※以下ネタバレ大ありです! ご注意下さい!!! 



アニメ版も第2回の放映が終わり、ユージィン“ムスターファ”が出てきましたね♪

声も変じゃなかったし、何より作画の皆さん、がんばってくれてますよね~。どうしたってアニメの絵は「のっぺり」として、原作の麗しさそのままとはいかないけど、でもアップの時の目とかすごいがんばって描いてあって美しかった。

ユージィン不細工やったらもうぜーったい許されへんもんな。

こないだ「立人(リーレン)が一番」って書いたけど、やっぱりユージィンが一番かも(笑)。

アニメの2回目でユージィンと立人が「ばちばちっ!」と火花を散らすシーンがありましたが、頭のキレる美形が陰険ににらみ合ってるのって、そそるわ~(爆)。

さて。

アニメ放映に合わせ、原作を読み返していました。

樹なつみさん大好きなんだけど、そのわりに手元にコミックスがあるのは『OZ』と『獣王星』だけなので……またまた図書館でお借り上げ。

ほんま、何でもあるな、うちの図書館。みんな、引っ越すならぜひ我が町へ!(笑)

『花咲け』は、連載当時LaLaで途中まで読んでいたんですよね。うーん、半分くらいまでは読んでたのかなぁ。

結末は、知らなかった。

昨日の夜、最終巻を体操クラブの付き添い中に読んでて……うるっと涙が溢れてきて、鼻水もじゅるっと出てきちゃって……困りました。

やはり樹さんや玲子さんのマンガを人前で読んではいかんな。思いきり泣けん。

樹さんって、セリフがうまいし、作品の終わらせ方、ラストシーンの描き方がもう、最高にいいんだなぁ。

最初から「夫捜しゲーム」の真意は見当がついちゃったし、物語の収束も予想できたんだけど、セリフのうまさ、人物の造型、表情、画面の「キメ方」なんかにヤられちゃう。

アニメもマンガもまったく知らない、という人のためにちょっと解説すると。

ヒロインは花鹿ちゃん。バーンズワース財閥の一人娘。14歳までギヴォリ島という絶海の孤島(?)で隔離されて育ち、天然自然の突き抜けた明るさ、頭の良さ、癒しの力を備えた美少女。実はその出自に秘密あり。

この花鹿ちゃんに父親が「夫捜しゲーム」を提示するところから、物語は始まっていく。

3人の夫候補はいずれもお金持ちの美形。

一番手がユージィン・ド・ヴォルカン。その美貌で痴情沙汰が絶えず、3人の女を自殺に追い込んだという「人を人とも思わない」退廃お貴族様だ。花鹿は彼を、白ヒョウ“ムスターファ”の魂を継ぐものだと勝手に思っている。

二番手はラギネイ国の王子ルマティ。生まれながらに王としてのカリスマを備えたやんちゃ系美少年。

三番手がバーンズワースと敵対するローゼンタール財閥の跡取り息子カール。最初ちょっと頼りないけど、後半しっかりしてくる。優等生っぽい美青年。

そして。

花鹿とはギヴォリ島からのお付き合い、13歳にして一族の「総帥」となったキレ者立人が、ゲームの間花鹿のお目付役としてそばにいる。もちろん立人も、男前だ。

……ああ、花鹿ちゃん、羨ましい……。

いずれ劣らぬお金持ちの美形をよりどりみどり。もちろんみんな花鹿ちゃんに惚れている。

……ああ、花鹿になりたい……。

ってゆーのは嘘。

私、あんまり花鹿になりたいと思わないな。

ユージィンになりたい(笑)。

だって、一度はやってみたくない? その凄絶な美貌をかさに、思いっきり高慢ちきに、寄ってくるバカに向かって「美しくない」とか言うの。

ユージィンも、出生に秘密というか、「悲劇」があって、それが彼に常に「死」の影をちらつかせ、退廃的でお耽美な、自棄な人間に仕立てている。

ただきれいなだけじゃ、意味ないもんね。

そこに、「狂気」がないと。

これから読む人もいるだろうから詳しくは言わないけど、最後のユージィンの花鹿への愛のあり方にはもう、うるうる来た。最高や、あの人。

恋人にするならやっぱり立人が一番になるかもしれないけど、自分が生まれ変わるならユージィンやな~(笑)。


って、これだけだとまるで「どのイケメンが好きですか?」ってだけの話のように思えるけど、もちろんそんなことはありません。

それぞれに問題を抱えた男達はみな花鹿と出逢って成長していくし、花鹿自身も出逢いと、事件をくぐりぬけていくことでさらに魅力的な人間へと成長していく。

ラギネイ国の政変もからんで、お話はけっこうシビア。

金にも美貌にも恵まれて、人からは羨まれる男達がみんな孤独で、決して幸福ではない、「人の幸せってなんだろう」って花鹿が考えるシーンもある。

本当の強さとは何だろう、とかね。


アニメでは回想だけで割愛されるのかもしれない「マハティ編」も、好きだな。55年の時を経て、最後に出てくるマハティの、セリフがまた、泣かせる……。

童顔だけど本当は凄腕ボディガードなのかもしれない(可哀相に、そーゆーとこはちっとも描かれてない)寅之介も可愛いし(特にユージィンに惚れてるとこが(笑))、無口で実直な、なぜか男にばかりモテる軍人ノエイくんも良い、さらにさらに「それと知って悪をなす」確信犯クインザも、一度は生きてみたい人生だ。

……って、何度も人生生きられたら苦労しねぇ、って。

だからこそ。

本当はしがない巷の主婦人生を慎ましやかに(?)送るしかない小心者だからこそ。

「物語」が必要なんだ。

とびきりかっこいい人間達が紡ぐ、とびきり素敵な物語が。

樹なつみさんは、そんな「物語」を語ってくれる人。

ああ、『朱鷺色三角』も読み返したくなってきたぞぉ~。