昨日『ちちんぷいぷい』で「選択的夫婦別姓問題」について取り上げていた。

「全員別姓にしろ!」じゃなくて「選択的」なんだから、さっさと実現すればいいのになぁ、と私は思う。

結婚して10年以上経つので、もう今の姓にも慣れたけど、やっぱり改姓当初はなんだか落ち着かない感じがしたものだ。色々改姓の手続きに行くのもめんどくさかったし。

病院行って「○○さ~ん」って呼ばれても自分のことだと気付かなかったりとか。

20数年間その名前で生きてきたのが、婚姻届を出したとたん、別の名前になっちゃうんだもんね。

法律上「夫か妻、どちらかの姓にする」となってはいても、ほとんどは妻の方が夫の姓を名乗ることになる。

どちらか一方だけが変えなきゃならない、ってのが不公平だよね。

前に橋本治さんが「結婚すれば新しい戸籍になるんだから、姓も新しく作ればいいじゃないか。山田さんと鈴木さんが結婚したら山木さんになったり、鈴田さんになったり、もう全然違う姓を新しく名乗ったり」って、書いてはった。

それ面白いよね~。職場とか誰が誰だかわかんなくなるかもしれないけど、「そーゆーもん」になっちゃえば、けっこうすぐ慣れるもんじゃないかと。

そんな、「山田」が「山木」になるなんてとんでもない!って思った方、多くの女性は結婚すると「田中」がいきなり「斉藤」とか「神崎」とかになるんですよ。俺は「山田」の家の人間で、ずっと山田で生きてきたんだから、「山木」になんかなれるか、って思うことを、多くの女性は経験させられているんですから。

ま、でも、「山田」と「鈴木」で「山木」になったら、お墓はどーなるんだ!とか言う人はいっぱいいるだろうな。

みんなが結婚するたび名字変えて、そのたびに新しい名前で墓作ってたら、日本中墓地だらけになりそう。

「○○家の墓」っていうやり方を改めて、個人墓なり、夫婦墓なり、色々変えていけばいいんだと思うけど。

親戚のところなんて、いまだに土葬で墓石ないもんね。埋めたところに卒塔婆が立ってる。

必ずしも「○○家の墓」だけが日本のお墓の伝統ではない。

そもそも江戸時代以前は庶民は姓を持ってない、って話もあるし。


うちの母方の祖父母は「事実婚」で、祖父と祖母の姓は同じじゃなかった。

母と、母の兄(つまり私にとっては伯父さん)は祖母の姓を名乗っていた。

祖父がいわゆる遊び人で、籍を入れるのを嫌がったらしい。もしかしたら母には腹違いの兄弟とかいっぱいいるのかもしれないけど、私が物心ついた時には祖父母はとても仲の良い夫婦で、ずーっと一緒に住んでたし、孫の私も可愛がってもらったし、祖父が亡くなって、法律上祖母は「他人」だったけど、民生委員さんががんばってくれたかなんかで、お金の手続きとか不利のないようにしてもらえた、と聞いた気がする。

祖父は子どもの頃に子のない親戚にもらわれて名字が変わって、でもその後そこに実子が生まれて家を継ぐ必要がなくなり、そこの家のお墓には入っていない。

墓石なしで、お寺に永代供養を頼んであるらしく、祖母もいずれは同じお寺で、祖父のそばで供養してもらうことになっている。

もしも祖父が「○○家の跡取り」だったりしたら、こーゆーふうにはならなかったのかもしれない。

でもなんか、私としては夫婦二人でそうやって供養してもらうのっていいなぁ、って思ったりするんだよね。婚家の墓に入ることに抵抗のある妻はきっと多いと思う。あ、いえ、うちは嫁姑の仲はすこぶる良好ですけどね!(笑)

でも実家の父母も大好きだから、みんな一緒だったらいいのに、って思うなぁ。私はもうあっちとは関係ないのか、って思うと寂しい。

この先「一人っ子同士の結婚」が増えたり、そもそも結婚しない人が増えたり、「墓」の問題は大きくなると思う。いずれ「○○家の墓」という形態は立ちゆかなくなるんじゃないのかな。

そもそも「♪そこに私はいません~♪」だったりするんだし(笑)。

夫婦別姓に反対する人の多くも、結局「○○家」という「家」意識に縛られているんだと思う。

木下藤吉郎が豊臣秀吉になったみたいに、婚姻時に限らず姓も名も全然違うものに何度でも変えられる、ってことにしちゃってもいいのに。

事務手続きすごいだろーなー。本人確認大変で、いくらでも犯罪用口座とか作れそうやけど(笑)。


「選択的夫婦別姓」法案が実現しても、田舎じゃ特に「別姓」を選択するのは難しいだろうな……。