びははせんたい・みんきーまま
★美母戦隊ミンキーママ★
その2『ミンキーママ、デビュー!』 Vol.11
[E:danger]この物語はフィクションです。実在の人物・団体等には一切関係ありません。

「それ、いっぱいいるの?」
「おう。うじゃうじゃおる。魔界はいつも定員オーバーじゃ」
「それで、あたしらの味方はあんた一人だけなわけ? いないの、こっちにはあーゆー強力な助っ人が」
「おらん。まさか正義の味方が悪霊だの魔物だのを使うわけにはいくまい」
「だから例えば善霊とかっていないの? 霊は霊でもいい方の奴。ほら、例えば『陰陽師』に出てくる式神みたいのとか」
「おらん」
 じじぃ、即答。
 思わずあたしはこねていたミンチを思いきりボールに投げつけた。
「なんでやっ、なんでこっちだけ孤軍奮闘なんっ? 不公平やんかっ!」
 わめきながらビシバシとミンチを叩きつける。ああ、まったく今日のハンバーグは空気が抜けて最高においしいぞ。
「ヒーローは孤独なんじゃ」
 そんな理屈があるかっ。大体あたしらヒーローじゃなくてヒロインでしょうが。ヒロインにはかっこいいヒーローがつきものじゃないのよ。ラ・セーヌの星には黒いチューリップ、セーラームーンにはタキシード仮面、スケバン刑事には麗しの神恭一郎様がいたし、それからえーっと……。とにかく男前が出てこなくちゃヒロインやったってなんもおもろいことないっちゅーの!
「ママ〜、ハンバーグまだぁ? お腹空いたぁ!」
「はいはいはい、今から焼くから」
「あと何分?」
「15分」
「えーっ、待てへ〜ん」
「待てなくても待つの! 生焼けやったらお腹壊すやん。ミンチはヤバイねんで」
 まったく、主婦として毎日やっていくだけでも家事下手のあたしには大変だっていうのに、わけのわかんない悪霊と闘わなきゃなんないなんて。どうせ変身するんなら冷蔵庫の材料でフルコースが作れるスーパー主婦とか、まるでモデルハウスのように家をきれいに片づけていられるカリスマ主婦とかになった方がよっぽどええやん。……って、もうちょっと夢のある変身を思いつかんのか、あんたも。そう、どうせなら本物のタカラジェンヌに変身して羽根しょってあの大階段を降りるとか! ああ、それだったらパートナーがこんなよぼよぼじーさんでも文句言わないのになぁ。
 ぽかっ。
 じじぃが髪の毛の中からあたしの耳元を叩く。
 ふんっ、ほんとのこと言って何が悪い。一緒に生活させられるこっちの身にもなれ。
 あ〜あ。どうなっちゃうんだ? この先。