びははせんたい・みんきーまま
★美母戦隊ミンキーママ★
その3『ゴミ置き場は魔の匂い!?』 Vol.6
[E:danger]この物語はフィクションです。実在の人物・団体等には一切関係ありません。

 でも確かに災難だよなぁ。しばらくは住民同士ぎくしゃくしちゃうだろうし。特にゴミの日。もし黒仙人が一枚噛んでるとしたら、見事にマンションの平和を乱すことに成功してる。
 そしてそれは何も、芳美ちゃんのマンションに限らなかった。
 仙人の助けを呼ぶべくもない他の自治会では、おもいっきり喧嘩沙汰になってはいたのだ。
 そう、ゴミ収集のおっちゃんが重傷を負ってしまった金曜日の現場の住民。あそこでも緊急に話し合いがもたれ、その席でやっぱり手を出してしまった人がいたらしい。メディアに載るほどの事件ではなかったけど、話はすぐに伝わってきた。
 そして何となく、ゆかり野市の朝はピリピリしたものになってしまった。
 だって、いつもどこかしらの地区は“ゴミの日”なわけで、みんな妙に人の出したゴミが気になっちゃったりはして。なんとなく、私も幼稚園のそばのゴミ収集所とか、必要以上に目についちゃうし。うん、今までは目に映ってても見てないというか、脳味噌まで届いてない感じだったのに、「あ、あの袋破れてる」とか、変によく見えちゃうんだ。
 そしてそういう気分は、「ちょっと目立ちたい」とか、「なんかむしゃくしゃする」といった人たちの心を大いに刺激してしまうらしい。1週間と経たないうちに、3回もゴミ置き場から火が出た。“燃えないゴミ”の日でもないのに。
 恐らくは、放火。またそれが、「本当はゴミの日じゃないのに出されたゴミが燃える」という、いかにも住民同士を揉めさせようという意図が見え見えの事件。ちゃんとゴミの日の朝にゴミを出してれば、火なんか点けられることはなかったのよ! ……ま、ね。火を点けたい奴は何もないとこにだって点けるんだろうけどね。
「このまま手をこまねいて見ておるつもりか?」
 淳子の家でいつものようにお茶を飲みながらだべっていると、じじぃがわめいた。
「そんなこと言われたって。ねぇ?」
「うん」
 こないだみたく目の前に敵が現れれば戦いようもあるけど、黒仙人が絡んでいるかどうかすらわからないのに。
「しょうがないでしょう、あたし達に市内全部のゴミ置き場を見張れとでも言うの?」
 淳子が言う。
「それが正義のヒロインの言うことか? なさけない。何のために力を授けたと思っとるんじゃ。自分の住む街も守れんとは」
 って、そっちが勝手にあたしらを巻き込んだだけやん。それもただ、PTA役員だった、ってだけの理由で。
「あのね、偉い偉い仙人様。そもそも悪い黒仙人をやっつけるのはあなた様のお役目でしょう? もし黒仙人が陰で糸を引いてるっていうんならあんたこそもっと働かなきゃいけないんじゃないの。もしそれで純粋に住民が――人間が悪いってんなら、放火犯を捕まえるのは警察の仕事だし」
 あたしの言葉に、じじぃは即座に反論した。
「黒仙人の気配はある! まったく無関係ではない! じゃが……」
 その時、テレビがピコンピコンと鳴った。ニュース速報の音だ。