びははせんたい・みんきーまま
★美母戦隊ミンキーママ★
その4『若さと美が世界を救う!?』 Vol.7
[E:danger]この物語はフィクションです。実在の人物・団体等には一切関係ありません。

 次の火曜日、矢沢にくっついてあたし達3人が春菜町スポーツセンターに出かける時も、じじぃは拗ねて家に残っていた。年寄りは年寄りらしく、縁側でおじいちゃんと平和に囲碁だ。
「東流斎さんがいてくれるとホント、助かるわぁ。おじいちゃんのお守りよろしくねっ」
 なぜかふみちゃんまで春菜町にくっついていくことに。
「だって会ってみたいじゃなぁい、実物はテレビよりもっとカッコイイかもしれないし」
 ……気が若いんだよなぁ、ふみちゃん。
「悪かったわね、“気”だけ若くて!」
 なんで聞こえてるの〜。
 町民健康スポーツセンターは、なかなかすごい代物だった。体育館とプールはもちろんのこと、土地が余ってるのをいいことに、テニスコートやゲートボール場、遊具を備えた広大な芝生広場まである。敷地の一角には町内産野菜の直売場とカフェまであって、一大アミューズメントスポットって感じだ。平日の午前中だから閑散としてるだろうと思っていたのに、直売場の駐車場には観光バスも停まっているし、テニスコートもゲートボール場も汗を流す元気なシニアで一杯だった。
「取れないらしいよ、テニスコート。3か月先の予約が10分で一杯になるって」
「ふうん。でもどっちみち町民優先なんでしょ?」
「まぁね」
 そんなことを話しつつ、体育館に入っていく。目当てはエクササイズルームだ。
「聖也先生〜っ」
 矢沢が黄色い声を上げながら走り寄っていく。もちろんその後には金魚の糞のように芳美ちゃんがくっついている。わざわざ詩月ちゃんを保育サービスに預けてくるほどの気合いの入りよう。きっとレオタードも新調したんだろうなぁ。
 そう、矢沢が電話で聖也くんにアポを取った時、「せっかくだから、一緒に体験しますか?」と言われて、今日あたし達もちゃっかり用意をしてきているのだ。と言っても、あたしも淳子も普通のTシャツにトレパンだけど。
「こんにちは。よろしくお願いしま〜す」
「こちらこそ」
 順々に挨拶するあたし達にいちいちにっこり王子様スマイルを見せていた聖也くんの顔が、ふみちゃんを見て急にこわばった。
「あの、あなたも幼稚園の……?」
「あ、あたしの母なんです。どうしても先生にお会いしたいって言うもんですから」
「はじめまして」
 ふみちゃんがぺこりと頭を下げると、なぜか聖也くんは後じさり。
「すいません、ぼく、お年寄りは苦手で……。まさかご一緒にエクササイズを?」
 今度はふみちゃんの顔がぴしっとこわばった。いくら孫がいるといっても、ふみちゃんはまだやっと56。ずっとバリバリ働いてたせいか、顔つきも動作も若々しくて、せいぜい50にしか見えない。ホントの年齢を言うといつもびっくりされるくらいなのだ。
 そのふみちゃんを捕まえて、いきなり「お年寄りは苦手」って。
「年寄りで悪ぅございましたわね!」
 くるっ。
 きびすを返したふみちゃん、どすどすどすっとエクササイズルームを出て行ってしまう。ちょ、ちょっと待ってよ、ふみちゃん!