(※以下ネタバレあります。これからご覧になる方はご注意ください)



今さらですが『ゴライダー』、借りてきました。去年の3月から4月にかけてauビデオパスで配信されたもので……しっかり1年経ってる(^^;)

3話構成での特別配信というところが2015年の『仮面ライダー4号』を彷彿とさせますが、あれはドコモのdビデオだったんですよね。なんで今回はauだったのかな。

配信形態が似ているだけでなく、「タイトル詐欺」なところも4号と共通。いや、4号に比べればゴライダーちゃんと活躍するし、まぁ主役だけど、でも「え?いつゴライダーになるの???本当に出てくるの?」と心配になるぐらいなかなか出てこない

出てきかたも突然無理矢理って感じだし……。

とはいえ楽しめました。仮面ライダーなら何でもそれなりに楽しんでしまう私の言うことなので当てにはなりませんが(笑)。

ストーリーは。

永夢が目を覚ますところから始まります。「ふぁぁぁ、よく寝た」という感じで目を覚ました永夢、自分がジェットコースターの線路の上にいることに気づき、「えええええっ!?ここどこ!?」となります。

無人の遊園地。

「うぇるかむ」と書かれた建物に入っていくと、そこには自動人形のように決まったセリフしか言わないポッピーの姿が。永夢にコーヒーを出し、「主(あるじ)が参ります」と言うものの、「主(あるじ)」とやらは一向に姿を見せない。そしてポッピーは永夢に反応せず、永夢のことなどまったく知らないよう。

机の上の燭台には5本のろうそく。ろうそくが灯るたび、その場に新しい人物が現れる。

一人目はアナザーアギト・木野薫。知らない相手のはずなのに、永夢の脳裡にはフラッシュのように映像が明滅し、「木野…さん?」と名前まで。

「なぜ俺の名を知っている!」と木野に超怪しまれる永夢。その後仮面ライダー剣・剣崎一真仮面ライダーバロン・駆紋戒斗仮面ライダーマリカ・湊耀子が姿を現し、そのたびポッピーがコーヒーを持ってくる。

永夢を入れて5人になって、でも「これで全部じゃない気がする」と言う永夢。
「なぜわかる?」「わかりません、そんな気がするんです」

この、「わからないけどそんな気がする」を連発する永夢に、木野がさらに不信を募らせるんですが。

疑われて当たり前だよね。傍観者として見ているだけでも「おまえな」って思ったもん(笑)。

自分たちがどこにいるのかもわからない、そしてその遊園地から出ることもできない(出ようとしてもまた同じ場所に戻ってくる)、ショッカーや怪人たちが襲ってきたりもするというわけのわからない状況の中、一人訳知りげに「そんな気がするんです」と次に起こることを何度も予知されたら……。

「はぁ?てめぇがこの状況仕組んだ張本人なんじゃねぇのか!?」

って思われても仕方がない。

そうして永夢の言ったとおり、5本目のろうそくにぼわっと火が点き、満を持してきりやん登場。(ろうそくの火のともり方がきりやんだけ特別だった気がする)

「本当にきりやさん!?」と驚く永夢。そう、この『ゴライダー』配信の時点できりやんはまだ死んだまま。復活してません。

死んだはずのきりやんが登場したことで、他の4人の共通点も明らかになります。全員が仮面ライダーというだけでなく、永夢を除く全員が「死んだ仮面ライダー」

あれ?剣崎さんって死んだの?と思ったけど、「俺はアンデッドになった。人間としては死んだようなもの」ということで、剣崎さん含め五人は鏡に映らない。

一人、鏡に映る永夢。

永夢だけは、死者ではなく生きているらしい……。

自動人形のようなポッピー。最初に永夢がこぼしたコーヒーのしみが絨毯に残っていないこと。「リセットされている?」と気づいた永夢は「ここはゲームの中なんじゃ?」と思います。

「よく気づいた!」ってことで「ゲーム」は次のステージに移り、怪人やショッカーと激しいバトルを……(あれ?ちょっと順番がわからなくなってきた。展開間違ってたらすいません)。

永夢の脳裡には「剣崎にぐさりと刺される」というイメージが残っていたんだけど、その映像の通り、永夢は剣崎に刺されてゲームオーバー。「ハハハハハ!」と高笑いしつつ永夢を嬲る剣崎さんの姿に、「あ、これきっと神だ」(笑)。

剣崎さん、滑舌が懐かしかったけど、この永夢をいじめて「おまえのおかげでライダー達を絶望させることができた!」とか何とか言うところはうまかったです。「これ神だな」ってちゃんとわかる(まぁ“仕組んだのはどうせ神だろう”と思って見てるせいもあるけど)。

