びははせんたい・みんきーまま
★美母戦隊ミンキーママ★
その1『PTAから始まった』 Vol.9
[E:danger]この物語はフィクションです。実在の人物・団体等には一切関係ありません。

「こぉのくそじじぃ、何勝手な真似してんだよっ!」
 淳子、怒りの鉄拳。かわすじじぃ。
「気に入らんのか? 似合うとるぞ、ひょっひょっひょっ」
 なんちゅう笑い声だ。じーさん、あたしと淳子がフリルアレルギーなのを知っててわざとこんな格好にしたな。
「わかったわかった。じゃ、これでどうだ?」
 淳子とあたしの繰り出す拳をのらりくらりと交わしながら、じーさんがくるりと杖を回した。
 するとあらあら不思議、あら不思議。今後は紫と黒の光があたし達にまとわりつき。
 淳子は紫のタキシード、そしてあたしは黒燕尾。
「きゃー、宝塚みたぁい!」
 だから喜ぶなよ、芳美。
「着てみたかったんじゃないのかぁ、え? 憧れのタカラジェンヌ、男役じゃぞい」
 うっ。そりゃ好きだけどさ、宝塚。
「よぉく見てみぃ。少々補正も効かしてある。上等じゃろうが」
 補正?
 あたしと淳子、『ラ・セーヌの星』もどきの仮面ごしに、互いの姿をしげしげと眺め合った。
 なんと衣裳だけでなく、髪までセットされている。淳子はストレートのセミロングに紫のメッシュが入り、あたしはウルフカットを横に撫でつけられてまさしく男役風。メークもばっちり、耳にはピアス。そして二人とも、やけに腰の位置が高くなっていて。
「悪いけど木戸さん、そんなにスタイル良くなかったよね、さっきまで」
「うん。倉橋さんも」
 あたし、もともと痩せてはいたけど、足は太かった。長くもなかった。
 なるほど、“補正”ね。
「かっこいいよ、2人とも!」
 よくよく見ると芳美ちゃんもちょっとスリムになっている。顔もなんかさらに童顔になってるような。うーん、しかしこの宝塚男役+セーラームーンもどきのスリーショット、なんか超怪しいコスプレ大会みたいなんだけど。
「どうじゃ。悪くなかろう。名付けて……そうじゃな、ミンキーママってのはどうだ? ミンキーブラック、ミンキーピンク、ミンキーパープルじゃ!」
 ――おい、それって『魔法のプリンセス・ミンキーモモ』のまんまパクリちゃうんか?
 喜んでいいんだか悲しんでいいんだか、その日からあたしら3人、謎の戦隊ヒロインになってしまったのだった。