ずいぶん続きが遅くなってしまった。
ごめんなさい。
えーっと、どこまで書いたんだっけ。
子どもに読ませようと思って借りて、
私も読んでみて――。
うん、なかなか面白かった。

面白かったがしかし。
佐助が幸村に仕えるところから始まって、
ロードムービーよろしく一人また一人と
仲間を増やしていくのだが、やっと
十人揃ったぞ、というところでお話が
終わってしまう。
「真田十勇士は徳川軍を相手に大活躍を
するのだが、それはまた別の物語とさせて
いただく」っておい、
それが読みたいぞ〜。
それを書いてくれよ。

息子が最後のそろい踏みのイラスト
一番好き、と言った意味もわかった。
「真田十勇士」というタイトルであり
ながら、十人が力を合わせて闘う、という
シーンは実はないのだ。
まぁそんなシーンは「続き」の物語の
中にも出てこないのかもしれないが、
やっと才蔵が出てきた、と思ったら終わり、
というのはいかにも寂しい。

きっと息子もあの最後のイラストを見て、
「さぁ、これからだよ!」という印象を
持ったんじゃないだろうか。
一人で生きてきた佐助が、「なかまたちに
であえた。それだけでいい」と思って、
同じく孤独に生きてきた才蔵とも心を通わ
せる。共に闘える仲間を得て、「いざ!」
と新しい一歩を踏み出していくのがあの
絵なのだ。

しかし残念ながら後藤さんは「続き」を
書いてくれていないし、他に子ども向けの
佐助や十勇士の本というのは見当たらない。
なんでだろう。もったいないなぁ。
『忍タマ』はもちろん『NARUTO』とか人気
あるし、活劇はウケると思うのだが。

ところでこの本は「痛快世界の冒険文学」
という全24巻に及ぶシリーズの一冊で
あった。
阿刀田高さんだの逢坂剛さんだの、そう
そうたる面々が世界の名作を翻案していて、
是非とも読破してみたいと思わせるライン
ナップである。
敬愛する橋本治さんも『笛吹童子』を手が
けていらっしゃるし、大沢在昌さん描く
『バスカビル家の犬』、菊地秀行さんの
『吸血鬼ドラキュラ』……実に興味深い。

が。
図書館では1冊ずつ別のところにあるのだな。
シリーズでどーんと並んでてくれないのだ。
「物語」の棚は作家名別に並んでいるから、
『笛吹童子』は「ハ行の作家」のところに
あって、『真田十勇士』は後藤さんの他の著作
とともに並べられている。
じゃあ『バスカビル家の犬』が「ア行の作家」
のところかというとさにあらずで、これは
「推理小説・SF」のコーナーにある。
そして『十五少年漂流記』は翻案した志水辰夫
さんの棚ではなく、原作者ジュール・ベルヌ
のところ、「外国の作家・サ行」にあるのだ。

あ〜、わかりにくい!

図書ボランティアでも図書の分類、並べ方には
頭を悩ませているが、うーん、こーゆーのは
シリーズで固めて置いといた方が子どもは
手に取りやすいんじゃないのかなぁ。
1冊読んで面白かったら他のも……というふう
にならないだろうか。
翻案の『十五少年』の隣に完訳本『二年間の休暇』
が並んでいるのもそりゃ悪くはないと思うが。

それにつけても後藤さん。
続き、是非書いて下さい。待ってます。