びははせんたい・みんきーまま
★美母戦隊ミンキーママ★
その3『ゴミ置き場は魔の匂い!?』 Vol.3
[E:danger]この物語はフィクションです。実在の人物・団体等には一切関係ありません。

 慌ててベランダに出てみると、清掃車から煙が出ていた。ゴミが散乱する中におじさんが一人倒れている。運転席から飛び出してくるもう一人のおじさん。いや、お兄さんかな。
「スプレー缶? 最近多いって、こないだチラシ入ってたやん」
 様子を見た淳子がさっと踵を返し、外へ飛び出していく。
 おじさんのケガは、たいしたことなかった。飛び散った破片であちこち切ってはいたけど、深いものはなく、爆発の衝撃で倒れ込んだだけだった。あたし達と同じように飛び出してきた別の住人が消化器で煙をあげるゴミ清掃車の火を消した。パトカーが来て、一応消防車も来て、あっという間にそこは「事件現場」。
 次の日、スーパーの特売広告に混じって、早速清掃局からの広報が挟み込まれていた。
 昨日の事故のごくごく簡単な報告と、スプレー缶を捨てる時の注意。丸ゴシックででかでかと、「捨てる際は完全にガスを抜いてください!」と書かれてあった。
 そういえば一時期スプレー缶に穴を開けるかどうかで揉めてたよな〜。清掃局としては穴を開けてガスを完全に抜いてもらった方が安全なんだろうけど、その穴を開ける時にケガをする人がいたり、最悪爆発させちゃったりする人がいて、「穴を開けてください」とは言えなくなったって。
 単に面倒という理由で、あたしは穴を開けずに捨ててる。もちろん音がしなくなるまでガスは出してるつもりだけど。
 でもそのチラシが入った金曜日、また別の地区で爆発があった。今度のは、残っていたガスの量が半端じゃなかったのか、ただのヘアスプレー缶じゃなかったのか、かなり派手な爆発が起こり、可哀想にゴミのおじさん、重傷を負ってしまったらしかった。
「匂うな」
 夕方のニュース、まだ生々しく色々なものが散乱している現場の映像を見ながら、耳元でじじぃが呟いた。
「何? ママ、なんか言うた?」
 隣で夕飯を食べている暁が敏感に反応する。
「へ? ううん、なんも言うてへんで」
 ったく、暁がいる時に口きくなよっ。
「しかし匂うぞ」
 今度はじじぃ、耳の中まで入ってきて囁く。
 あう〜、くすぐったい、っちゅうねん。
 たまらずあたしはトイレに駆け込んだ。もう、食事中にトイレなんて行儀悪いやん、子どもの前で。
 でも遠慮なくじじぃを詰問できる個室って、トイレしかないのよね。
「何なん、一体? 何が匂うんよ」
「あの事件じゃ。相次ぐゴミの爆発よ。どうもくさい。黒仙人の匂いがぷんぷんする」
「はぁ?」