※以下ネタバレあり。ご注意下さい。

シロッコ「賢(さか)しいだけの子どもが!」
カミーユ「賢しくて悪いか!」

というやりとりが、テレビシリーズの
時にとても印象に残っていた。
カミーユのセリフは「かしこくて」だと
思っていたけど、今度の映画では
「さかしくて」になっていた。
変わったのか、それとも私の思い違いか、
どっちだろう。

『Ⅰ』の感想でも書いたけど、
ファーストでは主人公の周りはみんな
子どもだったのに、『Z』ではカミーユ
だけが子どもで、子どものカミーユが
勝手な大人たちを糾弾する、というのが
一つのテーマのような感じがした。

ファーストで子どもだったアムロたちが
大人になって、、「ヒーローのその後」
に対して「今の子ども」であるカミーユが
「あんた達はそれでいいのか?」と疑問
を投げかける。

『Ⅲ』ではカミーユもちょっと大人に
なっていて、カツに対して「戦場に
私情を持ち込むな!」と説教したりする。
それでカツに、「カミーユは人の心が
わからない」とか言われたりして。

カツとサラが15歳。
カミーユとファが17歳。

とっても大人な理由で(?)裏切り者に
なるレコアだってやっと23ではある
けれど。

ラストシーンで、ファとカミーユが
「大丈夫だよ」と言い合ってるのを
通信回線で聞いていたクルーが
ブライトに、「聞きます?」と尋ねる。
ブライトは、「聞かなくてもわかる。
そんな子どものたわごとに付き合って
られるか」というような返事をする。

あれを「子どものたわごと」と言う
のかぁ。

もちろん、照れ隠しなんだろうけどね。
「聞く聞く!」なんて言ったらその方が
アホだし。

ブライトが26歳で、シャアが27歳。
「子どもが!」と言い放つシロッコは
26歳。

さぞ子どもの時からヤな奴だったこと
でしょう、あの白い顔は

ファーストの時は、ジオンにはまず
シャアというカッコイイ敵役がいて、
ザビ家の4兄弟もそれぞれに個性的で
倒し甲斐があった。

でもティターンズには、はっきりと
した敵役がいない。
ジェリドなんて全然お呼びじゃないし、
シロッコが出てくるのはだいぶ後に
なってからで、主人公のカミーユが
戦うのはむしろ周りの大人達だったり、
戦争に象徴される大人の勝手な論理
だったりする。

あるいは、やたらに女の子ばっか
出てくる『Z』の“敵”というのは、
女子どもを振り回して権力争いに
興じる“男の論理”なんだろうか。

シロッコのために死ねる、という
サラに、カミーユは言う。
「死んだらおしまいなんだ!
なんでそんなことがわかんないんだ!」


このセリフも、好きだ。

例の、“子どものたわごと”、
最後にカミーユがファに言う、
「ファだけは意識だけじゃない、
ちゃんと抱ける」っていうのも。

たとえニュータイプになって、
死んでからでもお話できるように
なっても、だから命を粗末にして
いい、なんてことは絶対ない。

ちゃんと生きてるうちに分かり合って、
生きてるうちに抱き合わなくちゃ。

(ということを書いてしまってから、
スポニチサイトで富野さんの
インタビュー
を読んだ。
ふーむ、なるほどねぇ)

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