やっと!やっと出ました!!!
帯には「川原泉6年振りの新刊!」とデカデカと。

ですよねぇ。超エリート進学校・彰英高校を舞台にしたこの「~がある」シリーズの2冊目『コメットさんにも華がある』が出たの、2011年の話ですもの。

『コメットさん』刊行時にはすでに『バーナム効果』の連載は始まっていて、単行本が出るのを首を長ーくして待っていたんですが。

正直、諦めかけてました。

「連載」と言っても毎回のページ数は非常に少なかったみたいですし、併録されている『これから私は武士になる』の方は2015年4月号掲載のあと、中断というか止まったきりだったようで。

「出てないかな?」とネットでチェックすることもやめてしまってました。

それが。

何の気なしに覗いた本屋で。

いきなり。
「川原泉6年振りの新刊!」

うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。マジかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。

ほんま、目を疑いましたよ。疑いながらも即レジへ直行。
もったいなくて、1週間ほど寝かしてから読みました。

まずは表題作『バーナム効果であるあるがある』。彰英高校生徒の憩いの場、中庭の噴水の謎がついに明らかになります。

「謎」っていうか、どう見ても「火星人リトル・グレイ」なんですが(“リトル・グレイ”がわからない人は『ブレーメンⅡ』を読もう)、リトル・グレイを模した彫像かと思いきやそうではなく、本物のリトル・グレイが彫像のふりして噴水のとこにずっと立っていたのです。

それはもちろん誰にも知られてはいけない秘密中の秘密。学校長と、その息子である事務長しか知らない事実……だったんだけど。

ひょんなことから知ってしまった如月真世さん。リトル・グレイの謎は、いかにして彰英高校が今のような有名進学校になったか、という謎にも繋がっていて……。

町工場を切り盛りするお父さんを大尊敬している真世さんと、うっかりそんな真世さんの気持ちを傷つけてしまった事務長さん。さてさて二人は(そしてリトル・グレイは)どうなる?

「庶民派」の女の子とお金持ちのお坊ちゃんという、川原ワールドではお馴染みの組みあわせですが、今回の事務長さんは母親なきあと家事を担い、桃ジャムやコンポートまで作っちゃう。

リトル・グレイも彼の親子丼が好物らしく……地球の食べもん何でも食べられるってすごいな、火星人(笑)。

最終コマに描かれた未来、リトル・グレイどうすんねやろ。うぷぷ。


『これから私は武士になる』の方は、「TO BE CONTINUED」です。白泉社さんとしても完結してから単行本を……と思って待っていたんでしょうね。待って待って……でもこれ以上待つといつまとめられるか!というわけで刊行に踏み切ったのだろうと勝手に想像しております。

巻末の書き下ろしおまけマンガによると、川原さん昨年の6月に右手を骨折なさったらしく。

それは、マンガ描けなくて仕方ないですよね。でもここに収録されてる『武士になる』の最後の回は2015年の4月号掲載分なので、骨折うんぬん関係なく中断していたのでは……。「ぼちぼち仕事しなくちゃな」と書かれていたので、近いうちに連載が再開されるかもしれませんが、さて。

『武士になる』のヒロイン凛さんは自他ともに認める落ち着きのない女の子。彰英高校に入学し、「こんな私でも大丈夫か?」と思いつつも弓道部に入り、「日本一の弓取を目指すのだっっ!」と日夜鍛錬に励む……。

とはいえ完全初心者の凛さん、なかなか射場に立たせてもらえません。まずはゴム弓で地道に練習。その後本物の弓でひたすら素引き。

指導に来た弓道の先生に「なかなか筋がいいのぉ~」と褒められ、「特別にこの矢を使わせてやろう」となったところで無情の「TO BE CONTINUED」

凛さん、せっかく次のステップに踏み出せるところだったのに、かれこれ2年もお預けされてしまって……射場に立てる日はいつ。

凛さんのBoyMeetsGirlのお相手は、弓道部の先輩にして凛さんの面倒を見ることを任されてしまった伊吹くん。

だと思うんだけど、同じ新入部員の中に「チャラ男」に見えて実は弓道宗家の日吉くんがいるのがちょっと気になります。第一印象で「サムライ!」と憧れた(?)伊吹先輩ではなく、日吉くんの方が凛さんの心を奪うサムライだった!みたいな展開がもしかしてもしかすると――?


次は何年ぶりの新刊になるのか……再び首を長くして待ちたいと思います。