びははせんたい・みんきーまま
★美母戦隊ミンキーママ★
その2『ミンキーママ、デビュー』 Vol.8
[E:danger]この物語はフィクションです。実在の人物・団体等には一切関係ありません。

 とっさにジャンプしてかわす。おおっ、こりゃすごい。信じがたいジャンプ力。そのままくるんと宙返りして、ライダーキック! じゃないか、ミンキーキックだ。見よ、この華麗な足技。伊達にアクション映画は見てないぞ。
「こら、もちっと手加減せんか。こやつらは普通のお母さん達なんじゃぞ。悪霊を抜きゃあいいだけじゃ」
「手加減って、そんなことしてたらこっちが倒されちゃうじゃん」
 じじぃに答えながらもあたし、彼女らの繰り出す黒矢を必死でよけて。ったくぅ、フツーのお母さんがキックくらって平気で起き上がってくるわけないでしょーが。
「だから悪霊を抜くんじゃ、3人力を合わせんかいっ」
 あ、そうか。頭の中に、突然イメージが湧いた。初めて闘うのに、あたし達はちゃんと魔法を知ってるんだ。
「ミンキー・ショックっ!」
 それぞれの左腕をバロムクロスよろしく絡み合わせ、あたし達はオニキス、アメジスト、ローズクォーツ、3つの念珠を触れ合わせた。三色の光が霧のように役員の上に降り注ぐ。バシッと何かが壊れるような音がして、すいと黒い靄が役員の体から抜け出た。靄はきらきらと輝く光のかけらに触れて消えていく。へなへなとくずおれる役員たち。
「おのれっ、小癪な!」
 矢沢の口がかっと大きく開かれた。マンガに出てくる悪魔のようにぬらぬら唾を垂らす牙と、血の色をした舌が見える。
「失せろ、玄刃衛(げんじんえ)! お主の世界ではないっ!」
 気合いとともに、じじぃが杖を投げた。体長10�に見合うだけの小さな杖は怖ろしい勢いで矢沢の口に吸いこまれ、そのままびしゅっと後頭部を突き抜けた。
 って、ええっ、ちょっと、大丈夫なの!?
 大丈夫だった。
 悲鳴を上げたのは矢沢の背後に出現したでかい鬼で、じじぃの杖は矢沢の体を少しも傷つけてはいなかった。
「ふん、うっとうしい白仙人め」
 遠くでくぐもった声が聞こえ、苦しんでいた鬼はふっと一瞬で視界から消えた。気がつくと、川端先生も倒れている。みんな、倒れていた。虹色のバリアに守られた子どもたちが、何も知らず楽しげに遊び続けているのが異様だった。
「何を呆(ほう)けておる。後始末せんか」
 じじぃがまたノミになってあたしの耳元に戻る。
「後始末?」
「このままじゃ役員会が始められんじゃろうが」
 そりゃそうだけど。
「わかった、これでしょ!」