びははせんたい・みんきーまま
★美母戦隊ミンキーママ★
その2『ミンキーママ、デビュー!』 Vol.4
[E:danger]この物語はフィクションです。実在の人物・団体等には一切関係ありません。

 握りつぶそうとしたあたしの掌からするりと抜け出し、じじぃは碁盤の上に飛び降りた。
「碁や将棋はボケ防止にもってこいじゃ。打ち方も知らん奴はすっこんどれ」
 いくらおじいちゃんが半分ボケてるって言ってもさ、まずいだろ、やっぱ。こんなとこふみちゃんに見られたら。
「何騒いでるの、玲子さん」
 ほらーっ、来ちゃったじゃなーい。
「あら」
 とととととっと碁盤に近寄ったふみちゃん、しゃがみ込んでまじまじと東流斎の姿を眺め。
「あらあらまぁまぁ、どうなさったんですか。悪い魔女にでも小さくされましたの?」
 ふみちゃーん。
「いやいや、わしは仙人でしてな。自らの意志でこのサイズになっとるのですわい。あまりでかい老人というのは可愛げがありませんのでな」
「まぁ、仙人様。まぁまぁまぁまぁ、おじいちゃんの相手をしてくれてらっしゃるんですか。それはどうもお世話様です」
「いや、世話というほどのことは」
 って、なんでそうフツーに会話するかな、あんた達は。
「ほれ、あんたの番ですぞ。早ぅ打ちなされ。それとも投了ですかな」
「とんでもない。まぁそう急かしなさんな」
 おじいちゃんが東流斎の怪しさをまったく気にしないのはともかくとしても。
「じゃ、まぁ一服しましょうよ。お昼ですから。仙人さん、一緒にお食事なさいます?」
 ふみちゃん、肝っ玉座りすぎ!
 なわけで、その日から東流斎の奴はほぼ毎日一緒に昼食の席に着くことになった。お弁当がなくて暁が家にいる水曜と、ダーリンやこういっちゃんもいる土日を除いて。
 しかし仙人って霞食ってんじゃないのかよ。いっちょまえに卵焼きだの漬け物だの食うなよ。
「いいの、ふみちゃん。あんなけったいな奴、家に居座らしといて」
 と、あたしが訊くと。
「いいのいいの。おかげでおじいちゃんが退屈せずにすむじゃない。おじいちゃんったらデイサービスにも行きたがらないし、呆ける一方でしょ。年寄りは年寄りに相手させるに限るわよ」
 いや、ま、それはそうというか、でもあれはただの年寄りじゃないというか――。いや、別にね、ふみちゃんが気にしないんなら、いいんだよ。東流斎がおじいちゃんにくっついててくれれば、あたしとしても大助かりなわけだし。