本
『機動戦士ガンダムUC』第7巻/福井晴敏
(これまでの巻のレビューはこちら→・『機動戦士ガンダムUC』/福井晴敏
・『機動戦士ガンダムUC』第3巻赤い彗星/福井晴敏
・『機動戦士ガンダムUC』第5巻/福井晴敏
・『機動戦士ガンダムUC』第6巻/福井晴敏)
はい、7巻目『黒いユニコーン』です。
昨年の12月末の刊行で、1月の末に買ってはいたんですが。
なんか、手に取る気になれなくて。
6巻が、辛かったんですよねぇ。6巻のレビューで書いたとおり、強化人間のマリーダさんがむっちゃ辛い目に遭ってて、今回タイトルが彼女の乗る「黒いユニコーン」だし、ビスト財団によって「再調整」され、かつてのマスター・ジンネマンやバナージと闘わなければならない彼女の姿を、あんまり見たくなかった……。
それでずーっとほったらかしてあって、やっとこの間、3月3日の雛祭りの日に読み始めたんだけど。
いやぁ、読み始めたら、なんかやっぱり面白くて引き込まれちゃって、一気に読んじゃった。体操クラブの付き添いの二日間でほぼ読了。
なんか、この『UC』、奇数巻が面白いような気がする(笑)。
6巻はレビューしてあるけど、そこまでは1、3、5巻と奇数巻についてしか語ってないのよね。偶数巻は「タメ」の巻というか、次に爆発するためのネタを色々じっくり仕込んでいる巻、という感じがこれまではあります。
相変わらず目まぐるしく入れ替わる視点について行くのが大変だけど、でもドキドキはらはら、まさに「息もつかせぬ展開」です。
今回ブライトが「粋なはからい」をしてくれるしね。
ハヤトやカイの名前も出てくるの。名前だけだけど(笑)。
これも前のレビューで書いていることだけど、やっぱりもう、主人公たるバナージやミネバの「若さ」は私には眩しすぎて、彼らの純粋さが「残酷さ」にも見えて、周囲の軋轢にがんじがらめになっているリディやアルベルトの“弱さ”を、ただ「悪」だとは断罪できない。
つい、「でも」「だって」という言葉を言いたくなってしまうのよ。「君の言うことは正しい。君はすごい。でも、それをしたら家族は、組織はどうなる?」みたいな、言い訳がましい「大人の理屈」を。
「大人」になってしまったブライトもまた、やっぱり組織のしがらみから完全に自由になることはできない。それでも彼は、自分に与えられたわずかな権限を使い、知恵を絞って、眩しい若者達の背中を押してやる。
ほんとに心憎いのよ~、この巻のブライト。
ブライトがバナージに言うセリフ。
「しょせん、一個人に世界を救う力なんてありはしないんだ。しかし、な。彼らがいたことで、救われたものもある。(中略)ひとりひとりは無力でも、個人の意志の連なりが世界を闇の淵から引き戻すことだってある」(P117)
今、読み返してうるうる来た(笑)。
アムロの才能に嫉妬していたこともあったのにね。いい大人になったよね、ブライト(笑)。
1年戦争の時が19歳~20歳だから、あれから16年後の設定の『UC』では36歳? 年上だったのに、もう年下になっちゃった。
でもブライトがいてくれて良かったなぁ、と思う。ファースト、Z、ZZ、逆襲のシャア、そして『UC』。私も大人になって、ブライトも年を取って、作品の中に、一緒に年を取って成長してくれてる人がいるのって、なんか、幸せだ。
私もがんばらなきゃ~、って気になる(笑)。
5巻のダグザさんや、今回も命張ってがんばってるジンネマンさんや、「大人だって捨てたもんじゃないぞ!」って見せてくれる人たちの活躍が、ほんと、じーんと来るんだな。
「ここ(現在)は俺が守る! おまえは先(未来)に行け!」って若者の背を押すことができる。それこそが大人ってもんだと、彼らは教えてくれる。
……もう、バナージとミネバのやり取りとかは、気恥ずかしくて(笑)。
若いっていいわね、って目線になっちゃうからなぁ(爆)。
連邦でありながら連邦でない、ネオ・ジオンでありながらネオ・ジオンでない。そんな人々をつなぐ、可能性の獣「ユニコーン」。
いやぁ、なんか、いよいよパワー全開フルスロットル!って感じかしら。
続きが楽しみです。
次は、シャアかもしれないフル・フロンタルが出張ってくるのかな。あの人がもしシャアなら……シャアは完全に“大人”になり損なってるよね……。なさけない奴。
しかしこれ、アニメにならないのかな? 戦闘場面とか、字で追っかけるの大変なんだもん。アニメで見たいぞ。(あ、でも鈴置さんが亡くなられてしまったからブライトの声が……。うーん、他の人のブライトは、やっぱ嫌だよなぁ)
※この稿のBGMはもちろんGacktさんのガンダムアルバム『0079-0088』♪ 盛り上がるわ~。
0 Comments
コメントを投稿