2013年9月8日日曜日

『秘密~season0~』1巻/清水玲子



『秘密』シリーズのスピンオフというか、本編以前の薪さんを描く「season0」。

「薪さんの出生の秘密が云々」みたいに言われていたので、読もうかどうしようかと迷っていたのですが、コミックス買っちゃいました。

それでなくてもつらい薪さんの人生に、まだ哀しい過去があるのかと思うと、読むのをためらいますよね…。

「家族はいない」「天涯孤独」というのは本編でも出てきていて、「なぜそうなったか」というのが今回のお話。

たった8歳で、両親を亡くしてしまった薪さん。

その夜の記憶を、脳に刻まれた映像を、警察や他の人に見せることができたなら、と思っていた薪さん。その想いが、「第九」での過酷な仕事を支えていたのでしょう。「プライバシー侵害」「覗き」とけなされても、被害者の見たものがどんなに悲惨であっても、真犯人を暴き出すために、事件の真相を突き止めるために、命を削ってMRI画像と向き合い続けた薪さん。

この「season0」1巻で描かれた話では薪さん18歳なんだけど……本編とほとんど変わってない。年取ってないよ、薪さん……。背の高い鈴木さんに「時計が止まったおかげで身長も止まってんのか」みたいに揶揄されるところがあるんだけど、ホントに時計止まってるんじゃ。

本編では最初から亡くなっていた鈴木さんも18歳。

東京大学文科Ⅰ類に次席合格の鈴木さん。そこそこ顔も良くて背も高くて頭良くて性格もいいとか。

ホントに、いい人すぎるよね、鈴木さん。

こんなにも大事な人を薪さんは亡くしてしまったのかと思うと……。

でも最後の方はいい人を通り越して「それはもう恋でしょ!?」って感じになってて、ちょっと見てるのが恥ずかしいっていうか、なぜそうなっちゃうのと思ったり。

背の高い鈴木さんがかがみこむように薪さんに話しかけてる姿はもう…もう……(赤面)。
いくら「いい人」の鈴木さんでも薪さんのビジュアルがああでなければあそこまで親身にならなかったんじゃないの!? 「君が笑ってくれるなら」とかどう考えても恋だよぉぉぉ。

「男の友情」ってそういうもんなんだろうか。平安の昔から。

『失われた近代を求めて』の中で解説された『破戒』もそういう匂いがしていたもんなぁ。主人公丑松がただ一人「秘密」を打ち明けたいと思った先輩。奇しくも「秘密」絡みだし(関係ない)。

次席が鈴木さんなら薪さんは首席合格。

しかも東大入る前に17歳で京大生命科学研究科博士課程修了とかどんだけ天才なんですか。

あのビジュアルで、あの性格で、超天才。

無敵すぎる。

でも「京大」って、薪さんは京都に住んでたことがあるんかな。それとも通信教育なんだろうか。2045年なら、わざわざキャンパスに通う必要なんてないような気もするけど、東大にはキャンパスライフがあるらしい描写だった。

8歳で両親を亡くした薪さんは澤村さんという人と暮らしてて、彼には介護が必要で、薪さんは部活もせずに家に帰って彼の面倒を見ていた、ということになってる。

もし薪さんが京大に通ってたんだとしたら澤村さんの介護はどうなってたんだろう、二人で京都に移り住んでたのか?とか思ったわけです。介護はヘルパーとかでなんとかなったとしても、薪さんに強い執着を抱いている澤村さんが、手元から離しただろうかと。

……2045年なら、東京から京都もリニア新幹線でひとっ飛び、わざわざ移り住む必要はない、なのかな。

ええ、まぁ、些末なことなんですけどね。

ミステリーの都合上、あまりストーリー自体についてあれこれ書けませんし(すでにだいぶネタバレになってるけれども)。

事件のきっかけとなっている2010年前後の「外国人排斥」の風潮、「20世紀オリンピック公園」という名称など、「過去」として描かれている現在にむずむずしました。

ちょうど今朝、2020年東京オリンピック開催が決まったのですが、「20世紀」だからもちろんこの公園は昭和39年のもの。

実際に「駒沢オリンピック公園」というのがあるそうですが、ここのことを指しているのかしら。


しかしホントに、最後のところを読むと、「この鈴木さんを失ってしまったのか」って……。

「1巻」になってるってことは、まだこの先薪&鈴木コンビで事件を解決する話が書かれるってことでしょうか。

私は薪&岡部コンビが一番好きです。玲子さん、よろしくお願いします(笑)。

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