2012年10月10日水曜日

『D―黄金魔』上巻/菊地秀行



『吸血鬼ハンターD』、久々に手に取りました。10作目の『双影の騎士』までは読んだのですが、その後追いかけるのをやめてしまっていました。

『双影の騎士』は1996年らしいので、16年ぶりに買ったことになるのか。

「菊地秀行デビュー30周年!」という帯にうっかり引かれてしまったのですよねぇ。『エロイカ』も35周年メモリアルブックが出て、私が中学・高校の時に親しんだものは軒並みもうそんなに歴史を刻んじゃってるんだと。

『D』の1作目は1983年らしいです。ということはD自体が来年30周年を迎えるわけか。

私が『D』に触れたのは高校の時だったと思います。原作より先にまずアニメを見たんじゃなかったかな。

尾崎豊が好きでエピックSONYのファンクラブみたいなものに入ったら、『D』の上映会があって。

音楽が小室哲哉氏で、主題歌の『YourSong』をTMネットワークが歌ってたんですよね。


Dの声が塩沢兼人さんというだけで見る価値(聞く価値?)があると思います。小室氏の音楽も素敵だった。

サントラLP持ってますから!


ビデオ12,800円って、どんな人が買ったんでしょうね。バブリーだよね。劇場公開時の併映作品が『幻夢戦記レダ』っていうのも懐かしい。


……って、昔の話ばっかりしても仕方ない。最新作ですよ、『黄金魔』ですよ。『D』としては25作目、別巻扱いの『昏い夜想曲』を入れれば26作目。

Dは金貸しのエル爺さんに護衛を頼まれ、借金を踏み倒した貴族のもとへと赴く。道中エル爺さんに金を借りたが返すつもりのない連中に次々襲われ、同行者が増えていく。

「借金取り」の依頼なんか受けるはずのないDがエル爺さんの護衛を引き受けたのは、爺さんが「昔〈神祖〉に会ったことがある」と言ったからだった。かつて〈神祖〉はDのことを「成功例」と言った……。

吸血鬼を指す「貴族」という言葉、Dの親でありいわゆる“ドラキュラ”だと思われる〈神祖〉、怪物妖獣なんでもござれの「辺境」の風景、久しぶりの世界は懐かしいけれど、うーん、小説としては微妙。

襲ってくる敵に脈絡があるのかないのか、すごく行き当たりばったりな感じだし、この「上巻」では目的の「人間の爺さんから金借りて踏み倒すあこぎな貴族」もまったく姿を現さない。

この貴族も〈神祖〉と親しかったって言うんだけど、最後まで行っても結局〈神祖〉のこと、Dの出生についてはっきりとはわからないんだろうなぁ。これまでもそうだったように。

思い返すと『D』って、貴族と人間のハーフ、それも〈神祖〉の血を享けた特別な存在で超絶美形+超絶剣技なそのキャラクターはとても魅力的だけど、ストーリーは毎度おなじみちり紙交換ならぬ吸血鬼ハント。

D自体は寡黙でほとんど感情をあらわにしないから、依頼主や敵の貴族・人間がどれだけドラマを作れるか、が重要になる。“もう一人のD”が出て来る『双影の騎士』は印象深いけど、他の作品はどれがどれやら、どんな話だったのやら、ほとんど思い出せない……。

この『黄金魔』もまぁそれなりにページは繰れますが、「すごい面白い!!!」って感じではないです。

あとがきで菊地さんが「筆が進まなくて時間ばかり過ぎた」って書いてらっしゃるんですけど、なるほどねと思う冗長さ(苦笑)。

「上下巻どころか3巻4巻まで行っちゃうかもよ~」とまでおっしゃってます。

デビュー30年のベテランともなるとそんな勝手が許されるのね、羨ましい……。

まぁ、上巻のペースだとあと2冊ぐらいはないとまとまらないかな、って気はします。これで下巻であっさり片がついたら逆に上巻の冗長は何だったんだ、って気がすると思う。

「俄然面白くなった!」と書ける次巻だといいですが。

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