※以下ネタバレあります!これからご覧になる方はご注意ください!
 また、セリフ等記憶違いも多いと思われます。ご容赦ください。




ルパパトに引き続きビルドの映画です。
本編前に「クレジットの後も映画は続きます。最後までお楽しみください」の字幕と、「石ノ森章太郎生誕80周年」の画像が。

そうかぁ、石ノ森先生って、まだ生きてらしても全然不思議じゃないお年だったんだよねぇ。

戦隊やライダーはもちろん、『キカイダー』とか『イナズマン』とか、私が子ども時代に夢中で見ていた作品群、先生はまだ30代で生み出してらしたのだ。すごい。


で。

テレビ本編45話の最後で東都、西都、北都の新しい知事として紹介されていた3人。映画はこの3人との対決を軸に、46話までの間に起こった事件を描くということで。

え、そんな、一週間の間にこんな大変なことが。

これを乗り越えたと思ったらまたエボルトとの戦いでグリスがあんなことになっちゃうの。

仮面ライダーってほんま過酷な職業や……(いや、基本報酬はないから過酷なボランティアか)。

冒頭、みーたんとさわさんが暑い暑いと言いながらnascitaでそうめんの準備。ビルド世界も猛暑らしい。
万丈はカスミさんのお墓参り。カズミンも三羽烏のお参りに。

「お盆シーズンだからねぇ」

こんなに季節感のあるライダー映画も珍しいのでは?(笑)

ちなみにげんとくんは「8時間寝ないとダメだから来ないって」みたいに言われてましたが、もうお昼っぽかったのにげんとくん前夜何してたの。夜更かしはお肌によくないよ!?

戦兎はどこかをバイクで走ってて、nascitaへ向かう途中らしい。

戦兎を待たずにそうめんを食べ始めるみーたん達。テレビでは新しい知事達の街頭演説が始まっている。

その演説の中で「仮面ライダーは悪しき兵器。特にビルドは殲滅すべき!」と吠える新東都知事伊能。

彼が手を振って何やら怪しいエネルギーを放つと、集まっていた群衆の目が赤く光り、その首筋や顔には赤い筋のようなものが……。

洗脳された群衆は「殲滅!殲滅!」と言いながらビルドを追いかけ、追い詰め、攻撃し始める。一般人を傷つけることができない戦兎はただひたすら逃げ回るしかない。

うーん、追いかけっこの絵面はあんまり面白いと思わなかったなぁ。ルパパトの華麗なアクションを見た後では、ただ逃げ回っているの、正直つまらない。

ただ、「石もて逐われるヒーロー」っていうのは仮面ライダーの原点というか、石ノ森ヒーローの真髄という気はして、色々考えさせられはしました。

後で、「洗脳がなくても民衆は心の底で仮面ライダーに恐怖と嫌悪を感じている。戦争を引き起こした悪魔として、ライダーに対するトラウマがある」って話がされて、「ずだぼろになって戦っても誰にも感謝されない。なのになぜそうまでして戦うのか」ってことを、戦兎は問われる。

「平ジェネFINAL」でも何のために戦うのか、がテーマだったよね。何のために、なぜライダーとして戦うのか、その意味と覚悟を万丈が見つけるっていうのが。

怪人を倒すだけの力を持ったヒーローは、一般人から見れば実は同じ「怪物」。Wでもオーズでも、ヒーローの変身アイテムと同じもので怪物が存在してた。ビルドでも、ボトルは善にも悪にもなる。ボトル自体は、ただの“力”でしかない。

一般人にとってヒーローは「都合のいい神様」で、自分たちを助けてくれないなら「悪魔」だし、怪人がいなくなって平和になった後ならもう「用済み」だ。

感謝されないどころか、憎まれ、排除される。

みーたんやさわさんまで「殲滅!殲滅!」と言い出す中、一人ぼっちの戦兎を支えるものは……。

もちろん仮面ライダーに洗脳は効かないのでカズミンとげんとくんは戦兎を助けようとするのですが、実は新都知事達はエボルトと同じブラッド族で変身するとめっちゃ強く、一度は捕まってしまいます。なぜかウツミンが助けにきてくれて、また戦いますが。

で、万丈はというと。

墓参の帰りに謎の男に招かれて車に乗ったあげく、伊能の手に落ちてしまいます。

ダメだよ、万丈、知らない人についていっちゃ……。

民衆と同じく洗脳されてしまう万丈……って、え? 仮面ライダーは洗脳されないんじゃ? 一対一、至近距離でやられたから効果大だったってことなの?

伊能が変身する時に他の知事ともども万丈も取り込まれて四位一体みたいになってたんだけど、ええと、ええと、それは万丈の中のエボルトの遺伝子もエネルギーになるからとかそういう……???

ちょっと、1回見ただけではその辺のことがよくわからなかったです。なんで伊能は万丈を必要としたんだっけ。ていうか万丈の中のエボルトの遺伝子、もうなくなってるんじゃなかったっけ???

