先日、漫画家あさぎり夕さんの訃報が流れてきました。(→コミックナタリーの記事

まだ62歳。お若い……。

私があさぎりさんの漫画を読んでいたのはン十年前、小学生の頃。当時のあさぎりさんはまだ20代そこそこでいらしたのですね。

訃報を聞いてとっさに「『あいつがHERO!』好きだった」とツイートしたんですが、その割に『あいつがHERO!』本編のことをあんまり覚えていなくて、ジョーのことしか思い出せない


ジョーの悲しい過去を描いたスピンオフ『あしたからのHERO』がそれはそれは好きで、確かまだ本棚の奥に……。



と漁ったら出てきました!



昭和59年発行の初版!!! 定価370円、もちろん消費税はないぞ!!!

『あいつがHERO!』を読んだのは小学生の時……と思っていたんだけど、59年(1984年)だと計算が合わない。
Wikiによると『あいつがHERO!』本編が連載されたのは1981年の5月から1982年の3月ということなので、それならギリギリ小学生……? いや、んんんん?

コミックスじゃなくて雑誌で読んだ記憶があるけど、掲載誌も『なかよし』ではなく『なかよしデラックス』になっている。

んんんんん?

何せほぼ前世の記憶と化しているのでそのへんはっきりしませんが、『あしたからのHERO』のコミックスを買ったのは確かに小学生時代ではなく、高校生になってからです。高校へ行く途中にある小さな本屋さんで見つけて「えええ、『あいつがHERO!』のスピンオフだとぉ!」と思って買って、次の日には『あいつがHERO!』のコミックスも買ったような気がする。

うん、たぶん。

で、現在『あしたからのHERO』だけまだ手もとにある。10代前半に買ったコミックスはほとんど処分してしまっているので、よく遺してあったなぁと思います。

それだけジョーが好きだったのね(笑)。

今回久しぶりに読み返してみて、「あうあああああああああああああ!」って身悶えるほどツボだったもん。

悲しい過去を背負った凄腕の金髪美形

「そうだよなぁ、原点おまえだったよなぁ」感がパない。

『あしたからのHERO』で描かれる、「自分が暴走族だったせいで最愛の女の子が巻き込まれて死ぬ」っていうエピソード、その後自分の小説でほぼ丸パクリしたし、「凄腕の金髪美形」キャラも脈々と受け継がれ……。

まぁ、設定としてはかなりベタな部類なので、ジョー以前にもそういう登場人物に触れていたかもしれないし、『あしたから』を読む前にすでに「それっぽいキャラクター」を書いてはいたので、もともとの趣味にジョーがどハマりした、ってことなんでしょうけど。

このビジュアルがねぇ。
ホントにねぇ。

ただ設定だけじゃなく、やっぱり今見返してもこのジョーのビジュアルが完璧すぎて。

美しい……。

中学生くらいの時に『なかよし』だか『なかよしデラックス』だかがマンガの原作募集をしていて、投稿したような記憶があるんですよ。「誰にマンガ化してほしいか」を書く欄に「あさぎり夕先生」と書いた記憶。

自分の考えたキャラクターがあさぎりさんのあの絵、あのジョーのビジュアルで動いたら……と夢想していました。

すっかりおばちゃんになった今読み返すと、「ジョー何歳なの!?綾野ちゃん高校生って、落ち着きすぎやろ!」と思ってしまいますけども。

『あしたから』は『あいつがHERO!』の前日譚なので、竜はまだ中学生。ラストで高校生になって、ジョーと同じクラスになるんだけど、ジョーはこれ、高校に入り直してるんだよね。『あいつがHERO!』でも「ダブってるから免許ある」とか言って確か車運転してた。

それでも『あしたから』の時のジョーは綾野ちゃんとあまり変わらない、せいぜい17~18歳だと思うんだけど、こんな高校生いるのか。

不幸な生い立ちのせいで感情を押し殺し、クールを装って「死に神」などと呼ばれ、でも実は仲間思いで火のように熱い心を持ったジョー。
それを知った竜がジョーに惚れて「俺の仲間になれ」ってなるんだけど、その後の竜とジョーの関係もツボだし、また元からジョーとつるんでる力(りき)さんのキャラクターもツボ。

本当にツボしかない。

あさぎりさん、その後BL小説も数多く手がけられて、Wikiによるとデビュー前に持ちこんだ原稿もBL作品だったらしく、ジョーと力さんのコンビとか、綾野ちゃんは素敵な女性だけどむしろヒロインはジョー的な感じ(※個人の感想です)とか、「こっちが本領だったのかな」と思ったり。

若菜(『あいつがHERO!』のヒロイン)と竜なんかどーでもいいんだよ、ほんとはジョーと竜が描きたいんだよ!みたいな(※勝手な妄想です)

(デビュー前の原稿等、あさぎりさん公式サイトで公開されているようです)


併録の『センチメンタルHERO』『呼ばせてMYヒーロー』はとっても少女マンガで、おばちゃん大変微笑ましく読みました。

若菜にフラれたカズトさんがアメリカで新たな恋を見つける『センチメンタルHERO』。「カズト」とカタカナでしか出てこないんだけど、ググると漢字は「一人」だったようで、「え、それってぼっちライダー!?」と思ってしまいました。ハハハ。でもカズトさん、友だちいなさそうではある(笑)。

『呼ばせてMYヒーロー』の方は竜と中学の頃からずっとつるんで一緒に剣道やってる一平ちゃんが主役。『あしたから』の方で竜に「おめー めったに口きかんがいうときはまともなこというなあ」と誉められている(?)一平ちゃんに、こんな可愛い幼なじみが……。

あー、ほんとおばちゃんニヤニヤするわ。

ちなみに『あしたからのHERO』は「なかよしデラックス」昭和58年2月号~4月号掲載。
『センチメンタルHERO』は同誌昭和57年9月号、『呼ばせてMYヒーロー』は同誌昭和59年5月号の掲載だそう。コミックスは59年の6月6日発行となっています。


あさぎり夕さん、素敵な作品とキャラクターをありがとうございました。


(おまけ。当時(1985年と記してある)「金髪美形」のつもりで描いていた絵。金髪線がないけど)