びははせんたい・みんきーまま
★美母戦隊ミンキーママ★
その4『若さと美が世界を救う!?』 Vol.12
[E:danger]この物語はフィクションです。実在の人物・団体等には一切関係ありません。

 あたし達のすぐ横のテーブルに着いていた女の子が言った。女の子、と言っても10代とかじゃない。かなり若そうだけど、横にちっちゃい子を連れている。あたし達と同じ3人組で、それぞれ2〜3歳ぐらいの子どもを横に座らせていた。髪が濡れているところを見ると、子どものスイミングスクールの帰りってとこだろう。
 入ってきたシニアグループに対して、あからさまに嫌な顔を見せている。
 シニアの一団は真ん中の大きな円形テーブルについた。10人いっぺんに座ろうと思ったら、そこしかない。
 でも、そこには既に若いカップルが1組座っていて。
「やだ、気持ち悪い」
 隣にかなり年輩の男性が座ろうとしたとたん、女の子が身をのけぞらせながら言った。
「行こう」
 男の子が女の子をかばうようにして席を立つ。
 レジでお金を払いながら、女の子が店員に文句を言ってるのが聞こえる。
「もう、どうしてここ年齢制限しないの? ゲートボール場なんて作んなくていいのに!」
 円形テーブルのシニアの皆さんがざわつく。「何だと!」と言って立ち上がりかける男性を、隣の女性が「まぁまぁ」と宥めている。
「ったく、近頃の若いもんは年寄りを邪魔者扱いしおって」
 おじいさんの文句に、子連れの若い女の子がぼそっと答えた。
「だって邪魔だもん」
 子連れグループもそそくさと席を立って出て行った。
 なんだなんだなんだ?? 春菜町って、マナーの悪い子が揃ってるわけ?
「わかった」
 淳子が言った。
「へ? わかったって何が?」
「黒仙人の狙い」
「え?」
「ゴミ問題の次は老人問題ってことよ」
「は?」
「だからさ」
 と言って淳子が説明してくれたのはこうだった。
 聖也くんのエアロビは、異常に『若く美しく』を強調していた。ほとんど新興宗教みたいに。『若く美しい』ことを第一に考えるとどうなるか? 当然『年をとる』ことが悪になる。『年寄り』は『醜くて気持ち悪くて排斥すべきもの』になるわけだ。
「聖也くんだけじゃなくて、ここのインストラクターがみんなそーゆー思想でスクールをやってるんじゃない? それで生徒に刷り込んでんのよ、老化は悪だって」
「何のために?」
「さぁ。でも老人と若者の対立が激しくなれば、まぁ地域の平和は乱れるでしょ」
「そりゃまぁそうだけど……」
「あるいはあたしらに対する単なる嫌がらせとかね。ゴミ出しとか老人とか、あんまり積極的に関わりたくない問題じゃない。地味っていうか、日常に密着しすぎっていうか」
「だよねぇ。もし淳子の考えが正しいとしたら、あたしらが今回守るものって、お年寄りってことだし」
「え〜っ、やだぁ、そんなの!!」
 ほらね、芳美ちゃん。そんな素直に嫌がる君がいるから、黒仙人が面白がっちゃうんだって。