びははせんたい・みんきーまま
★美母戦隊ミンキーママ★
その4『若さと美が世界を救う!?』 Vol.9
[E:danger]この物語はフィクションです。実在の人物・団体等には一切関係ありません。

 促されて、あたしは女性達の一番後ろについた。1クラス30人。たぶんみんな同年代だろう。20代後半から、30代くらいの、子どもが幼稚園や学校に行ってる間にリフレッシュ、って感じの奥様方。うん、平日の午前中なんだから、パート勤務の人以外はたぶん専業主婦よね。
 ほとんどの人がレオタード姿。腰から下はトレパンとかオーバースカートで隠してる人も多いけど、惜しげもなく脚線美をさらけ出している人もいる。
「はい、右、右、左、左! 笑って! 笑顔で!」
 聖也くんのかけ声に合わせ、ご婦人方は汗を流す。
「きれいに! 若く! 美しく! いつまでも!」
 ああ、ほんとだ。なんかムカムカしてきた。何だろ、朝ご飯食べすぎ? ちゃんと出すもん出して来たんだけどなぁ。
 え?
 見間違いかと思った。
 踊りながらじゃ見逃すくらいかすかに、念珠が光っている。ぼうっと、まるで二重写しになるみたいに。
 う〜、なんだ、ほんとに気分悪い。くらくらする。
 一体どういうこと? この前念珠が光ったのって、例のゴミ問題で芳美ちゃんが助けを求めた時だったよね。あたし達3人がミンキーママとして繋がってる証。いざという時はこれを使って東流斎のじいさんを呼べるし、変身の力もこの念珠に宿っている(んじゃないんだろうか、よくわかんないけど)。
 ああ、そうだ、あの時。
 恫漣士と屋根の上で対峙した時。
 あの時はこの念珠がやけに熱くて。
 今も、あたたかい気がする。体動かしてるから、全体的に暑いんだけど、それとは別に、手首の所だけ何か、違う感じが。
 どういうこと? やっぱり黒仙人と関係があるってことなの? まさかどこかに恫漣士の奴が潜んでいたりするんだろうか。
 あたしはふらふらと淳子達のそばに戻り、へたりこんだ。不快感がそこから来るような気がして、念珠をはずそうとする。
 はずれなかった。
「ダメだよ、取れないの」
「あたし達もとっくの昔にやってみたからね」
 取れないって、なんで? お風呂に入る時は普通にすっと抜けるのに。
 狐につままれたようなあたし達を尻目に、矢沢は元気ハツラツオロナミンC、嘘みたいに若々しく踊りまくっている。あたし達みたいに辛そうな顔をしてる人なんて誰もいない。みんなわざとらしいまでの笑顔で汗を飛ばしていた。
「みんな素敵よーっ! その調子! 美と健康が世界を救う! はい、若く!」
「若くっ!!」
「美しく!」
「美しくっ!!」
「いつまでも!」
「いつまでもっ!!」
 聖也くんの声に合わせてみんなも叫ぶ。
 ……なんか、ちょっと新興宗教っぽくない?
 あ、ダメだ。踊ってないのにまたムカムカしてきた。