まぁよくわかんないけど、とにかく万丈は戦兎と引き離されてしまっていて、戦兎は1人で「おまえは空っぽだ!」っていう罵倒に耐えなきゃいけないのです。

そう、そもそも「桐生戦兎」という人間は、エボルトによって作り出された存在。地球を破滅させる計画の一部として、「偽りのヒーロー」を演じるために。

キツいよねぇ、この設定。
葛城巧だった頃の記憶も蘇っているとはいえ、それもまた「悪魔の科学者」だったりするし、本編中でもたびたび繰り返される「心の中のもう1人の自分=葛城巧との葛藤」で表現されるとおり、桐生戦兎と葛城巧はやっぱり「別の人間」。

別の人格。

ビルドとして戦わないならそもそも「桐生戦兎」に存在意義はないようなもので、でも。

失われていた父親との記憶。
10年前のあのパンドラボックスによる惨劇の日。

「父さんは何のために科学者になったの?」
そう尋ねる息子に父は―――。

「LOVE&PEACEだ!」

うわぁ、お父さんピースサインまで。
いい話なんだけど。
いいシーンなんだけど。

ちょっと恥ずかしかった。お父さんそれ言っちゃうんだ~すごい~~~。

でもこれ、過去の記憶を失った戦兎がどうしてやたらに「LOVE&PEACE」って言ってたかの種明かしだよね。

父親と最後に交わした会話。それが、「LOVE&PEACE」だった。

はぁ、なるほどなぁ。
それでもまだ、戦兎の中の葛城巧は父親を信じていなかったりしたけど。

うん。
だって葛城巧は、父親に殺されたようなもんなんだもんね。
最終的には地球を救うためだとしても、父親はエボルトと一緒に「桐生戦兎を生み出す=葛城巧という人間を消す」ことに加担したんだから。

記憶と、科学者としての才能&知識は引き継がれているとはいえ、戦兎は戦兎で、巧とは違う。葛城巧という人間は、もうその存在を断たれてしまった。

父はそれを許した。
息子の人格を消すことを、許したんだ。

葛城巧が戦兎の精神世界でいじいじウジウジしているのも無理はない……。
(あれ、でも巧自身も「自分がいなくなる」ことを見越してデータを残していたんだっけ?ちょっともう最初の方のあれこれを忘れちゃってる)

えーっとそれで、伊能たちにやられてピンチの戦兎をエボルトが助け出してくれるんだけど、戦兎が「おまえにはわからない」みたいに言った時にエボルトが、「わかるさ、俺も桐生戦兎を作った1人なんだぜ」みたいに言うんですよね。

マスターの姿してることもあって、なんかこう、「実はエボルトいいやつ?」って錯覚しそうになった。

ってゆーか、エボルト結局何がしたいねん、と。

ブラッド族は他の惑星を滅ぼすのが使命、みたいな感じなんだけど、それもちょっと意味わからんし。戦闘民族サイヤ人みたいに戦いに意味を見出す、っていうのとも違うじゃない。戦えば十分強いけど、十年かけて準備して惑星破壊をもくろむ。

彼らにとってはゲームなのかなぁ。

ゲームだから、伊能たちはエボルトに逆らって自分たちの手で地球を滅ぼそうとするし、エボルトはそれを阻止する。どっちみち自分もその後で地球を滅ぼすのに。

まぁ他の生命体に遺伝子紛れ込ませたり、基本不老不死みたいな感じだから「10年」なんて彼らにとっては一瞬で、「わざわざ」というほどのこともないのかもしれない。しかし宇宙にはブラッド族を飽きさせないほどたくさん、「滅ぼすに足る」発達した文明が存在するのか……。

どっちにしても迷惑な種族や(´・ω・`)


さて、父親の「LOVE&PEACE」を思いだした戦兎、その前に言われたことも思いだしていました。「地球滅亡の危機が訪れる時、鍵となるのは万丈龍我だ」という言葉。

「きっとおまえは彼に会うことになるだろう」とも言っていたような。あれ、どうだっけ(すでに記憶が曖昧)。

ともあれ戦兎の中にはふつふつと万丈への愛が。

例の、巧くんとの「白い部屋」の背後に、次々と映し出される万丈との思い出。「LOVE&PEACE」のLOVEは万丈とのLOVE……。

作られた存在、空っぽの存在でも、万丈との出会いと絆は嘘じゃない!(みーたんやカズミンとの絆は嘘なのか)

ブラッド族を倒すための秘策、万丈にまつわる秘密をきっと父さんは残しているはず。パスワードさえわかれば……ということでデータを入手した戦兎は「万丈、おまえの命、もらうぞ!」と仮面ライダーブラッド(伊能が変身したやつ)に斬りかかり。

