びははせんたい・みんきーまま
★美母戦隊ミンキーママ★
その4『若さと美が世界を救う!?』 Vol.1
[E:danger]この物語はフィクションです。実在の人物・団体等には一切関係ありません。

 火事としてはさしてひどいものでもなかったはずなのに。
 なんでかあっちでもこっちでも、ニュースは隣のアパートを映していた。ということは、うちもちょっとは映っていた。のみならず、パパやこういっちゃんはインタビューまでされていた。なんでや。
 もちろんアパートの住民はもっといっぱい映ってて、色々なことをしゃべっていた。じじぃの術が中途半端だったのか、「夜にゴミを出す人が悪いんですよ」とまだ怒ってる人もいたし、怖ろしいことに「黒燕尾で仮面をつけた謎の人物」について語る人もいた。
「それが火を点けた犯人だったんですか?」
「いえ、そこのところがどうもよくわからないんですけど、とにかく怪しかったので」
 悔しいことに、酔っぱらいのおじさんを連れて現れた美貌の青年の話はまったく出てこないのだ。じじぃの術が黒仙人に負けているのは明々白々。
「で? その美し〜い青年が黒仙人で、今回の火事を仕掛けた真犯人だと?」
 そう尋ねる淳子の口調はやけに冷たい。
「ずるいよねぇ、なんで玲ちゃんだけ。あたしも会いたかったな、その美青年に」
 もちろん芳美ちゃんも。
 って、美しくてもかっこよくても、相手は仙人なんだよ。しかも敵側。
「いいじゃない、敵の美青年と恋に落ちる正義のヒロイン! これぞロマン、これぞドラマチック!!」
 いや、だからさ、相手は人間じゃないんだし、うちら3人とも夫子持ちじゃん。正義のヒロインが不倫をするのはどうかと……。
「いい加減にせんか!」
 パコ、パコ、パコッ。まるでマリンバでも演奏してるかのようにリズミカルに、じじぃはあたし達の頭を叩いた。
「まったく女というものはすぐ見た目に騙されるんじゃからな。何がロマンじゃ」
「見た目で選んで何が悪いの?」
「『人は見た目が9割』! ベストセラーだよ」
 ははは。まったくねぇ。どうして白仙人の方は見た目がじーさんなんだか。もしもじじぃの外見がジャニーズ系だったら、あたしらのやる気も倍増してただろうに。
「ふん。顔形など術でどうにでもなる。じゃがもしわしが美青年だったとしてみろ、おぬしら誰がわしを家に置くかで大揉めじゃぞ。それこそ不倫ヒロインじゃ」
 うーん。一理あるようなないような。
「でも」
 と、あたしは奴の顔を思い浮かべながら言った。
「あれはちょっと、ロマンとか不倫とかいうレベルを超えてると思うよ。なんていうか、冷や汗出たもん」
 今こうして思い出しても、ぞくっと身震いがしてしまう。心臓を鷲掴みにされるぐらい魅力的だけど、でも恋に落ちるにはあまりにも……。そう、あまりにもまがまがしすぎる。
「そんなこと言って玲ちゃん、あたし達をヒーローから遠ざけようとしてるんでしょ」
 してない、してない。