びははせんたい・みんきーまま
★美母戦隊ミンキーママ★
その4『若さと美が世界を救う!?』 Vol.10
[E:danger]この物語はフィクションです。実在の人物・団体等には一切関係ありません。

「はいっ、ラストぉ!」
 音楽がゆっくりしたものに変わって、クールダウン。「ありがとうございましたっ!」という元気な女性達の声でエクササイズは終了した。
「どうしたのぉ、あなた達。なさけないわよぉ」
 矢沢が勝ち誇ったような声で近づいてきた。ああ、あんたにだけはバカにされたくない。
「そんなにきつかったですか?」
 聖也くんも声をかけてきた。さすがというかなんというか、あれだけ踊って叫んでたのに全然息が切れてない。
「いえ、なんかちょっと体調が悪かったみたいで。すいません、目障りでしたね」
 3人とも同時に体調が悪いなんて、嘘くさ〜。
「いけませんね、きっと日頃の運動が足りないんですよ。健康にいいことなさってますか? 皆さんおきれいなんだから、それをきちんと持続する努力をなさらないとね。老けたら終わりですよ」
 にっこりさわやかにヤなこと言うよなぁ。やっぱ全然あたしのタイプじゃない。
 わかった、きっとこいつ自身が不快なんだ。そうに違いない。と思った時、彼のネックレスが目に入った。ネックレスというか、あの、ファイテンみたいなやつ。
 ドクン。
 手首の念珠が反応した。あたしのだけじゃない、淳子と芳美ちゃん、2人の念珠の波動までがいっぺんに体を駆け抜ける。
 パシン!
 “ファイテン”が弾けた。カランと乾いた音を立てて、床に跳ねる。真っ二つだった。
「まぁ、まぁまぁまぁ」
 何が起こったのかわからない、という顔の聖也くんの代わりに矢沢が素っ頓狂な声を上げる。
「まぁ、縁起でもない。まぁ、どうしましょう」
 あたしは彼よりも先にさっと割れた片方を拾い上げた。ほとんど同時に淳子がもう片方を手にする。
 “ファイテン”のロゴは入っていなかったけど、妙な気配は何も感じない。さっきまであたし達を包んでいた不快感も嘘のように晴れて、ふっと体が軽くなっていた。
「弱ったなぁ、レンに怒られちゃうよ」
 聖也くんに手を差し出されたので、あたしと淳子は素直にそれを返した。
「いや、これ、友だちにもらったものだったんだけど、どうしちゃったのかなぁ。こんなになっちゃうなんて、あり得ませんよね」
 友だち?
「まぁ、先生、よろしければわたくしに新しいのをプレゼントさせていただけません? いえ、是非、そうさせてちょうだい、ね、ね!」
 矢沢が一人で盛り上がってる隙に、あたし達3人は顔を見合わせた。言葉にしなくてもわかる。淳子も芳美ちゃんも、あの念珠の波動を感じてた。念珠が、“ファイテン”を砕いたんだ。