今朝の新聞の訃報欄に氷室冴子さんのお名前を見つけて、びっくりしてしまった。
え!亡くなられたの!?

年齢を見ると、まだ51歳。
お若い。
そんなお年で……。

氷室さんには、中学生の時にとってもとってもお世話になった。
訃報欄にも紹介されていたが、「田中雅美さんらとともに『コバルト四天王』と呼ばれ」ていた方である。
集英社コバルト文庫の四天王。
氷室さんと田中さんと、それからたぶん久美沙織さんと……もう一人は誰だったの? 新井素子さんじゃないよね。

私は新井素子さんを買い集めていて、友達が氷室さんを買い集めていた。
だから私の手元に氷室さんの本はなくて、でもあの頃――中学時代に出ていた作品はほとんど全部借りて読んでいた。

『さようならアルルカン』
『雑居時代』
『クララ白書』
『ざ・ちぇんじ』
『なんて素敵にジャパネスク』
『少女小説家は死なない』
『シンデレラ迷宮』
『なぎさボーイ』
『多恵子ガール』……

そう、「少女小説家」。
今でこそコバルト以外にも色々とティーンズ向けの文庫が出ているけど、当時はコバルトぐらいしかなかった。
初めて新井さんや氷室さんの作品を読んだ時は、「こんな少女マンガみたいな小説書いてもいいんだ!」と思ったものである。
小学校の時、「マンガ家」になりたかった私は、自分に絵の才能がまったくないことに気がついていて、「こんなマンガみたいな小説を書いてもいいんだったら」と「小説家志望」に転向したのだった。

……それが良かったのか悪かったのかわからないけど(笑)。

氷室さんの作品の中でも一番「おおっ!」と思ったのが『シンデレラ迷宮』。
この名作、絶版なのねぇ。
白雪姫の継母とか、『白鳥の湖』の黒鳥の方(名前が出てこない)とか、色々な物語の中の敵役の「哀しい真実」をモチーフにしてある。
シンデレラは敵役じゃなくてそのままヒロインだけど、「王子様とめでたしめでたし」の後、あんまり幸せになってない……という話だったと思う。
「めでたしめでたし」の後も人生は続く。
「ハッピーエンド」は、本当は始まりでしかない。

すごーく心にしみるお話だった。

物語のヒロインの影には、ヒロインになれない、哀しい女たちがいる。
ヒロインには意地悪に見えても、ヒロインには恋敵でも、彼女たちだって懸命に生きているのに。

ああ、この手があったか、と生意気な作家志望の女の子は思ったものです。
「こういうお話の作り方があったか」と。

『シンデレラ迷宮』『なぎさボーイ・多恵子ガール』はイメージアルバムも作られた。
どっかにテープがあるはず。

『なんて素敵にジャパネスク』は富田靖子主演でドラマ化されたよね。相手役、ヒガシだったっけ? 違う?
コミックにもなったし。

もうコバルト文庫を読まなくなって久しい。
今はなんか、ボーイズラブっぽいのが多いような感じで、ティーンズ物が並んでいる棚に近づきがたい(笑)。
氷室さんが亡くなられたと聞いて、本当に「もうあれは遠い過去になってしまったのか」という気がします。
一時代が終わったんだな、みたいな――。

氷室さんのご冥福をお祈りいたします。