調子に乗った剣崎は「特別に正体を見せてやろう!」とか言って瀕死の永夢に正体を明かすも視聴者にはまだそこは見せてもらえず(うん、でも神でしょ、わかってるから)。

ゲームオーバーになった永夢は現実世界に戻ります。

現実世界は次々湧き出るバグスターに侵食され、ブレイブ&スナイプが奮闘するもきりがない状態。「このゲームをクリアしなければ」ということで永夢は何度もゲーム世界に入っていたんですね。挑戦するたび記憶はリセットされ、前回の経験は生かされない。それでも断片的な印象が残っているから、「わからないけどそんな気がする」になっていた。

とにかくゲームをクリアしないと現実世界が救えない!ということで再チャレンジする永夢。またジェットコースターのとこで「ふわぁぁぁ」と目覚めるんだけど、「うぇるかむ」ハウスに入ると一人ずつではなくいっぺんに木野やきりやんが現れ、しかも戦闘からほうほうのていで戻ってきた感。

あれ?全リセットされてないことない???

前回永夢が遺していたメッセージも消えてない。「異物(一人だけ生きてる)である僕の遺したものはリセットされないらしい」とか言ってて、まぁ血で書いたみたいだからそういう理屈もなくはないけど、他のメンバー、永夢のこと覚えてたような気もするし……。

ともあれ永夢はメッセージ(暗号っぽくなってた)のおかげで前回のことを思いだし、「剣崎さんは本物じゃない!」と糾弾。もちろん剣崎はすっとぼけるけど、そこへ現れる本物の剣崎。

うん、「死んだ仮面ライダー」の中で一人だけ、「人間じゃなくなったかもしれないが死んではいない」はずなんだもんね。一人だけ、設定がぶれてた。

アンデッドはアンデッドと惹かれあう。ゲーム世界といえどもアンデッドを模したやつのことは察知できちゃう、だからゲームにたどり着いたし、「ジョーカーが一人になったら世界が滅びる!」ということで(この設定も懐かしい)ゲーム世界がガラガラと崩壊……。

したはずだけど、遊園地が消えていつもの採石場というか「存分にお戦いください」的空間になっただけでした。まだ、現実世界じゃない。

偽剣崎の正体はもちろん神=黎斗で、それがわかったところで「私は決して倒せないラスボスとして設定されているのだー!」。

この作品の時点できりやんは死んでるわけですが、そういえば神も人間としては一回死んだわけで(つまりまだ「新檀黎斗」にも「檀黎斗神」にもなっていない)、だから鏡に映らなかったし、「このゲームを通して死んだ仮面ライダーの絶望エネルギーを集めて私は復活する!」とかいう計画だったらしい。

なんでそんなことができるのかわからないけどまぁ神だからしょうがない。

で。

唐突にゴライダーになります。

決して倒せないラスボスを倒すためにはチートが必要、というのはとりあえず理解できます。仮面ライダーではなく別のものになって戦わないと、という。それが戦隊でゴライダーなのはいいとして、いきなり永夢が「これを!」ってゴライダーカード出してくるのが謎すぎる。

そのカードはどこから?

親切な神はそんな隠しコマンドを作ってくれていたということなの???

ともあれゴライダーに変身する五人のライダーたち。バックの爆発も気合いが入って、ゴライダータワーにゴライダーハリケーン。次々とボールを蹴って、永夢が「ぼくも混ぜて!パスパス!誰もパスくれない」と嘆いてたら、戒斗さんがちゃんと最後に「エグゼイド!」ってボールをくれる。

戒斗さん優しい。

てかそこまで割とシリアスだったのにゴライダーシーンがお笑いでギャップがすごい。

あっさり劣勢になった黎斗は「私を殺していいのか!私がいればおまえたち死んだライダーも生き返ることができるかもしれないんだぞ!」みたいなことを言う。

でもここにいるライダーたちは最初から、「俺は死を受け容れた」って言ってたんですよね。きりやんも「永夢に託したから」と。

「世界を守れるなら何度でも死を受け容れよう」「ああ、それが仮面ライダー、ってもんかもな」

黎斗、ゲームに登場させるライダーをいちいち選び損なったのでは。

ともあれこの、「死んだライダー」モチーフなのも「仮面ライダー4号」と通じるところがあるよね。あっちでは剛ちゃん何度も死ぬし、「たっくんが生きている世界」をそっとしておきたい海堂さんと、「自分で決着をつける(つまりもう一回死ぬ)」たっくん。

スピンオフだから、これまで登場したライダーをもう一回出すためには色々と理屈が必要だし、死んだライダーを理由をつけて生き返らせたとしても「その後もずっと生きてる設定」にはしにくい。

登場人物や場面(何より撮影日数)が限られる以上、「ループもの」的クローズドな世界になるのも仕方ない。時間ループもの好きだし問題ないですけど。

戒斗さんに湊さん、きりやん、それぞれ生前のキャラが十二分に発揮されていたし(ゴライダーになってもきりやんめっちゃきりやんやった)、久々の剣崎さんも懐かしく(アギトは見てないので木野さんは残念ながらピンと来ず)、ゴライダーシーンもお遊び全開で楽しかった。


メイキングがついてないのだけ寂しかったです。