お正月にタッキー主演の『八犬伝』
見て、「読んでみたい」と思ってから
かれこれ半年以上。
やっと図書館に1、2巻が帰ってくる
ようになって、息子と2人、全巻読破
いたしました。

どうしてもドラマと比較しながら
読み進んでしまうのですが、
「へぇ〜、あのドラマけっこう原作に
忠実だったんだなぁ」と思いました。
と言ってもこの本自体が原作を翻案して
読みやすくしたものなので、滝沢馬琴の
“原作”とドラマが一緒かどうかは
わかりません。

もちろんドラマでは端折られた部分、
全然違う部分も多々ありました。
中でもドラマで一番泣けた船虫と
道節の切ない恋
がま〜ったく出てこない
のにはがっかり。
船虫はキーパーソンとしてしっかり
出てくるんだけど、道節とは縁もゆかり
もありゃしないのよねぇ。

道節のキャラもだいぶ違ってた。

イラストがとても美麗で、犬士たちは
みんな美形
。下欄にくどいほど人物紹介
があって漢字だらけの名前が覚えにくい
人にもわかりやすくなっています。

やはりもともとの「八つの珠を持つ
犬士」というアイディアがとても
素晴らしく、最後には里見軍が勝って
ハッピーエンドになるとわかって
いても面白く読み進められます。

ホントにすごいなぁ、滝沢馬琴。

一つ残念だったのは、この本では
肝心の玉梓の最期がよくわからない
こと。4巻目のタイトルはその名も
「八百比丘尼」、玉梓の悪霊が尼の
姿をとって、犬士たちを陥れようと
あの手この手を繰り出すのだけど、
途中でふいと姿を消し、最後の
里見軍と管領軍の戦いにはまったく
出てこない。

それでそのまんまめでたしめでたし
になっちゃうのよ。

おいおい、それでいいのか、玉梓!

馬琴の原作の後半部分を思い切って
カットした、と編著者があとがきに
書いているので、本当はまだまだ
玉梓の怨念は犬士たちを苦しめたの
かもしれないのだけど、とにかく
この本ではうやむやのまま終わって
しまって、なんかすっきりしません。

ドラマでは伏姫に抱かれて
「疲れた……」と言う玉梓の最期が
かなり感動的だったのに。
(そういう意味ではあのドラマは
よくまとめられてたなぁ)

かくなる上はやはり馬琴の原作に
チャレンジするしかないのか?