(※映画公式サイトはこちら)
公開初日に観てまいりました、忍たま劇場版最新作。
そんな初日に観るほど好きなの?って感じですが、年の瀬でスケジュールが色々厳しいのがひとつ、そして「うん、忍たまけっこう好き!」なのがひとつ。
息子氏が小さい時は毎日テレビシリーズを見ていたし、劇場版2作目の『忍術学園全員出動!の段』が大好きでですね。「忍たま映画なら間違いがない」という信頼のもと、映画館に足を運びました。
したらば。
のっけから彼岸花を血に見立てた合戦シーン! いきなりすごく芸術的。
あの彼岸花の演出、ほんとにめちゃくちゃ良かったですね。実際の血や死体を見せることなく、彼岸花や倒れた案山子で戦場のむごさを表現する……。とても美しくて、だからこそよけいにおぞましいような。
それは誰かの記憶。
おそらくは、土井先生の子どもの頃の記憶なんだけど、明確に「何」と説明されないのもとても良い。
一転、忍術学園の日常風景になり、いつものように尊奈門からの果たし状に応じる土井先生。もちろん尊奈門ごときに負ける土井先生ではないんだけど、鳥の巣を守ろうとして崖下に落ちてしまい――。
もちろん崖なんか土井先生にはなんてことないんですよ。全然なんてことない。下は川だし、美しくダイブすればすむことだったのに、運悪く謎の岩(?)が流れてきて、ゴッチーン!と派手にぶつかってしまい。
哀れ土井先生は行方不明に。
一晩経っても戻ってこない土井先生。代わりに忍術学園には尊奈門と雑渡昆奈門さんがやってきて、事情を説明する。尊奈門は「私が土井先生を倒してしまいました」と言うんだけど、もちろん誰もそんな話は信じなくて、「土井先生に何かあった」ということだけ共有され、山田先生と六年生が捜索に当たることになる。
一年生には「土井先生は出張で、しばらく帰らない」と伝えられ、代わりに昆奈門さんと尊奈門が「は組」の授業を受け持つ。
二人の厳しい授業に閉口する「は組」の面々……のみならず、なぜか生徒側に回って尊奈門を追いつめる昆奈門さんが楽しい! 昆奈門さんもともと好きだけど、一年生に混じって授業を受け、「何か質問は」「はい」と挙手する姿、面白すぎる。
六年生たちの必死の捜索にもかかわらず、土井先生の手掛かりはなかなか見つからない。この辺の描写は少しタルい感じがあったかな(^^;) 予告その他で「土井先生がどうなっているか」はもう知っているので、早く先へ進め!と思っちゃう。
そう、土井先生は頭を打ったショックで記憶を失い、ドクタケ忍者隊の軍師になってしまっている。その名も「天鬼」。あの、川に流れてきた「謎の岩」はドクタケ稗田八方斎の石頭だったのです。
土井先生は記憶をなくすし、八方斎は八方斎で激突のショックで「いつもより脳味噌がキレッキレになる」という……。
「忍術学園は戦乱を起こす元凶、忍術学園は敵」と刷り込まれた天鬼、六年生たちと対峙しても何も思い出さないどころか、彼らを排除しようと襲ってくる。六人がかりとはいえ、どうにかその場を切り抜けられる六年生、さすがかも。――って、あれ? 利吉さんが来てくれたりしたっけ???
ともあれ「土井先生がドクタケ側になっている」という衝撃事実が忍術学園にもたらされるわけなのだけど。
きり丸はひとり、その事実を知ってしまって。
いくらなんでも土井先生の出張が長すぎる、ときり丸は思っていたんだよね。姿を消す前、長屋の掃除当番の話をしていたのに、それを放って帰ってこないなんておかしいと。
土井先生のことを想いながら一人長屋の掃除をするきり丸、せつなかったなぁ。
きり丸にとって土井先生は先生であり兄であり、父でもあるような人。
「どうして俺のこと、気にかけてくれるんですか?」
「同じような育ちをしてるからかな…」
きり丸の様子がおかしいことにすぐ気づく乱太郎、しんべヱがさすがだし、土井先生の話を聞いたあとで「そんな大変なこと、一人で抱え込んでたの!?」って乱太郎が言うのが本当に優しくて泣ける。
土井先生云々よりもまずきり丸を気遣う言葉が出る。なんていい友だちなんだ。
そこからの「は組」のみんなの行動力、結束力もすごいし。
授業ではいつも出来の悪さを嘆かれている「は組」なのに、やる時はやるんだよねぇ。「戦の時は物が動く」とあたりをつけて、ドクタケの陣に見事潜入。結果的に捕まっちゃうとはいえ、なかなかの手腕。
しんべヱの胃袋(食べ物に対する嗅覚)のおかげで秘密通路を発見するくだりもよくできてるし、乱太郎としんべヱが土井先生の「先生」としての記憶を刺激するとっさのやりとりもほんと「頭いい」。
きり丸が涙ながらに「俺のこと覚えてないの!?」と訴えるのもせつなかった。全部忘れても、きり丸のことはね…覚えていてほしいよね。
「土井先生が思い出す」のがクライマックスで、そのあと特に立ち回りとかなく平和的(?)に解決しちゃうのがちょっと物足りなかったけど(アクション大好き民)、面白かったです。
「天鬼」の時の土井先生はちょっと無惨様っぽい声色で、関さんの演じ分けがすごい。優しく穏やかな土井先生もいいけど、冷酷な土井先生も「もうちょっと見てたい」気がしました。
もしも山田先生と出会わなかったら、「土井先生」ではなく「天鬼」の人生を歩んでいたのかもしれない。戦で家族を奪われ、一人ぼっちになって、もしも拾ってくれたのが悪い人だったら――。
記憶を取り戻した土井先生に利吉さんがそっと「お兄ちゃん」って言うのもね~。あれ反則だよね。「え!?」ってなったわ。きり丸(&「は組」のみんな)と土井先生の絆の話かと思ってたら「俺を忘れるな」って主張してくる利吉さん。
山田一家があったればこそ「天鬼」ではない「土井先生」がそこにいる。うん、そうだな、いや、しかし、そこで全部持っていくか、利吉さん。
利吉さんと昆奈門さんのバトルも格好良かったし、昆奈門さんが単純に味方ではないとこ、面白いよね。
冒頭の彼岸花、きり丸のバイトの「きのこ採り」の風景、背景画のクオリティも高くて。
なんかまたテレビシリーズ見ようかなって気になりました。『全員出動!の段』もまた見たい。
入場者特典はタソガレドキ忍軍&山田父子バージョンでした。きゃーっ、昆奈門さーん♡
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