『るろうに剣心』や『忍タマ』が好きな
息子、これまでにもいくつか
チャンバラ物を読ませてきた。
最近は図書館に行っても『ゾロリ』や
恐竜ものなど決まった棚しか見てくれ
ないので、先日私一人で行った時に
色々探して「これなら息子の気に入るか」
と借りて帰ったのだが。

その時は運悪くシリーズの1、2巻が
なく、3巻目を借りていったら、
「これ最初ちゃうやん。この前の
お話があるらしいで」と息子は
ページを繰ってくれない。
一応一冊ずつ読んでも話はわかるよう
な感じだったが(だから借りてみた
んだが)、まぁ確かにどうせ読むなら
最初から読みたいという気持ちはわかる。
なので強制はせず放っておいたら、
返却期限間際になって突如読みだし、
時にくすくす笑いながら一気に読破
してしまった。

そして。
面白かった!
1、2巻借りに行く!」と急遽
小雪の舞う中、図書館へ。

帰宅後、一気に2冊とも読了。
早っ!

「面白いで。ママも読んでみ」と
オススメされ(元はと言えば私が
見つけた本やん)、1冊目を読んで
みた。
うん、確かになかなか面白い。

瀬戸内海を舞台に、少年剣士晴之助が
動物たちと一緒に妖怪と戦う、という
お話で、狸だけでなく雀も可愛い
女の子に化け、いわくありげな剣の
師匠、行方不明の父の謎、怪しい敵の
天狗の正体などなど、全5巻にも及ぶ
一大本格戦記だったりはするのだ。

しかもこれ、「こども講談」という
シリーズの1作で、なんともいえない
名調子。
「花は紅(くれない)、柳は緑、
気分は青空晴之助!」
という
主人公の大見得はもちろんのこと、
地の文も
「連絡船に貨物船、石積み船に
土積み船、伝馬船に御用船、
紙風船にゴム風船

「危険も大あり(尾張)名古屋の
金のしゃちほこ

といった具合で、思わず声に出して
読みたくなる。
パンパンと威勢よく机を叩きながら
気分は俄か講談師。

「丸亀藩」というからには江戸時代の
話だろうのに、
「ハクション!クラクション!
アトラクション!」
だの、「この穴が地下鉄の改札口
だったら」なんて表現が出てくるところ
がまたご愛敬。
いかにも講談師がお客さん相手に
サービス満点で語ってる風で楽しい。

息子は既に1、2巻をそれぞれ3回は
読んで「早く続きを借りに行こう」と
うるさい。

そうは問屋がおろし大根
急いては事をし損じる
なごりの雪のちらちら舞って
やがてちらほら桜のたより
うらうら春の日が射せば
いざ行かんかなお花見がてら
花は紅、柳は緑
気分は青空晴之助!

(なんちゃって)

筋の楽しさは言うまでもなく、
「語り」の楽しさをぜひご堪能あれ。