びははせんたい・みんきーまま
★美母戦隊ミンキーママ★
その2『ミンキーママ、デビュー!』 Vol.5
[E:danger]この物語はフィクションです。実在の人物・団体等には一切関係ありません。

 うん、うまくすればこのまんまミンキーママだの黒仙人だの、わけのわかんない話はおしまいになってくれるかもしれない。最初っからこいつ、おじいちゃんと碁を打つために人間界に来たのかもしれないじゃない。それをああだこうだつまんない屁理屈をこねて、あたしら3人、からかわれただけじゃないの?
 が。
 そうは問屋がおろし大根。
 あたしの甘い夢と希望は見事に打ち砕かれた。4月の下旬、ゴールデンウィークを目前に控えた第2回PTA役員会議。会長矢沢の長ったらしい挨拶が終わり、司会としてあたし、副会長木戸がしゃべり始めた瞬間。
「えーっ、お手許の資料をご覧下さい」
 と言って自分の資料を見て、あたしは我が目を疑った。そこに書かれていたのは、思いもかけない『今日の予定』だった。
 矢沢を除く執行部3人と川端先生とで考えた今日の会議の予定。資料の半分はあたしがパソコンで打った。コピーしてホッチキスで止めたのもやっぱり矢沢を除くあたし達3人。去年やおととしの活動を参考に作った1年間の行事予定、予算、PTA会則。広報部、事業部、環境部それぞれの部長さんが提出してくれた部単位の活動目標。1学期最大のPTA行事、「夕涼み会」についての検討事項。
 まず最初に会則の確認をして、それから去年の決算報告をする。ここまでは、あたしが作った資料の通り。でも、3番目になぜか、『発表会のパワーアップについて』なんて項目が。しかもその後、5番目に『夕涼み会の廃止とそれに代わる行事の検討』って、ちょっと何? どうなってんの?
 あたしが泡を食って口を利けずにいると、まるで待ってましたとばかり川端先生がマイクを取った。
「えっと、今年は色々と去年までとは変更がありますので、私の方から説明させていただきます。まず会則の方からお願いします」
 あたしは淳子の顔を見た。もちろん淳子も困惑している。その淳子の袖口を引っ張って、芳美ちゃんが小声で言った。
「見て、ここ!」
 芳美ちゃんの指した箇所に目をやったあたしと淳子が「はぁっ!?」と驚いた丁度その時、川端先生が流れるような滑らかな口調でその文章を読み上げた。
「PTA会長の子息は、学芸会における劇の主役を演じる権利を優先的に所有するものとする。――あ、この学芸会というのは去年まで発表会と呼んでいた3学期の行事ですけれども、これについてはまた後ほど『発表会のパワーアップについて』というところで説明させていただきます――。第9条、役員の任期。役員は――」
 って、先生。
 先生ってばっ!!!!!
 一体いつの間にこんなこと。いつの間に矢沢、川端先生を丸め込んだの?