びははせんたい・みんきーまま
★美母戦隊ミンキーママ★
その4『若さと美が世界を救う!?』 Vol.11
[E:danger]この物語はフィクションです。実在の人物・団体等には一切関係ありません。

 その後、あたし達はここへ来た本来の目的である幼稚園での出張エアロビ教室の打合せをした。もちろんあたし達ミンキーママはすっかり上の空で、ほとんど矢沢が仕切っていたのだけど。
「あの、笹ヶ谷さん」
 帰り際、あたしは思い切って聖也くんに尋ねた。
「さっきの、ネックレスをくれたお友だちって、その方もエアロビのインストラクターか何かやってらっしゃるんですか?」
「え? いや、レンは違うけど。でもスタイルは抜群だよ。顔もいいし」
 人を疑うということを知らないのか、聖也くん、あたしの唐突な質問をいぶかることもなく、にこにこと答えてくれる。
「あ、ひょっとして、友だちじゃなくて彼女だったりとか?」
「違う違う。男だよ、レンは。女よりきれいかもしれないけどね」
「え! 聖也先生、男が趣味なんですか!?」
 こら、芳美。よけいなツッコミを入れるでない!
「だってぇ、あーゆー体鍛え系の人ってすんごいナルシストで、ホモの人が多いってよく聞くじゃない」
 ひと息ついて相談するために、あたし達は敷地内のカフェに入った。ありがたいことに、矢沢はさっさと帰ってくれた。早速聖也くんにプレゼントするネックレスを探しに行くそうだ。
「だからそーゆー問題じゃない、っつってんの! 聖也くんが女好きだろうと男好きだろうと、そんなこと知ったこっちゃないのよ。問題はあのネックレスの出所(でどころ)なんだから!」
「女よりきれいで、名前はレン、か。どんな字書くんだろうね」
 淳子の考えてることがわかった。恫漣士(とうれんじ)の“レン”は“さざなみ”だ。
「でも仮にも聖也くんに友だち扱いされてるんだよ。正体を隠して近づいたとしたって、そんな簡単に友だちになったりできるかな」
「できそうじゃない? あの先生頭弱そうだもん」
 ははは、いつもながらはっきり言うなぁ、淳子お姉様ったら。
「っていうか黒仙人なんだから、初対面の人間に自分のこと友だちだって思わせるぐらい、朝飯前なんじゃないのかな」
「珍しくまともなこと言うわね、芳美ちゃん」
「珍しくて悪かったわねぇだ」
 もし本当に“レン”って男が恫漣士だとして、あの“ファイテン”が何らかの力を笹ヶ谷聖也に与えてたとしたら。
「一体、何のために?」
 脳天気なエアロビインストラクターに何をやらそうっていうんだろう。
 もちろん、こんなとこでアイスティーをすすりながら話し合ったところで、答えがわかるわけもない。大体これまでだって、何がやりたいのかさっぱりわかんなかったもんなぁ。幼稚園のPTA会議をひっかきまわしたり、ゴミ集積所でぼやを起こしたり。そりゃ地域の平和が乱れたことは確かだけど、あたしらの暮らしが根こそぎひっくり返ったってわけでもないし。
 あたし達がそろそろ席を立とうかという頃、ゲートボールのグループだろうか、シニアの男女の一群がにぎやかに笑いながらカフェに入ってきた。
「っさいなぁ。年寄りは声がでかいんだから」