びははせんたい・みんきーまま
★美母戦隊ミンキーママ★
その4『若さと美が世界を救う!?』 Vol.4
[E:danger]この物語はフィクションです。実在の人物・団体等には一切関係ありません。

 久しぶりに3人、芳美ちゃんの家に集まった。もちろんメールのすぐ後。あたしの推測通りユアーズストアで買い物をしていた芳美ちゃん、矢沢が美青年と一緒にいるのを見かけ、撮る物も撮りあえず……じゃなかった、取る物も取りあえずシャッターチャンスをうかがい、なんとかバレずに撮影に成功し、すぐさまトイレに駆け込んでメールを打ったらしい。……何もそんな逃げ隠れしてまでメール打たんでも。
 大急ぎで店内に戻ると、そこにはもう矢沢一人しかおらず、どんなにぐるぐる売場を回っても、きれいなお兄さんの姿はどこにも見当たらなかったそうだ。
「それって、別に矢沢の知り合いなわけじゃなくて、なんかたまたま落とした物を拾ったとか、そーゆーんじゃないの?」
 矢沢と一緒にいただけでみんな黒仙人扱いされちゃあねぇ。お兄さんも困るでしょ。
「違〜う! しゃべってたもん! にこにこしてたもん!! 矢沢、ポッってなってたもん!!!」
 そりゃあたしだって、たまたま落とし物を拾ってくれたお兄さんが美形だったらポッとするよ。
「でも、じゃあ、ぞくっとした? もしあたしの見た恫漣士(とうれんじ)だったら、見ただけで背筋がヒヤッとすると思うんだけど」
「そりゃもう! ギクっとしたわよ。あっ、美形!と思ったら矢沢としゃべってるんだもん!!」
 “ギクっ”の意味が違うって。
「もし恫漣士(とうれんじ)だとしたら、おまえさんの気配などたちまち勘づいていたはずだがの」
「だって、あれが黒仙人じゃなかったら、どうして矢沢なんかとにこにこしゃべってるの? あり得ない、あり得ないわっ!」
 ……さすがにこの芳美ちゃんの暴走ぶりには淳子も。
「この子を正義のヒロインに選んだのは間違いだったんじゃない?」
 ははは。
 しかし謎の美青年の正体は、あっけなく判明したのだった。
「テレビ、テレビ見て! 玲ちゃん!!」
 今度はメールでなく電話で来た。ケータイの向こうで叫ぶ芳美ちゃん。
「黒仙人がテレビ出てる!!」
 はいはい、だから何チャンネルなのよ。しょうがなくあたし、“いらち”(※大阪弁で「せっかち」「短気」)のおっさんよろしく、テレビのチャンネルを次々と変えていく。この時間、どこも大抵夕方のニュースなんだけど。
「ほらっ、エアロビのインストラクターなんだって!」
 あ、これか。
 体育館のようなところで、音楽に合わせてステップを踏む女性の一群。アナウンサーがそのうちの一人にインタビュー。そして、映像がスタジオに切り替わり。
 にこっ。
 王子様スマイルで美青年登場。
「ねっ、ねっ、すんごい美形でしょっ!?」
 確かに、そのへんのイケメン俳優以上に端正な甘いマスク、絶妙に着崩したピンストライプの細身のスーツ。ピアスに指輪。スポーツインストラクターというよりはファッションモデルのような。
「う〜ん、でも、やっぱりあたしの見た恫漣士(とうれんじ)とは全然違うけど……」
 爽やかだもんねぇ、この人。
「どう見てもただの人間じゃな」
 耳元で、じじぃもうなずく。