私はよく、前髪を自分で切る。
昨日も、目に入ってうるさいので、カミソリで前髪を切ったのだが、鏡を見ていると前髪だけでなくサイドも切りたくなってきて、ちょっと切ってみた。
美容院に行ったのは昨年の暮れだが、実は美容院から帰ってきた時からサイドはずっと気になっていたのだ。

もっと切ってくれてもいいのになぁ、と。

その場で言えない小心者なのである。

そんで、ずっと「サイドが重すぎる」と思ってて、昨日鏡を見ていたらもう矢も盾もたまらなくなって(それほどでもない)、シャッとカミソリをあてて削いだのだった。

それは朝のことだったのだが、夕方になってまた鏡を見て、「まだ気に入らないなぁ。ここがなかったらもっとすっきりするんじゃないか?」といよいよハサミを持ち出し、今度はジョキッ!と行ってしまった。

いや、さすがにハサミはやばいな、ハサミは。
「真っ直ぐ!」になるから。

でも切るのは気持ちが良い。
ふぁさっと髪の束が落ちるのが、なんとも快感というか。
すっきりする。
よく「失恋すると髪を切る」と言うけれども、「髪を切る」のには絶対にそーゆー「ストレス解消」の効果がある。
それも、美容院に行って人に切ってもらうより、自分でザクッと行ってしまうのが、一層気持ち良い。

今まで自分の一部、身体であったものが、ふぁさっと落ちたとたんに自分ではなくなって、ただの「ゴミ」のようになる。
爪を切るのも楽しいが、髪はもっと思い切りたくさん切れるので、もっと楽しい。

が、まぁ、格好はあまり良くない。

ハサミを使うとさすがにそこだけ目立ってしまうし、当然短くなった部分は朝起きるとハネるし。
シャンプーしてドライヤーを当てた直後は、「自分で変に切ってしまいました」という感じはまるでなく、意外にきれいにおさまっていたのだが。

やっぱ朝起きると微妙なところがある。

しかし幸いにも――あるいは残念なことに――世の中の人はそうそう私の頭なんかに注目してはいないので、きっとこれで外を歩いても全然大丈夫だと思う。
夫もこっちが言うまで気がつかなかったし。
息子も切った直後に見ているのに何のコメントもなかった。
絶対気づいてないと思う。

せっかく自分で切ったんだから、美容院なんかに行かずにこのまま過ごしたい気もするし、「やっぱり変じゃないか?」という気もするし、鏡を見るたび「もうちょっとここを」と思ってカミソリを持ちたくなる今日なのであった。