びははせんたい・みんきーまま
★美母戦隊ミンキーママ★
その4『若さと美が世界を救う!?』 Vol.6
[E:danger]この物語はフィクションです。実在の人物・団体等には一切関係ありません。

 もちろん矢沢は春菜町のスポーツセンターに通っていた。麗しの聖也くんのクラス(こう見えて矢沢もまだ30代なのよねぇ。格好が一昔前の“成金おばさん”だから、なんか同世代ってことに抵抗あるんだけど)。聖也くんは春菜町、ゆかり野市と境を接する蕨田(わらびだ)市で一人暮らしをしているらしい(って、そんなこと聞いてどーすんだ、この不倫ヒロインめ)。
 先日はたまたまゆかり野市内の知人を訪ねる途中にユアーズストアに寄ったところを矢沢に出くわし、さらには芳美ちゃんにもフライデーされてしまったらしい。
「先生にもちょっとお話してみたんだけど、『いいですよ、ぼくでよければ』っておっしゃって下さって」
 ちなみにフィットネスクラスではみんな彼のことを“聖也先生”と呼んでいて、受講者はみんな姓ではなく、下の名前で呼ばれているそうだ。げーっ、じゃあんた、“理恵子さん”って呼ばれてんのかよぉ。
「あの、あの、じゃあ早速あたし達4人で先生に正式に申し入れに行きましょうよ。ねっ、ねっ! お願い、行くと言って!!」
 矢沢をすら引かせる芳美ちゃんのすごい勢いに、あたしと淳子、思わず他人のふり。
 で、『夕涼み会』のことなんだけどさ……。
「あら、もうこんな時間! ごめんなさいね、樹人(みきと)くんのピアノの先生が来るもんだから」
 やっぱ早退かよっ!
 川端先生も色々他に園の用事があり、残されたのは結局あたしら3人、麗しの王子様に会えることが決まって心ここにあらずの芳美ちゃんは当然何の役にも立たず……どーすんだよっ、『夕涼み会』!
「ホントに人間の女って奴は、見た目に弱いんじゃからな」
 すっかり遅くなって大急ぎで夕飯の用意にかかっていると、じじぃがねちねちと愚痴り始めた。
「そもそも男の値打ちってもんが皆目わかっとらん。30、40は洟垂れ小僧、男は50からじゃ」
 って、あんた50どころじゃないでしょうが。
「芳美ちゃんは特別。あたしだけが恫漣士(とうれんじ)を見ちゃったもんだから、どうにも気が収まらないのよ。納得できる美形キャラにじかに会わないことにはね」
「とかなんとか言いながら、おまえさんもちゃっかりついて行くんじゃろうが、あの優男のところへ」
「だって心配じゃない、芳美ちゃんと矢沢だけに任せてたら話がどこ行くかわかったもんじゃない」
「はん、気の毒にな。おまえさんの旦那も、ピンクの旦那も、家族のために毎日働いとるというのに、嫁は知らん顔でよその男に熱を上げとるんじゃから」
「だぁかぁらぁ。あたしを一緒にしないで、つってんじゃん。あたしはあーゆーのは好みじゃないんだから」
 どーも爽やかすぎるんだよな〜、あの聖也くんは。あたし的にはもうちょっと影がある方がいい。こう、何考えてるかわかんないような、ちょっとヤバイ感じがするぐらいの方が……。いや、もちろん、恫漣士はヤバすぎだけどさ。
「“ヤバい”のが好きねぇ。悟さんは人の良さそうな顔しとるがの」
 うっさいなぁ、ホントに。いい男の話になるとやたらに絡むんだから。