宝塚星組シアター・ドラマシティ公演『赤と黒』。
観てきました。

トウコちゃん(安蘭けい)が予想外に可愛くてびっくり!
良かったです。
20年前のカナメさん(涼風真世)の「お人形さんのような」可愛く情熱的でマンガチックなジュリアンのイメージがあまりにも強烈だったため、正直観る前は「トウコちゃんだと大人っぽすぎるんじゃないか」と思っていたのですが。

だってトウコちゃんは下積みが長くて、もうトップになれないまま終わるのではないかと思っていたぐらいだし、「中堅」になって以降はその素晴らしい演技力で「洒脱な大人の男」を演じることが多くて、「向こう意気が強いだけの世間知らずの少年ジュリアン」なんて、今更演じられるのかしら、と。

ごめんなさい、トウコちゃん。
よけいな心配でした。

すごく可愛いジュリアンでした。
こんな可愛いトウコちゃんを見るの、何年ぶり?
ポスター写真ではぴたっとした「大人な」髪型をしてるんだけど、舞台では違って、その、なんていうの?ふわっとした髪型がとてもよく似合って可愛かった。
トウコちゃんはもともと小柄だし、キーも高いから、ちゃんと「少年」に見える。

もちろん、演技力のたまものでもある。
やっぱうまいよねぇ。
安心して見ていられる。

柴田先生の作劇がまたうまくて、上下2冊の原作がコンパクトにまとまっている。
小説より舞台の方が面白いです。
っていうか、小説は色々政治的な背景が描き込まれていて、ただジュリアンの恋の話ではなくて「19世紀年代記」になっている。その、当時の「時代」を楽しむことが小説の醍醐味なんだろうけど、舞台ではそこらへんがあっさり流されて「美少年ジュリアン」だけに焦点が当てられている。

だからすっきりしているし、わかりやすい。
まぁ、だから「恋だけ」になって、薄っぺらくも思えるのだけど。

昨日、一緒に行くはずだった母がダウンして急遽夫が代わりに見に行ったんだけど、「何、この話? なんかすごい薄っぺらくない?」と言っていた。
結婚する前はよく一緒に見ていたので、夫に宝塚アレルギーはない。(むしろけっこう好きな方だ) だから純粋に「ストーリーがつまらない」と。

確かにそうかも(笑)。

コンパクトで、くどくどしい心理描写はあまりないから、レナール夫人との恋にしても、マチルドとの恋にしてもかなり唐突な感は否めない。
実際にはジュリアンが破滅していくのは彼の性格だけではなくて、どうしようもない彼の身分の低さとか、周囲の思惑も絡んでのことのはずなんだけど、2時間ちょっとで描くと「ジュリアンが勝手に盛り上がって勝手に感動して死んでいく」ように見える。

うーん、マチルドとの関係では、マチルドが一方的に悪く見えたけどな、舞台では。
めっちゃヤな女だよなぁ、マチルド。

マチルド役は知らない女の子だったけど、歌が下手くそでいまいち。かつての羽根ちゃんのインパクトはなし。
レナール夫人の遠野あすかちゃんはさすがの貫禄で、人妻役がぴったりだった。
あすかちゃんがどーんとした感じなので、トウコちゃんがよけい「少年」に見えるし。

「美少年ジュリアン」を「困った子だけど素敵!」と思えないと、「つまらない話」かもなぁ。
私達宝塚ファンはスターがいかにかっこよく見えるかを主眼にしているから、「きゃー、トウコちゃん可愛い!」だけで2時間すごく楽しいんだけど(笑)。

専科から萬あきらさんと磯野千尋さんが出てらして、非常に懐かしく拝見。
もう最近は私も専科さんしか知ってる人がいない状態ですからね。どの組のトップが誰かすら怪しくなってる。
萬さんの「レット・バトラー」風なたたずまいとあの声が非常に好きなんだけど、かなりお年を召してらして、「うわ〜」と思ってしまった。
私が足繁く大劇場に通っている時にもう専科になってらしたんだから、そりゃ相応のお年なのはあたりまえなんだけど、ちょっとショックでした。

みんな年を取るのよね。
たとえタカラジェンヌでも。