昨日、梅田芸術劇場メインホールまで、宝塚花組公演『あさきゆめみし�』を見に行ってきました。
もう今日が千秋楽です。

宝塚で源氏物語を見るのはこれが二度目。
前は月組、剣幸主演、田辺聖子さんの作品をもとにした『新源氏物語』でした。
『あさきゆめみし』は一応大和和紀さんの作品が原作。7年ほど前に一度同じ花組で上演されています。私はその時は見ていません。

『新源氏物語』を見た時は既に橋本さんの『窯変源氏物語』を読んでいたはずで、『源氏』自体はとても面白い物語だと思っていたのですが、舞台にするのは難しいな、と感じたものでした。
何しろ、もともとあれは光源氏の光によって照らし出される女達の物語です。男役上位の宝塚で演じるには、男役のキャラクターが少なすぎます。それにあの長い長い物語を1時間半(『新源氏』)や2時間半(今回の『あさきゆめみし』)で描こうとするとやはり駆け足になってしまう。

それにそれに、何と言っても主役光源氏の動きが少ない。
基本的に、女漁り以外の行動ってないわけだから……。
トップ男役の活躍を見たくて劇場に足を運ぶファンにとっては、活躍が物足りないのです。

春野さんの光の君は本当に美しく艶めかしく、時に物狂おしくてぴったりの配役だったんだけど、ドラマとして見るにはかなり辛かった。
人間の生死の時間を決める「時の霊」という、エリザベートにおけるトートのような狂言回しを使って、色々退屈させない工夫はされていたのだけど、やはり前半は退屈……。
後半、紫の上と明石の上の交流、女三宮の出現による波風、紫の上の死、というところはドラマティックでそれなりに良かったけど、しかしここでも源氏は別に何をするというのでもない。柏木に女三宮を寝取られて激怒するだけ(自業自得やっちゅうねん)。

本当は……小説では、源氏の方の心理というか言い分というものもあるのだけど、舞台上でそれを「行動」として表現するのはとても難しい。

「面白かった〜!」とは言えない作品でした。
ホントに春野さんは綺麗やってんけどな。
女役さんがみんなブスに見えるもん。
紫の上よりも明石の上よりも朧月夜よりも光の君が断然美しい。
まぁそーゆーキャラクターよね、光源氏。
女より美しく艶めかしい男。
もしも紫式部がこの舞台を見たら、「なんとぴったりな」と思うかもしれない(しかし平安時代の美男は下ぶくれか?)。

どうせ直衣姿なら、『陰陽師』の方が行動的で楽しいよな〜。安倍晴明、きっと似合う。
しかし残念ながら春野さんは次の公演で退団。
ああ、寂しい……。