2012年10月15日月曜日

『Z-完全版-』/青池保子



『エロイカより愛をこめて』35周年メモリアルブックを読んだあと、『エロイカ』1巻から全部読み返しました。

読み出すとやめられない止まらない。すでに展開は知っているのにどのエピソードもやはり面白い。

現在の最終巻である39巻を読み終わってしまってさびしくて、『魔弾の射手』も読み、『Z』も読もうとして。

あれ?『Z』の2巻がない。

白泉社コミックスの『Z』1巻はある。でも2巻がない。

どうも、2巻を買っていなかったらしい。……読んだ気がしてたのは気のせいだった…。

『エロイカ』の30巻に、『Z』の最終作が併録されているので、それで読んだ気がしていたのかも。

今さら白泉社版の2巻を買うのもなんですし(そもそも中古でしか手に入らないっぽい)、どうせ買うならと思って昨年出た『完全版』を購入。いやー、買ってよかった!

美麗なカラーイラストがたっぷり、コミックスに入っていたのかどうか知らないけど、番外編である『Zの幸福』やエッセイマンガ『暗号名は“ほんのジョーダン”』も入っている。

読んだことのなかった4作目と5作目はもちろん面白かったし、どっぷり『Z』の世界に浸れます。

1作目のZ君はホント髪が長くて、今見ると別人みたい(笑)。1作目って、1979年なんですよねぇ。私が『エロイカ』を読み始めるより先に『Z』も描かれていたんだなぁ。

しかも掲載誌が『LaLa』!

私も高校の途中くらいからLaLa読んでたんですけど……もっと早く読んでいれば!(笑)。

『日出づる処の天子』とか『摩利と新吾』とか『南京路に花吹雪』とか、当時のLaLaはすごいですよねぇ。(私が読んでたのはもうちょっと後で、『エイリアン通り』や『竜の眠る星』、『朱鷺色三角』などが連載されてた)

伯爵やジェイムズ君やロレンスのせいでスパイアクションと言ってもコメディ要素も強い『エロイカ』本編とは違って、『Z』はどシリアスなスパイ・ストーリー。

『エロイカ』では死人を出さないようにしているらしい青池先生、『Z』では殺される人多数。

16年ぶりに最終第6作を描くことになった時に、青池先生は「Zは冷戦を背負ったキャラクター。当時の時代背景あってこそのZの哀しさ切実さ」だから、「もうこれ以上『Z』を描くことはない」とおっしゃっています。

6作目は冷戦後になって最初で最後の『Z』。集大成。

今も地上から戦争や内乱がなくなったわけではないし、スパイがいなくなることはないのでしょうけどね。

5作目までの「東」と「西」との間で犠牲になる人々を見ると――そしてそのことに心痛め、自身も“命からがら”という危ない目に遭うZ君を見ると、改めて「冷戦」って何だったのか、と思います。

私が物心ついた時にはもう米ソの「冷戦」は「当然の世界状況」としてあって、その構造が変わる日が来るなんていうのは、ホントに、想像できなかった。ベルリンの壁が崩れた時の衝撃って、ホントにすごかった。

中学生の息子ちゃんにとっては「ソ連」というのはもう「歴史」なんですもんねぇ。

Z君が主役の新作をもう読めないのは残念だけど、青池先生のおっしゃることはよくわかる。

それにしても。

少佐っていい上司ですよね。

「鉄のクラウス」と他の情報機関から怖れられ、情報部長はもちろん人事部長等からも煙たがられ、当然部下にとってもおっかない上司である少佐だけど、ただおっかないだけじゃない。

すぐ怒鳴るし手も出るしすごく厳しいけど、「理不尽」じゃないというか。

「本当は優しい」とか、「実は部下思い」とか、そういうありきたりの、上っ面の「良さ」ではなくて、きちんと芯の通った厳しさ。スパイという仕事柄、甘ったれていたら自分が命を落とす。自分だけじゃない、周りの人間まで巻き込んで大惨事になってしまう。

部下を鍛え、突き放しながら信頼し、部下の身に危険が迫れば少佐自ら戦闘機を駆り追いかける。

5作目の、Zが拉致される元を作ったDIS(英国軍事情報部)の将校に向かって少佐が言うセリフ、

「おれに本気でけんかを売られたら あんたら最期だぜ」

カッコいいーーーーーーーーーーっ!

Zともども最新鋭戦闘機を奪って逃げた東側スパイ。「撃墜したという報告が入ったらすぐ知らせてくれ」と言う少佐。その冷静さと覚悟。一方で、「Z、おれが行くまで生きておけ」と念じつつ自ら戦闘機を駆る熱さ。

たまらんわ~~~~~~。やっぱり少佐最高!!!

4作目では情報源の女とデキちゃったZを「見損なったぞ!」と叱りながら、「失恋した男は酒でもかっくらってみじめに泣いてりゃいいんだ。それが別れた女へのエチケットというもんだぞ」とZを酒席へ連れ出す少佐。

デキちゃったけどきちんと自分で別れてきたZのつらい心情、ちゃんとわかってるんだよねぇ。

『エロイカ』本編でもなんだかんだ言って部下達は「少佐が来てくれれば鬼に金棒」と絶大な信頼を寄せているし、番外編『エーベルバッハ中佐』ではA君が「少佐は自分のつらい過去をぐだぐだ言うような人ではなかった」と改めて少佐のすごさを実感してる。

いい男だよねぇ。

惚れ直しました。


余談ですが。

グッズ用に描かれたイラストを見ていて思い出したんだけど、そういえば「白泉社の販促用に作られた下敷き」っていうの、持ってました。片面が『Z』で片面が『赤い牙~ブルー・ソネット~』のやつ。

本屋さんでもらえたんですよねぇ、懐かしい。

この私があーゆーものをそうそう捨てるとは思えないので探せばどこかにまだあると思うんだけど、今ちょこっと本棚物色して出て来たのはエリア88の下敷き……。全然どーでもいい中学くらいに使ってた下敷きもあったから、絶対Zくん下敷きもあると思うんだけどなー。

気になる(笑)。

(※追記:『Z』下敷きは無事発掘されました。詳細こちら♪)

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