びははせんたい・みんきーまま
★美母戦隊ミンキーママ★
その4『若さと美が世界を救う!?』 Vol.8
[E:danger]この物語はフィクションです。実在の人物・団体等には一切関係ありません。

「何よ、ちょっと顔がいいと思って偉そうに! そりゃぴちぴちのギャルってわけにはいきませんけどね、何も開口一番“お年寄り”ってことはないでしょ。まったく今ドキの若い子はほんとに礼儀がなってないんだからっ!」
 あはは。ふみちゃん、ダメだよ、そこで“今ドキの若い子”って言っちゃ。それを言ったが最後年寄りの仲間入りなんだから。
「どうするの、ふみちゃん、帰るの?」
「当たり前でしょっ」
「当たり前でしょって、だってどうやって帰るの?」
 もちろんここまでは車で来たのだ。あたしの運転で。
「歩いてでも帰るわよ」
「そんなぁ。ねぇ、ほら、カフェだってあるし、ちょっと待っててくれれば」
「いいえ。帰ります!」
 え〜〜〜〜〜〜。
 もう、しょうがないなぁ。まさかお姑さんを歩いて帰らすわけにいかないじゃない。いくらふみちゃんが毎日ウォーキングで鍛えてるって言ったって、歩いて帰れる距離じゃないんだから。
 あたしは淳子に「ごめん、ちょっと送ってくる」と断って、ふみちゃんを車に乗せた。スピード違反で捕まらない程度に急いで家まで。玄関先でふみちゃんを降ろすと、再び春菜町へとって返す。
 はぁ。ったく、麗しの聖也くんのせいでとんだガソリンの無駄遣いだわよ。
 駐車場から走って体育館に戻ると、当然エアロビ教室はもう始まっていた。家まで往復でほぼ30分。1時間のクラスがもう半分終わっちゃっている。
「あれ、どうしたの、2人とも」
 矢沢は最前列で元気にステップを踏んでいるというのに、淳子と芳美ちゃん、隅の方で何やら浮かない顔で座り込んでいる。
「ああ、お帰り、玲ちゃん」
「ただいま。って、何? もうバテたの?」
 いくら何でも早すぎない?
「違うのよ。なんか変なの。あたしも芳美ちゃんも、踊ろうとすると気分が悪くなっちゃって」
「へ?」
 最初から、何か妙な違和感が2人を包んでいたらしい。最近運動不足だったし、それでかな、と思っていると、どんどん気分が悪くなり、体が重くなって、15分も経つ頃にはとても動きについていけなくなってしまったというのだ。
「これ、関係あるみたい」
 芳美ちゃんが腕をひらひらさせた。手首のピンクの念珠がライトを反射して揺れる。あたしの念珠はブラックオニキスだけど、芳美ちゃんのはきれいな紅水晶――ローズクォーツだ。
 くいっと淳子が顎で矢沢達生徒の方を指した。
「やっといでよ。わかるから」