びははせんたい・みんきーまま
★美母戦隊ミンキーママ★
その3『ゴミ置き場は魔の匂い!?』 Vol.4
[E:danger]この物語はフィクションです。実在の人物・団体等には一切関係ありません。

「いくら何でも多すぎると思わんか? 今月だけでもう5件、先月は8件。その前の半年は1件もなかったというのに。そんなに急にゆかり野市民のモラルが低下するもんかね」
「そりゃまぁ確かにどうしたんやろ、とは思うけど、でも4月から引っ越してきた人とか、やっぱり年度初めだし……。大体何が面白くてそんなちまちました爆発を仕掛けるわけ? 黒仙人さんは」
 先月から10件以上と言ったって、ほとんどは怪我人も出ない、ちょっと爆ぜただけ、って程度のものだ。まさか黒仙人は、「パンっ!」と言った瞬間に驚くおじさんの顔を見て喜んでるわけじゃないでしょ?
「何も爆発そのものが狙いとは限らんさ。ゴミ出しというのは生活に密着した行為じゃからな。ともかく気をつけた方がよかろう」
 って、一体何にどう気をつけろと言うんだ。さっぱりわからん。
 が。
 確かに“ゴミ出し”というのは市民生活の重要なファクターではあったらしい。
 今度は風呂に入ってる時だった。もちろんあたしは暁と一緒に入っている。ダーリンは今日はまだ残業中だ。一足先に浴室を出た暁と入れ違いに、ノミじじぃがぴょんと飛び込んできた。
「げっ!」
 何やってんのよ、このエロじじぃ!と叫ぶのを何とか思いとどまり、あたしは口をぱくぱくさせながら東流斎を睨んだ。いくら枯れすすきなじーさんだからってレディの入浴中に入ってくるとは何事じゃっ。
「アホ、誰がおまえさんの裸見たさに入ってくるか。事件じゃ、ピンクが呼んどる!」
「はぁ?」
 こんな時間に芳美ちゃんが呼んでるって? そんなこと言われても行けるわけないでしょーが。
「だったらあんた行って見てきてよ」
「友だち甲斐のない奴じゃな」
 だからしょーがない、っつってるやん。幼児の母親に夜の外出を求める方が無理なの。どうやって暁を言いくるめるのよ。添い寝なしじゃ絶対に寝ない子なのに。
 パジャマに着替えてふと見ると、オニキスの念珠がぼうと光を発していた。ゆっくりと点滅している。ああ、これが“呼んでる”ってことなのか。許せ、芳美ちゃん。今はとにかく王子様を寝かしつけなきゃならんのだ。
 またこれが寝ないんだよなぁ。あたしが化粧水を塗ったり髪を乾かしたりしてる間、暁は絵本を読んでるんだけど。
「んじゃ寝よか〜」
 と言っても、
「えー、もうちょっとぉ」
 と言って一向に本を閉じない。下手すると次の本に手を伸ばす。おいおい、いくら子どもの読書が推奨されてるからって、それで睡眠不足になっちゃ世話ないだろうが。
 ようやく王子様が寝ついた頃には、当然女王様ことわたくしめもお休みあそばされちゃってるわけで。
 寝るな、って方が無理っしょ〜。お風呂上がりのぽかぽかした体で布団に入っちゃってんですから。ただ、さすがに9時に寝ると12時までに1回は目が覚めるのよね。ダーリンが帰ってきた物音とか、単に尿意とか。