びははせんたい・みんきーまま
★美母戦隊ミンキーママ★
その2『ミンキーママ、デビュー!』 Vol.7
[E:danger]この物語はフィクションです。実在の人物・団体等には一切関係ありません。

 黒燕尾のあたし、ミンキーブラック。紫タキシードの淳子、ミンキーパープル。そしてミンキーピンクはふりふりミニスカ、ラブリーキューティな芳美ちゃん。すっかり変身してしまったあたし達は、なんでか中身まで戦隊ヒロインになっていて。
「ピンク、子ども達を!」
「任せて! ミンキー・ドリーム!」
 口だけじゃない、頭も体も勝手に動く。技なんか知ってるはずもないのに、ピンクの放ったハートのピアスがきらきらと虹色の光で隅の子ども達を包むのを、あたしは当たり前のように目の端に入れている。あれは一種のバリアー。そして子ども達の視界を遮ってくれるんだ。おっかない戦いのシーンが見えないように。
「ミンキー・ホイップ!」
 あたしもまた、銀のピアスを魔法の泡立てスティックに変え、矢沢目がけてピシッと振った。ばばばっと白い泡が飛ぶ。……っておい、もうちょっと格好のいい武器はないのか? いくら“ママ”だからって。
「効くか、そんなもの!」
 矢沢、あたしの放ったホイップ攻撃をあっさりはじき飛ばして。
「ダーク・カッター!」
 ぴしゅぴしゅぴしゅっ。黒い小さなブーメランみたいな、ポケモンに出てくる「葉っぱカッター」の凶悪版みたいのが宙を切る。
 パープル・淳子がさっと動いてあたしの前に扇を広げた。まるで鋼鉄でできてでもいるかのように、その羽根扇はダーク・カッターを蹴散らす。
「ちょっと、なんであんただけそんな見栄えのいい武器持ってんの? あたし泡立て器だよ!」
「そんな細かいこと気にしない。戦闘中でしょ!」
 だからこそ気になるんじゃないかぁ。こんなみっともない武器で闘うなんて、気持ちが萎えるでしょうが。
「内輪もめしてる場合か、ほれ、動き出したぞ」
 じじぃの声を聞くより早く、あたしは振り向く。背後に嫌な気配を感じて。
 立ち上がっていた。背後霊を揺らめかせた役員達が、まるで彼女達自身幽霊のようにふらふらと、操り人形のような奇妙な動きで。
 ぞっとする間もあらばこそ、連中の腕が一斉にひゅっと振り下ろされ、飛んでくる黒い矢!