うまい具合にブラッドの中から遊離される万丈。倒れそうな万丈の体、その手をはっしと掴む戦兎(ビルド)。

愛だろ、愛。

その後2人で1人の仮面ライダー、クローズビルドフォームに変身! Be The One♪Be The One♪

「もしかして」
「おれたち」
「合体してるー!?」

クローズビルド、イチャイチャしてて楽しかったけど、でも万丈はストーリー中ほとんど洗脳されてる状態で、万丈の戦兎愛の方はあんまり表現されてないのが残念だったなぁ。

戦兎が「万丈!来い!」って言ったら洗脳されてても「戦兎!」って正気に戻ったりしてほしいやん。内側から仮面ライダーブラッドを食い破るぐらいの戦兎愛を見せてほしかったやん。

まぁ最後「バカバカバーカ」と言い合って、でも並んで歩きながら万丈がスッと上げた手に戦兎がハイタッチする後ろ姿、良かったけど。

うん、無音でね。じっくりと、2人の背中を映す。

いくつかあった無音で「タメる」演出、良かったな。


見終わった時は「うーん、もう1回見たいというほどではなかった」と思ったけど、こうして振り返って書いてるともう1回見たくなる(笑)。

なんか、テレビ本編はもう「その先」に進んでて、さっさと三知事が倒されるのわかってたし、万丈と戦兎の愛の物語だと期待してたら前半「群衆との追いかけっこ」メインでちょっと物足りなかったんですよね。

カズミン出てくるたび「嗚呼」って思っちゃうし。

カズミン……。

げんとくんは最後の「本気出させやがって」が良かった。まさかこんなお笑いキャラになるとは思わなかったよねぇ、げんとくん。いや、まぁ、最初から「ホテルおじさん」ではあったけど。


「クレジットの後も映画は続きます」とわざわざ最初に断ってあったとおり(そして予想どおり)、最後に次の仮面ライダー、ジオウの出番。

戦兎が父親の残したパスワード(もちろんそれはアレよ、アレ)を入力、白いパンドラパネルにデータだかエネルギーだかを通すと異次元への扉が開き。

戦兎は別世界にいる。

ライダー達が入り乱れて戦う世界に。

\おのれディケイド!/

ライダー同士というか、ちゃんと今までの怪人が出てきてて、怪人と戦ってた気がする(くどいようだが記憶が曖昧)。

「あ、エグゼイド!」と、戦兎がその姿を認め驚いているとジオウが現れ、いきなりビルドフォームに変身。

すでにキャスト発表もありましたが、映画で声を聞いた時に「若いなぁ、新人さんかなぁ」と思ったとおり、2000年生まれの17歳さんだそうで。

いよいよ仮面ライダーが自分の子どもよりも若いフェーズに突入ですよ。
(ゴーストの西銘くんもほぼ息子ちゃんと同い年だったけど)

ホントにいつまで見るんだ、俺(´・ω・`)

もう今から冬映画早く観たくてワクワクしてるし。



こんな絵面見せられたらねぇ! うぉー!ってなるじゃん!!!!
(入場者特典に封入されていたミニチラシです。ちなみにカードは万丈でした)


GACKTさんが主題歌を歌うということでディケイド見始めたのがライダー狂の始まり。
あれからもう10年になるとは……。怖ろしや。


ジオウのPR動画で戦兎と万丈が「ツナ義ーズ」結成してるっぽい場面がありましたがさて。これを書いている時点で残り3話、ビルド世界はどうなってしまうのか。



あまりに犠牲が多かったし、エボルトを倒しパンドラタワーを消し去るだけでなく、時間まで巻き戻ったりしないのかな?と思わないこともないのですが。

あ、並行世界とどーのこーのって話が46話に出てきてましたっけ。

エボルトのいない世界を招来することで破滅を免れるなら、桐生戦兎は存在せず、葛城巧は葛城巧、佐藤太郎は佐藤太郎のまま。エボルトがいないんだから、万丈もエボルトの遺伝子なんか持ってない、普通の人間に?

日本が三分割されない、みーたんも普通にマスターの娘として暮らしている世界で、それでも戦兎(佐藤太郎か?)と万丈は出会って、なぜか2人にだけは前世というか「以前の世界の記憶」があり、ツナ義ーズ結成……。

それだともともとの佐藤太郎の人生が気の毒だけど、でもすべてがリセットされても戦兎と万丈だけはお互いがわかるっていう、「LOVE&PEACE」な結末がいいなぁ。

誰も仮面ライダーを知らなくて、救われたことを知らなくて、だから誰にも感謝されない、そもそももう「桐生戦兎」っていう人間はいなくなっているのかもしれない。それどころか、最初からいなかったことになるのかも。

それでも。

そうなることを知ってさえ、LOVE&PEACEのために戦うのが、仮面ライダーだろ。


――と、高校野球中継のおかげでまたしてもこのクライマックスでテレビ本編がオンエアされない(19日以降変則放送)関西地区の人間は勝手にエンディングを妄想するのでありました。

いい加減この高校野球変則やめてくれないかな、ほんと…。