びははせんたい・みんきーまま
★美母戦隊ミンキーママ★
その3『ゴミ置き場は魔の匂い!?』 Vol.5
[E:danger]この物語はフィクションです。実在の人物・団体等には一切関係ありません。

 時計を見ると11時を回っていた。
 愛しの旦那様は一人さびしく夕飯を平らげて入浴中だった。寝ぼけまなこでふらふらトイレに向かうあたしを出迎えたのはもちろんじじぃ。
「まったく、仲間が危機に陥っとるというのによくぐーすかぴーと寝てられるな」
「あんたを信用してるんじゃないの。いやしくもお偉い仙人様が助けに向かってくださったんだもの。もう大安心よ」
「口の減らん奴じゃな」
「で? 一体何があったの?」
 じじぃ曰く。
 今夜、芳美ちゃんのマンションでは住民の集まりがあったのだった。議題はゴミ出しのことだったらしい。集まり自体は半年に1回行われる定期的なもので、まぁ顔合わせ程度の会合のはずだったのが、なんせ昨日の今日。自然と話題は昨日の爆発のことになり、そうなると当然爆発したスプレー缶はどこの家が出したものなのか、って方向に話が流れ……。
 紛糾してしまった。
 まぁねぇ。そりゃみんな、うちじゃないって言うよなぁ。
 ゴミ袋には記名することになってるけど、爆発で吹っ飛んでるだろうし、大体ゴミの車に入れられた時点でぐちゃぐちゃっと混ぜられて破られてるはずだもんな。
 そんなのしょうがないし、「これからはお互い気をつけましょう」でいいやん。
 ところがそうはいかなくて、「夜の間にゴミを出してる人がいる」とか、「そもそもゴミの日じゃないのに出してる人がいる」「ゴミ置き場の掃除をさぼってる人がいる」などなど、みんなここぞとばかりに不満を漏らしてどんどん険悪な雰囲気になっていってしまったそうだ。
「わしが行った時には殴り合いが始まっとった」
「えーっ、冗談でしょ」
「冗談なものか。だからこそピンクとて思わず助けを呼んでしまったんじゃ」
 そんなゴミの出し方ぐらいで殴り合いって……。
「それ、黒仙人と何か関係あったの?」
「わからぬ。気配はせなんだが、逃げた後だったのかもしれん。一旦火が点いてしまえば、あとは人間の方で勝手に燃えてくれるからな」
 じじぃはとっさに術をかけて、殴り合っていた二人の戦意を喪失させたらしい。それで芳美ちゃんや他の何人かが一生懸命とりなして、どうにか『これからはお互い気をつけましょう』まで持っていったのだとか。
「もう嫌〜!!!!!」
 ケータイに、芳美ちゃんからのメールが入っていた。
「今日ダーリンが出張だったから夢月と詩月と二人とも連れて出てたのぉ。すぐ終わると思ってたのにぃ。詩月は泣くし、夢月だって怯えちゃって寝るどころじゃないよ〜、もう(T_T) 今『トトロ』見せてなだめてるの。信じられない! あのスプレー缶出した奴、ホント超迷惑!!! 淳ちゃん玲ちゃん、月に代わってお仕置きしてやって〜〜〜〜〜」
 って、あたしらセーラームーンじゃないんだけど。