びははせんたい・みんきーまま
★美母戦隊ミンキーママ★
その3『ゴミ置き場は魔の匂い!?』 Vol.1
[E:danger]この物語はフィクションです。実在の人物・団体等には一切関係ありません。

 あたし達が見事ヒロインデビューを果たした恐怖の役員会の後、世の中はゴールデンウィークに突入した。うちのダーリンの職場は「暦通り」でちっとも10連休なんかにならなかったし、そもそも幼稚園が「暦通り」だから、関空がごった返そうとディズニーランドが満員御礼になろうと、わが家には全然関係がなかった。
 大体人混み、嫌いだし。
 ゴールデンウィークなんてどこ行っても混んでるし、旅行費用だってぼったくりになってるもんね。
 ま、そうは言っても野球を見に行ったりとか、それなりにイベントはあったんだけど。
 ゴールデンウィークの間、じじぃはずっと仙界へ帰っていた。10連休でこそないものの、やっぱりみんな(暁にダーリンにこういっちゃん)が家にいる時間がいつもの比ではないので、見つからないように身を隠していたのだ。あたしだって遊びに行くのにいちいちついて来られたくないし。何かあれば念珠を通してコンタクトができるらしかったけど、ありがたいことに何も起こらなかった。
 おじいちゃんが突然、「今日は東流斎さんの姿が見えんな」などと言い出す意外には。
 ホントにあれは心臓に悪い。みんなで食事をしている最中におじいちゃん、「玲子さん、今日はあの人はどうしたんじゃ。一緒に食べんのか」とか言い出すんだもん。「あの人」止まりの時はまだいいけど、たまにしっかり名前を出してくれることがあって、もうごまかすのが大変。ダーリンやこういっちゃんはそんなに真剣におじいちゃんの話を聞いてないからいいようなものの、暁がこだわるこだわる。
「トーリューサイって誰っ! そんな人おらへんやろ!」
「なんや、暁、知らんのか。毎日一緒にご飯食べてるやないか」
「食べてへん!」
「おじいちゃんと囲碁もしてるんやで。なかなかおもろい人でな」
「そんな人おらへん!」
 これが10分ぐらい延々と続くんだよなぁ。おじいちゃん、時々家の外の木とかガラスに映った自分の顔とかをよその人だと思い込んでしゃべりかけてることがあるもんだから、4歳児の暁でさえ「誰もいーひんで」って説得するようになってて……。まぁしょーがないというか、そーゆー幻視の前歴があるからこそ助かってるとも言えるんだけど、暁がしつこく食い下がるとそれだけおじいちゃんもよけいにしゃべるわけで。
「しかし珍しいな、ちゃんと名前があるなんて」
「ほんまほんま。どーゆー意味やろ、トーリューサイて」
 こういっちゃんとダーリンにまで興味を持たれる羽目になっちゃうのよねぇ。そんなこと気にせんでええって。あんな名前、たいした意味なんかないんやから、絶対。
 GWが明けてじじぃが戻ってくるとおじいちゃん、待ってましたとばかりじじぃに愚痴りまくり。
「一体どこへ行ってたんや。あんたがおらんと何や張り合いがのうて。食事しててもな、東流斎さんはどこへ行かはったんや、呼んどいで、って言うのに誰も聞いてくれへん。ひ孫はわしのことすっかり呆けてると思うてるし、ほんまに悔しいて悔しいて。な、頼むで。あんたからみんなにようよう説明してやってや」
 だからええ、っちゅうのに。
 木戸家の男連中にじじぃの存在がバレる日も近い。