語はフィクションです。実在の人物・団体等には一切関係ありません。

「悪かったわね、よその子を叱る勇気がなくて」
「だってしょうがないじゃない、紙おむつとかすぐ溜まっちゃうんだもーん」
 苦虫を噛み潰す淳子と、ぷっと口をとんがらかす芳美ちゃん。二人とも身に覚えがあったわけね。なんかこう、重箱の隅をつつくようなみみっちい攻撃だけど。
 ため息をついて、あたしは言った。
「わかったわよ。あんたの言うこと信じりゃいいんでしょ。あんたはいい仙人で、矢沢理恵子はこのあかね地区の平和を乱すため送り込まれた悪い仙人の手先。で、何? あたし達にどうしろって言うの?」
「そりゃ決まっとる。戦うんじゃ」
「戦う? 矢沢と?」
 じーさん、重々しくうなずいて。
「彼女の背後にいる黒仙人どもとな。おぬしらは今日からわしら白仙人の僕(しもべ)、正義の味方としてこのゆかり野市の平和を守るのじゃ」
「ちょっと、そんなこと勝手に決めないでよ。なんであたしらがあんたの下僕にならなきゃいけないわけ?」
 淳子、反論。
「そりゃ仕方なかろう。PTA役員なんじゃから」
 なんでやー。そんな話聞いたことないぞー。役員に当たるともれなくけったいな仙人じじぃが付いてくるなんて。
「誰がけったいなじじぃじゃ。言うとくがな、わしが下界に姿を現すのはかれこれ150年ぶりなんじゃぞ。おぬしら、選ばれて光栄と思え。それに、わしの僕(しもべ)になるということはそれ相応の力が使えるようになるということじゃ。しがない育児ママが正義のヒロインになれるんじゃぞ。ほれ、こんなふうに」
 すいっとじーさんが杖を一振りすると。
 きらきらきらっ☆ 目の前の芳美ちゃんの姿がピンクのお星様の輝きに包まれ。
 一瞬にして芳美ちゃんはレースのミニスカ、胸にハートのスパンコール。編み編みブーツに仮面をつけた、超怪しい美少女(?)戦士に。
「えーっ、嘘ーっ、セーラームーンみたぁい!」
 おいおい、喜ぶなよ、芳美ちゃん。
「ほれ、そっちの2人も」
 ってこら、ちょっと待てぇ!
 と、制止する間もあらばこそ。あたしと淳子、それぞれオレンジと水色の光に包まれて。
 ぎょえー、やめてくれー。オレンジのふりふりレースなんて最悪やないかぁ。
「可愛いっ!」
 だから喜ぶなって、芳美!