びははせんたい・みんきーまま
★美母戦隊ミンキーママ★
その2『ミンキーママ、デビュー!』 Vol.3
[E:danger]この物語はフィクションです。実在の人物・団体等には一切関係ありません。

 クワガタレンジャーの3人はめでたく同じクラスになって、心配していた暁の幼稚園生活もまずは順調な滑り出し。うん、なんちゅーか、一人っ子で、大人5人に囲まれて育ったせいか暁、妙に大人びたとこがあって、むしろ子どもが苦手っていう感じだったんだよね。公園行ってもぶらんこや滑り台より、隣の老人会のゲートボールの方に興味を示すタイプだし。またうっかり「ゲートボール」なんて言葉を出すとひいじいちゃんが「教えたろ」って言い出してホントにやらせちゃったりするから……。なんでか一緒になって『趣味の園芸』とか見てるしなぁ。4歳児にして既に枯淡の境地ってか? 幼稚園では浮きまくるんじゃないかと心配してたんだ。
 先に翔太くんと友だちになれてたのが大きかったと思う。淳子の躾が行き届いてるせいか、翔太くん、活発だけどやんちゃ過ぎないし、2年生のお姉ちゃん、美晴ちゃんもしっかりしててうまく遊んでくれる。こればっかりはホント、PTAに当たったのも無駄じゃなかったなぁって思う。
 思うけどしかし。
「おじいちゃーん、ご飯ーっ」
 我が家ではひいじいちゃんのことを『おじいちゃん』、暁にとって本当におじいちゃんに当たるお義父さんのことを『こういっちゃん(本名・孝一)』、その流れでお義母さんのことを『ふみちゃん(本名・芙美子)』と呼んでいる。61歳の『こういっちゃん』は去年一旦定年になった後、嘱託でまた同じ職場に働きに行っているので、暁のお弁当持ちが始まってしまうと、お昼はあたし、ふみちゃん、おじいちゃん、の3人になる。なんか寂しいねぇと言いながら迎えた暁抜きの2日目の昼食。
 あたしは縁側におじいちゃんを呼びに行った。リビングにいない時は大抵そこで盆栽をいじるか、うとうと居眠りをしてるから。
 その日はどっちでもなかった。
 カツン、という小気味のいい音に続いて。
「ああっ、そう来るかぁ」
 というおじいちゃんの声。さらに続いて、「ひょっひょっひょっ」という聞き覚えのあるいやな笑い声が――。
「ちょっとあんた、何やってんのよぉっ!!!」
 縁側では、なんでかおじいちゃんと東流斎が対局中だった。
「何って、見てわからんか。碁じゃ」
 積み上げた座布団の上にちょこんと座ったじじぃがしゃらっと答えた。はしっと、その体ごとひっつかんだあたし。
「んなこと訊いてんじゃないわよっ。なんでそんな白昼堂々人前に姿さらしてんの、あんたはっ」
「いや、玲子さん、この方あんたのお知り合いかね。なかなかの腕前じゃぞ。しかしわしもまだまだ――これでどうじゃ」
 カツーン。石を打つ、実に心地いい響き。って、おじーちゃん、相手が身長10�でも何とも思わんのか!?
 東流斎、またしてもあたしの考えを読んで。
「人は見かけじゃあない」
 そーゆー問題じゃねぇだろがっ。